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書き出し

ヒゲナガアリヅカムシ上族(コウチュウ目:ハネカクシ科:アリヅカムシ亜科)の分類と系統

井上, 翔太 INOUE, Shota イノウエ, ショウタ 九州大学

2023.03.20

概要

九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository

Taxonomy and phylogeny of the pselaphine
supertribe Pselaphitae (Coleoptera:
Staphylinidae: Pselaphinae)
井上, 翔太

https://hdl.handle.net/2324/6787669
出版情報:Kyushu University, 2022, 博士(農学), 課程博士
バージョン:
権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (2)





論文題名

:井上

翔太

: Taxonomy and phylogeny of the pselaphine supertribe Pselaphitae
(Coleoptera: Staphylinidae: Pselaphinae)
ヒゲナガアリヅカムシ上族(コウチュウ目:ハネカクシ科:アリヅカムシ亜科)
の分類と系統





:甲















ハネカクシ科はゾウムシ上科と並び約 6 万種を含むコウチュウ目最大の分類群として知られている。
そのなかでも、アリヅカムシ亜科(以下、各分類群和名からアリヅカムシを省略)は世界から約 1
万種が知られる。本亜科では摂食行動に伴った口器の変化や、摂食行動の特異性が報告されており、
ヒゲナガ上族は小顎肢形態が極めて多様であることから、摂食行動と形態の関連性の研究を展開す
るにあたって理想的な分類群である。しかし本上族は既知属および種への同定に問題があること、
膨大な未記載種の存在が報告されていることなど、分類学的な基盤が整っていない。また本上族で
は形態系統と分子系統で異なった結果が報告されていた。本研究は、上述の再検討が必要な属や本
上族のなかでも特に研究が不十分な属を扱って分類学的な研究を行い、日本産の種を中心として種
多様性を解明するとともに、本上族の種を網羅的に扱った系統学的研究を行うことで、各属の近縁
性や、系統関係、口器や脚の形態と摂食行動の関連性について推定を行ったものである。
材料は、日本全国ならびにタイ、カメルーンなどの野外調査によって収集した個体、および国内外
の研究機関より借用した標本を用いた。外部形態の比較には走査型電子顕微鏡を用いて観察を行っ
た。系統解析に関しては、ヒゲナガ上族を中心としてアリヅカムシ亜科を構成する全 6 上族を対象
に行った。外群にはニセマキムシ亜科の 1 OTU を設定した。GenBank に登録されている分子デー
タ 40 OTU と、野外調査により収集したサンプル(44 OTU)から取得した核 18S、28S、ミトコン
ドリア 16S rRNA、
COI の 4 領域の分子データ(合計 3,000 bp)を用いた。アライメントには MAFFT、
モデル選択には Kakusan 4、樹形探索には MrBayes、RAxML を利用した。また、本上族の数種に
ついて顕微鏡下による観察とビデオカメラを用いて行動の観察を行った。
日本産コケ属 Tyrus は T. japonicus のみが知られるが、雄交尾器が未検討であり、既知種への同定
に問題を抱えていた。そのためロンドン自然史博物館に収蔵されているタイプ標本全 4 個体を検討
し、本種への正確な同定方法を確立した。また、本属において 1 日本未記録種と 5 未記載種の存在
を認めた。ツムガタ属 Pseudophanias はよく似た Chandleriella との区別が難しく分類が停滞して
いた。そのため、膨大な未記載種を検討し、両属は区別できないとして後者をツムガタ属の新参異
名とした。その結果、本属は未記載種 25 種を追加し、39 種から構成されることが判明した。日本
産ヒゲカタ属 Tmesiphorus から 7 未記載種を確認した。そのうち 4 未記載種は別属とするのが妥

当と考え新属 Sphaerotmesiphorus を設立した。本属は 4 種を含み、新種 S. jambar をタイプ種と
する。シロアリヒゲカタ属の示す好白蟻性は、樹皮下に選好的に生息するヒゲカタ属から進化した
と考えられた。また、形態的にも系統的にも共生生活に伴い特殊化したヒゲカタ属の一種であるこ
とを示唆した。
また、ムカシ上族の単系統性は先行研究と同様に強く支持された。ヒゲナガ上族は

Pselaphitae-Tyrine 系統と Pselaphitae-Pselaphine 系統に分かれる多系統であることを示唆した。
Pselaphitae-Tyrine 系統の内部の系統関係は信頼値が低く、Odontalgini 族と Tyrini 族が同じクレ
ードに位置することを示唆した。ヒゲナガ上族とヒゲブト上族の中間的な形態を示すとされる

Colilodion 属は Arhytodini 族と近縁であると考えられていたが、本研究では Pselaphini 族カギア
シ属と姉妹群を形成することを確認した。カギアシ属は Pselaphini と Arhytodini の両族と形態的
類似を示すが、本属特有と考えられる形質状態を備えることと、形態的・系統的観点から両族とは
異なる独立族とすべきことを示した。
本研究では、Pselaphitae-Tyrine 系統の種の摂食行動を観察した。摂食行動様式に関しては、2 つ
の行動パターンを確認することができ、両パターンにおいても多様な形態をもつ小顎肢に加えて前
脚を捕獲の補助に用いていた。また、オオトゲ属、アシナガ属が示した行動様式は先行研究の Tyrus

mucronatus で観察された行動と同様であった。Pselaphitae-Tyrine 系統では前脚腹面に棘や硬化

した毛状棘が備わっていた。また、小顎肢表面には接着機能を有すると思われる多様な毛を有して
いた。それら形質は捕獲成功率を向上させるのに寄与している可能性があると推定した。

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