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大学・研究所にある論文を検索できる 「小児及び希少疾病に対する医薬品開発状況の国際比較及び製造販売後安全対策の現状分析」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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小児及び希少疾病に対する医薬品開発状況の国際比較及び製造販売後安全対策の現状分析

弘田 紗瑛子 東北大学

2020.09.25

概要

小児や希少疾病は、その対象患者の少なさや倫理的な制約から、医薬品開発段階で得られる有効性・安全性データは限定的であり、医薬品の研究開発が困難な領域として認識されている。製造販売後の継続的な情報収集と安全性評価の重要性が指摘されているが、小児用医薬品の承認状況や小児用医薬品/希少疾病用医薬品の製造販売後安全対策の実施状況について、諸外国の現状と比較して評価を行った研究はない。

【目的】
本研究は、日本と主要諸外国である米国及び欧州の 3 地域での小児用医薬品/希少疾病用医薬品の承認状況と医薬品製造販売後安全対策の実施状況を調査・整理した上で、本邦における小児用医薬品/希少疾病用医薬品に対する製造販売後安全対策の課題を明らかにすることを目的とした。本研究は小児用医薬品を対象としたパート 1 と、希少疾病用医薬品を対象としたパート 2 の 2 つのパートから成る。

【方法】
パート 1:2005~2014 年に日本、米国、及び欧州で承認された医薬品を対象とし、初回承認時点の小児適応の有無と小児適応拡大の実施状況、及び小児適応の承認申請時に有効性の評価資料として提出された小児臨床試験のデザインを調査・集計した。また、2018 年 3 月 31 日時点で医薬品リスク管理計画書(RMP)が公表され、かつ小児適応を有する医薬品を対象に、製造販売後の安全性監視活動の内容を調査した。記述統計を使用し、小児での年齢層別の適応取得状況や小児臨床試験のデザイン等の特徴を地域別に要約した。また、初回の小児適応拡大をイベントとして、カプランマイヤー法による生存曲線を作成し、小児での適応拡大が行われる確率を推定した。

パート 2:希少疾病用医薬品指定制度創設以降の希少疾病用医薬品の指定件数及び承認件数を時系列で纏めた上で、2014~2016 年に日米欧の 3 地域で承認された希少疾病用医薬品 20 品目を対象に、製造販売後安全対策の実施状況の国際比較を行った。また、RMP 制度を有する日本と欧州を対象に、希少疾病用医薬品の安全性検討事項のリスク分類を比較し、混合効果ロジスティック回帰分析により、重要な特定されたリスク又は重要な潜在的リスクに分類する際に影響する因子を解析した。

【結果】
パート 1:医薬品承認時点で小児適応を有していた医薬品の割合は、日米欧の全地域で研究対象薬の約 15%と同程度であったのに対し、欧米では製造販売後の小児での適応拡大が日本に比べて高頻度に実施されていた。また、承認の根拠となった小児臨床試験は、日本では非無作為化・非盲検・非対照の国内又は外国試験が多くを占めていたのに対し、欧米では国際共同で実施された無作為化比較試験を基に承認されている例が多く認められた。

パート 2:希少疾病用医薬品の指定件数は、日米欧の全地域で増加傾向が認められたものの、日本では欧米に比べて少数であった。製造販売後の安全性監視計画として、日本では、多くの希少疾病用医薬品で全例調査が計画されていたのに対し、欧米では個々の安全性検討事項に応じた製造販売後臨床試験や、医療情報データベースを用いた疫学研究を計画した例が認められた。日欧の RMP の安全性検討事項を比較したところ、重要な特定されたリスク及び重要な潜在的リスクの分布は日本と欧州で異なっており、ロジスティック回帰分析の結果、リスク分類に関連する因子も日本と欧州で異なることが示された。

【結論】
日本、米国、及び欧州における小児用医薬品/希少疾病用医薬品の承認状況や、これらの医薬品に対して取られた製造販売後安全対策は大きく異なっていた。小児や希少疾病等の患者数が少ない領域においては、各国単独での臨床試験や観察研究の実施は困難な場合も多いことから、国際共同での臨床開発や製造販売後の安全性監視が重要である。

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