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大学・研究所にある論文を検索できる 「心臓血管外科手術患者におけるprognostic nutritional indexによる栄養評価の臨床的有用性」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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心臓血管外科手術患者におけるprognostic nutritional indexによる栄養評価の臨床的有用性

林 潤 山形大学

2021.03.31

概要

【背景】心臓血管外科手術において術前の栄養状態は,患者予後に影響を与えるとされている.いくつかの栄養指標が提唱されているが,外科周術期の栄養状態を反映する,簡便でかつ客観性のある指標はいまだ確立されていない.Prognostic nutritional index (PNI)は,血清アルブミン値とリンパ球数から算出される簡易な栄養指標であり,その臨床意義が消化器癌を中心とした腫瘍外科学の分野で確立している.一方,心臓血管外科分野においては PNI を用いた報告はなく,その臨床的有用性は不明である.

【目的】本研究は,当院で開心術を受けた患者において,PNI と予後との関連性について後方視的に検討し,その臨床的有用性を見出すことを目的とした.

【方法】2013 年 1 月から 2017 年 6 月の間に,当院で予定心臓大血管手術を受けた患者 453 人を対象とした.対象患者の術前データから PNI(PNI = 10×アルブミン [mg/dl] + 0.005×リンパ球数 [per mm2])を算出し,中央値である 48 以上(High PNI 群)と 48 未満(Low PNI 群)で 2 つの群に分けた.2 群間の術前・術後のデータを収集し,生存率および術後合併症発生率,病院死亡率等について比較,検討した.

【結果】両群の患者背景として,性別,左室駆出率,HbA1c,高血圧症の有無,脂質異常症の有無等には有意差を認めなかったが,年齢は Low PNI群で有意に高く (Low/High 74 [65-79] vs 68 [60-74]歳,p<0.001),BMIは有意に低かった (Low/High 22.8±3.5 vs 23.8±3.2, p=0.003).手術時間と,術後合併症としての心房細動や腎機能障害は両群で有意差を認めなかったが,ICU 滞在期間,挿管期間は Low PNI 群で有意に長く(ICU 滞在期間 Low/High 120 [72-168] vs 96 [48-120](時間), p<0.001,挿管期間 Low/High 19 [16-22] vs 18 [3-20](時間), p=0.018),縦隔炎,肺炎の発生率は有意に Low PNI 群で高かった(縦隔炎 Low/High 6.3% vs1.9%, p=0.019,肺炎 Low/High 20.2% vs 10.7%, p=0.008).30 日死亡は,統計学的に有意差を認めなかったが,病院死亡は有意差をもって LowPNI 群で多かった(Low/High 7.6% vs 0.9%, p<0.001).全生存率は,Low PNI 群 75.4%に対し,High PNI 群 91.8%で,統計学的有意差を認めた(p=0.012).全生存率に関わる因子の解析においては,男性,高齢,PNI 低値が有意な因子であった(多変量解析:男性 HR 3.93,95%CI 1.29–11.91, 高齢 HR 3.35, 95%CI 1.11–10.15, PNI<48 HR 0.40,95%CI 0.18–0.90).

【結論】PNI 低値は心臓大血管術後の挿管時間延長,ICU 滞在延長,肺炎・縦隔炎の発生に関連することが明らかとなった.さらに,全生存率も 低 PNI 患者では高 PNI 患者と比較して有意に低く,PNI は心臓大血管術後の予後予測因子として有用である可能性が示唆された.

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