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大学・研究所にある論文を検索できる 「運動模倣による筋中カルノシン産生の増強とその分子基盤の解明」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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運動模倣による筋中カルノシン産生の増強とその分子基盤の解明

阿部, 佳世子 ABE, Kayoko アベ, カヨコ 九州大学

2021.03.24

概要

【背景・目的】
 イミダゾールジペプチド (Imidazole dipeptide, IDP)は、食肉中に多く含まれる多機能性ジペプチドであり、抗酸化作用、筋疲労回復効果、抗老化効果など数々の有用性が認められている。IDP のひとつであるカルノシンは特に鶏ムネ肉中に多く含まれていることが知られている。
 これまでの先行研究において、健康な中高齢者を対象に、IDP を多く含む鶏ムネ肉抽出物を長期摂取するヒト介入試験を行い、鶏ムネ肉中 IDP は中高齢者の記憶機能を改善する効果を有することが明らかとなっている。
 本研究では、生体のエネルギーセンサーとして知られる AMPK (AMP-activated protein kinase)に着目した。AMPK は、筋肉内のエネルギー代謝に関与し、運動模倣効果のマーカータンパク質として知られており、AMPK を活性化する食品成分は、運動模倣効果を示す食品(運動模倣食品)として機能することが期待されている。また最近の研究で、筋肉細胞中の IDP 含量は、運動により増強することが報告されている。そこで本研究では、筋肉細胞において AMPK を活性化する新たな運動模倣食品の探索と AMPK 活性化を通じた筋肉細胞における IDP 合成の増強の可能性を検証することで、運動模倣効果による筋肉細胞におけるカルノシン合成増強の機序の解明を目指し研究を行った。

【結果及び結論】
 数種のポリフェノールは、マウス⾻格筋由来筋芽細胞 C2C12 における AMPKを活性化することが明らかとなった。また同時に、それらポリフェノールは、細胞内カルノシン含量を増⼤させるとともに、カルノシン合成酵素としてある ATPGD1 発現を増強させることが明らかとなった。さらに、AMPK 活性化剤である AICAR は、筋肉細胞内のカルノシン含量を増大させることが明らかとなった。つまり以上の結果から、運動模倣効果を有する食品成分が、筋肉細胞内において ATPGD1 の発現増強を通じて、カルノシン合成を増強することが明らかとなった。次にマウスを用いて、運動模倣食品によるカルノシン合成の増強の可能性を検証した。その結果、in vitro において運動模倣効果が認められた食品成分が、筋肉組織においても AMPK を活性化すること、さらに血中のカルノシン含量を増大させることが明らかとなった。以上の結果から、運動あるいは運動模倣食品は、筋肉組織内カルノシンの合成を増強しうることが明らかとなった。本研究により、運動あるいは運動模倣食品が筋肉細胞内の AMPK を活性化し、それが ATPGD1の発現増強を通じて、カルノシン増強を誘導するという、筋肉細胞におけるカルノシン産生制御の新たなメカニズムを明らかにすることができた。

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