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大学・研究所にある論文を検索できる 「Phylogeny and taxonomic reexamination of the genus Lilium (Liliaceae)」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Phylogeny and taxonomic reexamination of the genus Lilium (Liliaceae)

Watanabe, Seita T. 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k24080

2022.05.23

概要

序論
ユリ属はユリ目ユリ科の多年生草本で世界に約 117 種が認められており、北半球の亜高山帯域から亜熱帯域まで広く分布する。特に東アジアで種多様性が高く、日本には 14 種が自生している。ユリ属は古くから園芸的価値が認められており、分類学者だけでなく園芸家によっても属内分類(亜属、節、亜節など)が進められてきた(例えば Comber 1949)。2000 年代に入るとサンガー法による DNA 塩基配列の解析が進み、ユリ属においても分子系統樹が構築されるようになった。しかし、ユリ属では、しばしば葉緑体で構築した系統樹と核で構築した系統樹との間で、示される系統関係が異なるため、属内分類の再検討は保留されてきた。また、それぞれの系統樹は、解析種数の少なさや解析領域の少なさ、分岐を支持する枝の信頼確率の低さなどから、信頼性の高いものではなかった。また、東アジアのユリ属植物についても分類学的問題が山積している。その一つがスカシユリ類の問題で、現在4分類群(エゾスカシユリ、スカシユリ、ヤマスカシユリ、ミヤマスカシユリ)が認識されているが、種の範囲が不明瞭であり、系統関係は不明であった。
そこで、本研究の目的は、まず、ユリ属 64 種を用いて極めて信頼性の高い葉緑体系統樹と核系統樹を構築し、得られた系統樹と形態形質に基づいて、これまでの分類体系を見直し、ユリ属の属内分類の新しい分類体系を提唱すること(第一章)、次に、スカシユリ類において、葉緑体・核系統樹を構築し、さらに次世代シーケンサーを用いた MIG-seq 法により、網羅的に DNA 変異を検出し解析 し、詳細な形態観察とあわせてスカシユリ類の分類学的再検討を行うこと(第二章)にある。

材料・方法
第一章では、葉緑体領域(trnK, rps16, rpl16, psbA-trnH, trnS-trnG, atpF-atpH, trnL-trnL-trnF, atpB-rbcL, petA-psbJ, rpl32-trnL:9837bp)、核領域(ITS, ETS:1069bp)に基づいて、ユリ属 64 種の大規模分子系統樹を最尤法と最節約法で構築した。また、形態観察を詳細に行い、13 個の形態形質情報を、野外観察、さく葉標本、文献を通じて観察・記録した。
第二章では、葉緑体領域(rpl16, trnS-trnG, atpF-atpH, petA-psbJ, rpl32-trnL:3647bp)、核領域(ITS, ETS:1008bp)に基づいて、スカシユリ類 2 種 2 変種 37個体の分子系統樹を最尤法と最節約法で構築した。また、次世代シーケンサーを用いた MIG-seq 法により、ネットワーク図と Structure 解析を行った。さらに、詳細な形態観察を行い、9 個の形態形質情報を野外観察、さく葉標本を通じて観察した。これらにより、スカシユリ類の分類の再検討を行った。

結果と考察
ユリ属 64 種において信頼性の高い分子系統樹を葉緑体と核のそれぞれで構築した。葉緑体系統樹と核系統樹が示す種の系統関係は必ずしも一致しなかったが、クレードに着目して両系統樹を比較すると、両系統樹に共通したクレードが12 個見いだされた。12 個のクレードは、13 個の形態形質によっても支持された。よって、12 個のクレードをそれぞれ節として認識し、ユリ属に 12 節を認めることを提案した。このうち、Lilium sect. Wallichiana,L. sect. Bakeriana を新しく記載し、L. sect. Japonica, L. sect. Ecristata を新ランクとした(第一章)。
スカシユリ類については、葉緑体と核の大規模分子系統樹を構築した結果、ヤマスカシユリの系統関係は両系統樹で異なっており、エゾスカシユリとスカシ ユリの雑種由来の種であることが示唆された。また、MIG-seq データのネットワーク図と Structure の結果から、従来のスカシユリは 5 つの分類群に分けるべきであることが明らかになった。また、これらは形態形質によっても支持されることがわかった。これらにより、スカシユリ類は 3 種 2 変種 1 雑種に分類されることが妥当であると結論付けた。このうち、Lilium pacificum と L. maculatumvar. sadoense は新しく記載し、L. maculatum var. maculatum f. monticola、L.maculatum var. maculatum f. spontaneum と L. pacificum var. bukosanense は新ランクとした(第二章)。

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