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書き出し

土壌診断と健康診断:診断結果を生かさないのは”もったいない”

谷 昌幸 帯広畜産大学

2020.08.26

概要

土壌診断と健康診断:診断結果を生かさないのは”
もったいない”
著者
雑誌名


ページ
発行年
URL

谷 昌幸
ニューカントリー
67
8
46-47
2020-08
http://id.nii.ac.jp/1588/00004659/

有効態リン酸
陽イオンバランス(Ca/Mg/K比)
コレステロ ー ル(善玉/悪玉比)

分 類 に 始 ま り 、 構成 成分 と

で は な い だ ろ う か 。 私自 身

を定 期的 に 受 診 し て い る の

や定 期 健 診な ど の 健 康 診断

改善 す る プ ロ グ ラ ム を 勧 め

に よ る 再 検 査 や 生 活習 慣 を

り に も 悪 い 場 合に は 、 医 師

も ら え る 。 検査 結 果 が あ ま

フ ォ ーマ ン ス を上 げて 収 量

る い は 改 善 し、 作 物 の パ

ば 、土 の 健 康 状 態 を維 持 あ

施 肥 設 計を 行 っ た り で き れ

前 田ま で 土 の 成 り 立 ち ゃ

保肥 力 ・ 保水 性・ 通気 性と
や 品 質の 向 上 に つ な げ る こ

と が で き る 。 逆に 、土 壌 診

られることもある。

断 面調 査 を行 っ た り 、 圃
断 をせ っ か く 行 っ て い る に

人 間 ド ッ クを受 け 続 け て い

リ ウ ム 、 マ グネ シ ウ ム 、 カ

る 。 毎年 の よ う に ド キ ド キ
場 か ら試 料 を採 取 し て 化学

も1年 に1回、 約幼年 近 く

ル シ ウム な ど の 可 給 態 養 分

しなが ら保健師から結果を

肥 や 管 理 を 行 っ て 、 むし ろ

言 い よ う が な い 。 無駄 な 施

ど体に関 わるさま ざま な項

査 し 、 肝機 能 や 脂 質 代 謝 な

採 取 し て 含 ま れ る 成分 を検

トゲ ン な ど に 加 え 、 血 液を

バイ ス をも ら え る こ と は 少

細な 説 明 や 改 善 方 法 の ア ド

師や医師のような人から詳

とは異 なり、いわゆる保健

しか し、人間 の 健康 診断

圃場 か ら 表 層の 土 を 試 料 と

一 殻的 な 土 壌 診 断 で は 、

て い る の で ア ル コ ール を減

「 肝機 能 の 数 字 が 高 く な っ

査 結果に応じて保 健師から

人間 の 健 康 診断 では、 検

解できる人はあまり多 くな

土 壌 診断 票 を読 み 取 っ て 理

な い 。し か し 、 自 分 自 身 で

れ る 生産者 も い る か も し れ

行 っ て い る 土 壌 診断 では、

合 連 合 会 ( 十勝 農 協 連 )の

た り す る 。 十勝 農 業 協 同 組

ビス と し て 分析 し て も ら え

り、 民間 業 者 を 通 じ て サ ー

腿培 管理 (生活 習 環)で
変化 しやす い項 自も

ら し て 休 肝日 を つ く り ま

い 印 象 を持 っ て い る が い か

い 。 生堆 肥 ( 発酵 し て い な

多くなったりするととが多

続けてき て有 効態 リ ン酸が

り 、リ ン 酸 肥 料 の 多 施用 を

が 不 足 し て凶 が 下 が っ た

カ ル シ ウ ム や マ グネ シ ウ ム

変化しやすい項目がある。

いるかといった肥培 管理で

の よ う な 土 壌 改 良 を行 っ て

ぐらい入 れているのか、ど

で 、 ど の よ う な 肥 料 をど れ

も 多 い。 土 壌 診 断 も 同 じ

値 が 高 く な っ一た り す る こ と

っバラ ン ス が 取 れ て い な け

はない。土 の 養分 が 適正 か

用 すれば良いというわけで

い る 場 合に は 、 肥 料 を多 施

る 。た だ 、養分 が 不足 して

は 、養分 が 適正 な状態 であ

引 き出 す こ と が で き る の

物 の 能 力 や 生育 を最 大 限 に

2)。 土 の 力 を 発揮 し て 作

適正 、過 剰に 似 て い る ( 図

の 中の 可 給態 養分 の 不足 、

関 係は 、 土壌 診 断 で い う 土

( や せ 型 )、 中 肉、 肥 満 の

人間で言うととろの痩身

かかわらず、ま だま だ多 量

い状態 になっている。に も

、ボリ ツ ク シ ン ド ロー ム に 近

中に 蓄 積し、い わ ゆ る メ 夕

り 、 相当 量 の リ ン 酸 が 土 の

用 され続けてき たこ とに よ

土 は 多 量の リ ン 酸肥 料 が 施

て き た よ う に 、 例え ば 畑 の

これま での連 載で説明し

る。

い う 考 え 方 は 間違 っ て い

いが良いんでないかい」と

の は、 メ 夕 、ホを 解 消 す る ど
こ ろ か、 ま す ま す 高 カロ
リ ーな 食 事 を続 け て メ 夕 、ボ
を加 速さ せ て い る よ う な も

のである。
土 の 特性 や 養 分 状 態 を知
る た めに は 、定 期的 に 土 壌

診断 を行 う と と が 、 人間 の

健 康 診断 と 同じ よ う に 欠か
せな い 。 た だ 、正 し い 情 報
を得る た めに は 、 い つ 、ど

こから、 どのようにして試
料 を採 取 す る か が 重 要で あ

る 。人 間 ド ッ ク前 の 数 週 間

だ け 禁 酒 し て 、 正常 値 の 診
断結果をもらえたとして
も 、 本当 に そ れ が 正 し い 情

報か 分 か ら な い の と 同 じ か

もしれない。

46
2020.8


カントリ


の 関 係、 窒素 、 リ ン 酸 、カ

ま で詳 細に 説 明 して き た 。

もかかわらず、そ の 結 果 を

生 か せ て い な け れ ば 、と て

性、 物 理 性 、 生物 性 な ど を
分析 し た り す る 土 壌 診 断

受 け 取 っ て い る が 、 おか げ
さま で軽い注 意程度 で済ん

今 回か ら は い よ い よ 土 壌 診
断 票 を読 み 取 っ て 理 解 す る

と 同 じ で 、 士の 健 康 状 態 を

収 量や 品質 を下 げて し ま っ

としか

身 長 や 体 重 な ど の 測定 か

計に 役 立 て る こ と を 目 指 し

把 握し 、 そ の 改 良 や 施肥 設

d

ら始 ま る 人 間 ド ッ クは 医 療

P



機 器 で 測定 し な け れ ば 分 か

ているとすれば、 もったい

目 を調 べ る こ と に よ り 健 康
ないのではないだろうか。

し て 採 取 し 、 農 協 を通じ て

ら な い 血 圧 、 心 電 図、 レン

状 態 を 把 握 し 、そ の 改 善 や
業改 良 普 及 セ ン タ ーの 普 及

農 協 の 営 農 指 導 担当 者 や 農
分析 機 関 で分析 を 行 っ た

ことではないだろうか。

治療 に 役 立 て る こ と を 目 指

員か ら 説 明 や 指 導 を 受 け ら

ないどころか、 あり 得な い

ている。

もったいない

も 、 ま さに 人間 の 健 康 診断

は 土 壌 診断 を人 聞 の 健 康 診

でいる。

断 と 比 べ な が ら 、そ の 意 味

こ と を目 指し て い く 。 ま ず

や 重 要性を解 説 す る 。

目的は健 麗状態 を知 り
改善 に役 立 て る こと
読者の多 くは人間ド ック

している。

しょう」とか「中性脂肪が

土 壌 総 合診断 を推 奨 し て い

物 理 性 や 生物 性 も 診 断 す る

土の化学性だけではなく、

土 壌 診 断 を 定 期的 に 行

がだろうか。
い 、そ の 数 値 の 変 化 を 読 み

高めな の で 、脂っ ぽい肉料
理 は 避 け て 野 菜や 魚 な ど を

取 っ た り 、診断 値に 応じた

足 するくらいな

い 牛 糞 尿 ) を入 れ 過 ぎて 、

れば、 肥 料 で 養分 を入 れ た

健 診 と開 様 に定 期 的な
土壌 診 断 が欠 かせ な い

カ リ ウム 過 剰に な っ て い る

の リ ン 酸肥 料 を入 れ 続 け る

図2

る が 、 実際に は 化 学 性の 診

し ょ う 」 と か ア ド バイ ス を

中 心 と し た 食 事 を多 く し ま

と は な い 。もし、 こ れ ら の

ら 、多 少は過 剰

いとともある。

土 壌 診断 と 人間 の 健 康 診

土 壌 診断 項目 が 変 わ る と す
人間 の 健康 診断 では、食

気 味 で も 問 題な

は 基 本的 に 大 き く 変 わ る と

断 を比較 し て み る と 、か な
れ ば 、 相当 な 変 化 が 起 こ っ

べ過 ぎや飲み過 ぎに よるカ

いと考えている

断 がメインである。

り似ていることが分かる
て い る か 、 あ る い は 検査 の
ロリ ー の 過 剰 摂 取 、 さ ら に

生 産者 も 多 い の

塩基飽和度
中性脂肪 尿酸債 総タンパク

過剰

土の養分が不

( 関 1 )。 い ず れ の 診 断 で

受 け 方 が 問 題で あ る 可能 性
運 動不 足 や 不 摂 生な ど に 起

肥培管理で変化しやすい項目
生活習慣で変化しやすい項目

適正

土 の養 分 過 剰 状 態 は
人聞 の φ嗣満 φと同 じ

も「あま り変わらない」あ

が 高い 。 この変化につ いて

連 載でも養分ご

る い は 「 基 本的 に 変 わ ら な

ろ ん 遺 伝や 体 質 も 影 響 す る

とに説明してき

か 。これまでの

一方、 健 康 診断 で は 食 生

ので一概には言えないが、

た よ う に 、過 剰

い」項目がある。人間 でい

ではないだろう

N

肥満が

因す る 、 い わ ゆ る

活や 運 動 な ど の 生 活習 慣 で

肥 満 は 体 の パ フ ォ ーマ ン ス

な 施肥 や 堆肥 散 布 な ど に 伴

が 大 き な 問 題に な る 。 も ち

と は な く 、血 液型 が 定 期的
変化しやすい項目がある。

を 下 げ る だ け で な く 、 糖尿

う 土 の 養 分 過 剰 は 、作 物 の

は 、 次 回以 降 で 詳 し く 説 明

に 変 わ る な ど も あ り 得な い

人 そ れ ぞ れ の 遺 伝的 な 体 質

病 、 高血 圧 や 脂 質 代謝 異 常

生育 や 品質 の 低 下 をも た ら

する。

の と同じで、土 壌 診断 では
も あ る が 、 塩分 を取 り 過 ぎ

などの疾病につ ながる可 能

す こ と も 多 く 、「 過 剰な く ら

う と身 長が 大き く変 わ る こ

陽 イ オ ン 交 換 容 量 ( CE
C)や リ ン 酸 吸 収 係数 な ど

て 高血 圧 に な っ た り 、 高 カ

性が 高い 。

陽イオン交換容量
lJン酸吸収係数

ニヱ
2020.8

あまり変化しない項回


基本的に変化しない

不足

たに まさゆき
1995年筑波大学大学院農学研究科
修了。 博士(農学)。 同年帯広畜
産大学畜産学部助手、 2003年同大
助教授、 15年から現職。 1968年大
阪市生まれ。

だ け で は 効 果 が 発揮 で き な

土壌養分

昌幸


ロリ ー な 食 事 を 続 け て 尿 酸

匡亙週
直雇掴

熱水抽出性窒素
土壌pH
血糖値
腹囲
体重
血圧



ニュ ー カントリ

47

人間の痩身・中肉・肥満と土壌養分
の不足・適正・過剰の関係

帯広畜産大学
グロ ー バルアグロメディシン
研究センタ ー 教授
臨場 も よ く 見 掛 け る 。 ...

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