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大学・研究所にある論文を検索できる 「Clinical findings in eyes with BEST1-related retinopathy complicated by choroidal neovascularization」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Clinical findings in eyes with BEST1-related retinopathy complicated by choroidal neovascularization

宮城, 麻衣 名古屋大学

2022.07.04

概要

【緒言】
卵黄様黄斑ジストロフィ(BVMD)は眼底の黄斑部に特徴的な卵黄様の円形病変を示す常染色体優性のBEST1遺伝子関連網膜症である。BVMDは進行性の疾患であり、眼底所見によってstage分類されている。常染色体劣性ベストロフィノパチー(ARB)は後極部に黄色斑をまだらに認めるBEST1遺伝子関連網膜症であるが、BVMDと比較し広範囲で非特異的に黄色斑が散在すると報告されている。これらの疾患で光干渉断層計(OCT)で神経網膜下に様々な種類の高輝度病変hyperreflective material(HRM)を認め、その内部に稀に脈絡膜新生血管(CNV)が発症していることが報告されている。過去のCNVに関する報告は蛍光眼底造影による報告が主だった。光干渉断層血管撮影(OCTA)はOCTを用いて非侵襲的に血流動態にもとづいて血管構造を抽出することができる新しい技術である。蛍光眼底造影ではBVMD、ARB特有の黄色沈着物は低蛍光を示すため脈絡膜新生血管の血管構造をマスクし、網膜色素上皮が萎縮した部位では過蛍光を示すため脈絡膜新生血管の微細構造を描出できずCNVの検出が困難だったが、OCTAはそれらの影響を受けづらいと報告されている。ParodiらがOCTAを使用しBVMDの患者の36.4%にCNVが認められたと報告したが臨床所見に関する詳細な報告はまだ少ない。アジア人におけるBVMD、ARBにおけるCNV合併についてOCTAを用いて評価しその臨床像を明らかにすることを目的とした。

【対象と方法】
本研究では名古屋大学医学部附属病院、東京慈恵医科大学附属病院通院中の遺伝子変異の判明しているBVMD患者14人28眼、ARB患者9人18眼を対象とした。眼底所見、眼底自発蛍光写真、OCT、眼球電図を含めて包括的な眼科検査がなされた。黄斑窩を中心とした3×3mmの範囲でOCTとOCTAを撮影した。得られたOCT画像よりHRMの検出を行った。OCTAは加齢黄斑変性症によるCNV検出に準じて外顆粒層下端-網膜色素上皮下端でのsegmentationを選択し、2人の網膜の専門医がB-scan画像とenface画像における血流信号を比較しCNVを判定した。

【結果】
BEST1遺伝子変異は12種類が検出され、うちBVMDの4種(p.Leu100Pro、p.Ser108Arg、p.Leu31Gln、p.Trp102Leu)、ARBの1種(p.Asn133Ser)は新規変異であった(表1、2)。CNVはBVMD5眼(17.9%)、ARB2眼(11.1%)に認められた。CNVが認められたBVMD5眼のうち3眼はstage4で2眼はstage5だった。両疾患とも評価時年齢および視力はCNVの有無で差は認められなかった。HRMはBVMD57.1%、ARB38.9%に認められた(図1、6)。HRMを有するBVMD31.2%、ARB28.5%にCNVが認められた。CNVは全例がHRM内に存在していた。CNVを有する7眼のうちBVMD2眼(BVMD4の右眼、BVMD14の右眼)が過去の報告に準じて急な視力低下や、網膜出血、網膜内液を認めたため浸出性のCNVと診断され、残りのBVMD3眼(BVMD1の左眼、BVMD2の右眼、BVMD3の右眼)とARB2眼(ARB1の両眼)は非浸出性のCNVと診断された(図2、3)。浸出性のCNVと診断されたBVMD2眼はいずれもstage5であり、非浸出性のCNVと診断されたBVMD3眼はいずれもstage4の症例だった。浸出性のCNVと診断された2眼は抗vascular endothelial growth factor薬硝子体注射を施行され、網膜出血と網膜内液の改善を認めたが視力の改善は得られなかった(図3)。非浸出性のCNVを有するBVMD3眼、ARB2眼は視力低下や網膜出血、網膜内液は認めず、過去4年から20年以上の観察期間で視力は維持されていた。

【考察】
今回、我々の検討ではCNVの合併はBVMD17.9%とARB11.1%に認められた。BVMDの36.4%にCNVが認められたとするParodiらの報告より頻度が低い結果であった。要因としてParodiらは脈絡膜毛細血管板内の異常血流も含めた発症率を報告していたが、我々は加齢黄斑変性症に準じて外顆粒層下端-網膜色素上皮下端で血流信号が検出された症例のみをCNVを有していると判定しており、検出層の差によりCNVの発症率の差が出ている可能性がある。過去の報告と比較すると低頻度ではあるが、アジア人についてもBVMD、ARB患者においてCNVは稀な合併症ではなく、積極的な精査が望ましいと考えられた。過去の報告にてBVMDやARBにおける蛍光眼底造影でのCNV検出の困難さが指摘されていたが、今回の我々の症例(BVMD4の右眼)でも蛍光眼底造影よりもOCTAの方がCNVの存在範囲と構造を描出でき、CNVの検出においてOCTAが有用であると考えられた(図4)。HRMを有するBVMD31.2%、ARB28.5%にCNVが認められた。OCTAのBscan画像での血流の確認によりCNVの全例がHRM内に存在していたことが判明した。HRMがCNVの発症に強い関連があり、HRMを有する症例では特にCNVの有無を判断するためにOCTAの撮影が重要であると考えられた。BVMDの方がARBよりもHRMの保有率、CNV発症率ともに高いことより、HRMの保有率の差がCNVの発症率の差に関連している可能性がある。またARBはBVMDに比較してより広範囲な病変を呈するため、OCTAの3×3mmの撮影範囲外にCNVが存在する可能性がある。Parodiらの報告ではstage2、3の早期の症例でのCNVは浸出性であり、stage4、5の後期の症例でのCNVは非浸出性であったと報告していたが、我々の浸出性のCNVと診断されたBVMD2眼はstage5と後期の症例であった。これらの症例は視力低下や網膜出血、網膜内液を呈しており、後期の症例でもCNVによって網膜障害を引き起こす可能性が示唆された。

【結語】
CNVの合併はBVMD17.9%、ARB11.1%とアジア人に比較的多くの症例に認められた。浸出性のCNVの視力転機は不良であった症例もあった。OCTAはHRMを有する症例では特にCNVの検出に有用である。

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