長期透析患者の「その人らしさ」を理解したセルフケア支援 (第137回成医会総会一般演題)
概要
【はじめに】
長期透析患者は自分なりのセルフケア行動を身につけており,一般の透析患者に行う看護師の指導を受け入れないことがある.特長的なセルフケア行動を持った長期透析患者との関りから「その人らしさ」を捉え看護の示唆を得た.
【目的】
長期透析患者の生きてきた過程を理解し「その人らしさ」を見出し看護の示唆を得る.
【方法】
事例研究.看護記録,援助に関わった医療者の語りから情報収集しデータとし,科学的看護論を用いて分析した.
【事例紹介】
A 氏.60代後半の男性,慢性糸球体腎炎による末期腎不全.20歳に透析を導入し40数年間様々な合併症を併発.60代から下腿の潰瘍形成,臀部に褥瘡形成し感染を繰り返している.
【結果】
看護のプロセスとして,A 氏の「こだわりの背景にある人生観に気づく」ことで,言動の背景にある人生観を知り,「慢性疾患と共に生きてきた人生を振り返る」ようになった.看護師は,手技へのこだわりは,生きるための方法であると考え,「生きる手段としてのセルフケア行動について理解を深める」ようになった.A 氏の苦しみを知ることで,看護師から肯定的な言葉が出るようになりセルフケア行動に関してA 氏と協働できるようになった.
【考察】
A 氏のこだわりを「生きるための方法」としてのセルフケア行動であると捉えたことにより,死への不安や苦痛など長期透析患者の苦しみにも配慮したセルフケア支援ができるようになった.