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大学・研究所にある論文を検索できる 「自治省モデル・コミュニティ事業における生活環境の施設整備と コミュニティ活動に関する研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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自治省モデル・コミュニティ事業における生活環境の施設整備と コミュニティ活動に関する研究

尾﨑 せい子 島根大学

2023.09.22

概要

自治省モデル・コミュニティ事業における生活
環境の施設整備とコミュニティ活動に関する研究

(要約)

A study on the development of living environment facilities
and community activities in the model community program
of the Ministry of Home Affairs.

尾﨑

せい子

現在、少子高齢化・人口減少社会に突入しており、地域活性化などコミュニティをめぐる
課題を突きつけられているといってよい。このようなコミュニティをめぐる情勢から見回
した時、今こそ高度成長期以降の「これからのコミュニティはどうあるべきか」を考える時
期といっても良さそうである。わが国で初めて全国的な規模の施策としてコミュニティづ
くりが推進したのが、1971-1973(昭和 46-48)年に実施された自治省のモデル・コミュ
ニティ事業(以下「事業」
)である。この事業の柱は、
(1)
「コミュニティを単位に生活環境
の整備を進める」生活環境の施設整備と、
(2)
「住民の自主的な発意に基づく」コミュニテ
ィ活動であり、ハードとソフトの両面からコミュニティづくりを目指すパイロット事業で
あった。その後、事業は、1983(昭和 58)年にコミュニティ推進地区、1990(平成 2)年
にコミュニティ活動活性化地区へと受け継がれていった点で、わが国のコミュニティづく
りの歴史の中でも重要な位置づけにある。
当事者の日笠は、
「コミュニティづくりは、長い年月をかけて徐々に進められるもの」で
あり、
「長期にわたるモデル・コミュニティ地区の観察と分析を継続する」必要性を指摘し
ているように、事業の開始から 50 年以上経った現時点において事業を明らかにすることに
意義があると考えられる。この事業は、住民参加を謳い、住民が主体的にコミュニティづく
りを行うことを目指したもので、現在のまちづくりにも通じる事業であることから、こうし
た課題を含めてコミュニティ計画を明らかにする。
本論文は、三部構成になっており、第一部「モデル・コミュニティ事業の運用方法」
(第
二章)
、第二部「生活環境の施設整備」
(第三-五章)、第三部「コミュニティ活動」
(第六章)
となっており、全八章からなる。
研究方法については、最初に事業における施策の運用方法を明らかにするため、鳥取県立
公文書館所属の「モデル・コミュニティ対策事業」や他の資料を精査する。またコミュニテ
ィ政策に関する「コミュニティの調(その 1)
(その 2)
」ほか、コミュニティ研究会報告な
どの一連の資料なども参照する。次に生活環境の施設整備については、前掲の県の公文書並
びに当該自治体やモデル・コミュニティ地区が所蔵する資料にある建築図面をもとに空間
的な整備内容について、特徴ある地区の整備状況を比較しつつ分析を行う。また補足調査と
して、各種施設の現地調査を実施する。また、コミュニティ活動については、各地区の活動
記録や会議の資料を参照しつつ、ヒアリング調査を行う。
本論文第一部「モデル・コミュニティ事業の運用方法」では、モデル・コミュニティ事業
は、毎年度改訂される事業の根幹となる対策要綱および事業の具体化に向けた事務処理要
領にそって事業を実施した。また、各都道府県の地域住民の主体性や地域の特徴を活かした
コミュニティ計画を策定するために、コミュニティ研究会を立ち上げて、自治省やモデル・
コミュニティ地区へコミュニティ事業の助言を行うとともに、調査研究を実施したことか
ら、
事業は、
制度的な側面から施策の具体化に向けた国レベルの方針であったと考えられる。
コミュニティ施策のパイロット事業として全国に普及させた結果、都道府県のモデル地区
が 521 地区、コミュニティ施策を実施する市町村は 2,528 と全国隅々まで浸透していった

ことから、事業は、わが国におけるコミュニティづくりの原点であったことが、第一部にお
いて明らかになった。
本論文第二部「生活環境の施設整備」では、自治省は、モデル・コミュニティ地区(都市
的地域・農村地域)の設定にあたり、対策要綱や事務処理要領に示した「コミュニティ(近
隣社会)

という概念に基づき近隣住区の考え方を空間特性に落とし込んだモデルを作成し、
生活環境の施設整備を都道府県に通知した。自治省やコミュニティ研究会では、近隣住区論
を参照しながらも地域の実情に沿う形で生活環境の施設整備を実施し、モデル・コミュニテ
ィ地区は、コミュニティ施設を隣接させることで、コミュニティの核を構築することが一つ
のプロトタイプだったことが第二部において明らかになった。
本論文第三部「コミュニティ活動」では、対策要綱にモデル・コミュニティ地区の実情に
即して 6 つのコミュニティ活動について提示した。市町村行政に対する住民の意思の反映
に関するコミュニティ活動については、今では定着している「住民参加型のまちづくり」の
考え方を対策要綱の中に明文化している。また自治省は、組織づくりについても重要視して
いたなどが第三部において明らかになった。
本論文(第七-八章)の最後に、モデル・コミュニティ地区のアンケート調査結果からは、
生活環境の施設整備についての要望を提示し、コミュニティ活動をとおして、コミュニティ
組織の担い手不足が課題であることが明らかにした。今後のコミュニティ計画には、コミュ
ニティ活動の担い手を育成することの必要性を指摘した。
以上本研究は、モデル・コミュニティ事業の運用方法、生活環境の施設整備やコミュニテ
ィ活動の側面から調査したものであり、行政と地区の住民に対して、コミュニティ施策の策
定のための有用な資料となりうる。

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