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大学・研究所にある論文を検索できる 「側頭葉てんかんに対する側頭葉前方切除術後患者の顔再認機能低下とその自覚に関する検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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側頭葉てんかんに対する側頭葉前方切除術後患者の顔再認機能低下とその自覚に関する検討

細川 大瑛 東北大学

2020.09.25

概要

難治に経過する側頭葉てんかんに対する側頭葉前方切除術(Anterior temporal lobectomy; ATL)の普及に伴い、てんかん外科臨床において手術が脳機能に及ぼす影響を把握するための認知機能評価の重要性が認 識されてきている.ワリントン再認記憶検査は単語を記銘・再認する単語再認検査と顔画像を記銘・再認する顔再認検査の2 種類で構成され、それぞれ言語性記憶と視覚性記憶を評価する検査である.側頭葉てんかん患者の機能評価に広く使用され、右ATL後患者は顔再認検査の成績が低く、左ATL後患者は正常範囲となることが示されている.しかし、この検査の成績が実生活の顔再認能力を反映しているのか、すなわち右ATL後患者は日常生活において顔再認に問題があるのか、左ATL後患者では問題がないのかを検討した報告はない.我々はより日常に近い顔再認機能を評価する検査として、様々な視覚条件で顔を再認する課題 (Multi-view face recognition test; MFRT)を開発した.近年の神経機能画像研究では両側の後頭側頭葉に加え両側の側頭葉前方部も顔認知に関与していることが示されていることから、本研究では右ATL後患者だけでなく左ATL後患者も顔認知に何らかの影響を受けていると考え、MFRTは切除側によらず健常者より成績が低下すると仮説を立てた.さらに日常生活での顔認知の困難感を明らかにするため、先天性相貌失認の評価に用いられる自己評価質問紙、The 20-item prosopagnosia index(PI20)を使用した.本研究の目的は、新たに開発したMFRTと自己評価質問紙 PI20を用いて、以下の仮説を検証することである.(1)日常で求められる顔再認能力に近い機能を評価するMFRTの成績は両側のATL後患者において健常者より成績が低下する、(2)ATL後患者は日常生活においても顔の再認が困難であることを自覚している、(3)MFRTの結果は患者自身の顔再認困難感と関連する.右ATL後患者 16名、左ATL後患者 14名、健常者 26名に対し、ワリントン顔再認検査とMFRT、PI20を実施した.その結果、ワリントン顔再認検査は右ATL後患者では成績が低く、左ATL後患者は健常者と差がなかった.一方でMFRTの成績は、 ATL後患者の切除側にかかわらず、3つの顔を記銘する条件で健常者に比して低かった.また、左ATL後患者では、PI20の結果から顔認知の困難さを自覚している傾向が示され、更にPI20とMFRTの成績は有意な相関が認められた.PI20とワリントン顔再認検査の成績は、左ATL後患者および右ATL後患者どちらも相関しなかった.以上より、ATL後患者は切除側に関わらず、複数の顔を記銘して様々な視覚条件で再認する能力が低下しているが、それを自覚するのは左ATL後患者であることがわかった.広く行われている記憶検査では正常範囲と考えられるATL後の患者においても、このように日常生活に近い複雑性をもった記憶課題においては、切除側に関わらず低下が認められることが示唆された.

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