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書き出し

磁場下での放射線治療における深層学習を用いた新たな線量計算手法の開発

梶川, 智博 東北大学

2023.03.24

概要

(書式18)




位 論 文 要 約
A b s t r a c t )

博士論文題目 Title of dissertation
磁場下での放射線治療における深層学習を用いた新たな線量計算手法の開発

東北大学大学院医学系研究科
内科病態学講座
氏名 Name

医科学専攻

放射線腫瘍学分野
梶川 智博

【目的】
MRI(magnetic resonance imaging; 磁気共鳴画像)と外照射装置とを組み合わせた MR リニアックでは,
MR 画像誘導即時適応放射線治療(治療回毎に患者の解剖学的な状態に適応させることで,腫瘍への線量の向
上および正常組織への線量を低減する方法)が可能である.一方で,磁場内では荷電粒子がローレンツ力の影
響を受けることで,線量分布が歪むことが知られている.一般的な線量計算アルゴリズム
(Convolution/Superposition 法など)は,計算が高速である一方で,磁場下での線量計算を正しく行うこと
が不可能である.そのため,計算時間が長い代わりに,磁場下での線量分布の歪みを考慮できる高精度な計算
アルゴリズムが用いられる.本研究では,MR 画像誘導即時適応放射線治療の普及に向け,磁場下での正確か
つ高速な線量計算のための深層学習モデルの開発を目的とした.
【方法】
50 人の前立腺癌患者を使用した.全ての患者は,Monaco version 5.4 (Elekta AB, Stockholm, Sweden) の
GPU Monte-Carlo dose を用いて,1.5 T の磁場下/非磁場下にて 15 門の強度変調放射線治療(IMRT)によ
り非臨床で再計画された.なお,非磁場下での線量は,磁場下での治療計画と同じプラン条件にて算出された.
この再計画で得られたデータに対し,値の置換やリサンプリングなどの処理を行った.本研究における真値は,
このデータ処理後の磁場下での計算線量とした.2 つの 2 次元モデル(U-Net と DenseNet)を構築した.こ
れらのモデルは,2 つの入力チャンネル(非磁場下での各照射野の計算線量,解剖学的構造マップ(Hounsfield
unit (HU),Electron density (ED))
)と 1 つの出力チャンネル(磁場下での対応する照射野の計算線量)か
ら構成される.本研究では,この 2 つのモデル構造と 2 つの解剖学的構造マップの組み合わせ,計 4 パター
1

(書式18)
ンを解析した.計 50 症例のデータセットを,学習/検証用に 40 症例(4 分割交差検証)
,テスト用に 10 症例
に分割し,磁場下での計算線量を真とした定量評価(平均二乗誤差およびγ解析)により評価した.なお,統
計解析として Wilcoxon の符号順位検定を用い,得られた定量評価結果(磁場下で計算した線量分布における
MSE およびγパス率)において,基準とする非磁場下での計算線量に対する有意差検定を行った.
【結果】
全ての深層学習モデルでの線量は,磁場下での計算線量と視覚的に良く一致した.テストデータにおける体
輪郭内における磁場下での計算線量との MSE は,DenseNetED では 7.45×10-5±4.30×10-5,DenseNetHU では
7.51×10-5±4.21×10-5,U-NetED では 7.71×10-5±4.53×10-5,U-NetHU では 7.70×10-5±4.57×10-5,非磁場下で
の計算線量では 6.50×10-4±2.73×10-4 であった.また,皮膚領域における磁場下での計算線量との MSE は,
DenseNetED で は 8.02×10-5±1.15×10-4 , DenseNetHU で は 8.25×10-5±9.30×10-5 , U-NetED で は
9.64×10-5±1.31×10-4,U-NetHU では 9.70×10-5±1.40×10-4,非磁場下での計算線量では 1.75×10-3±1.55×10-3
であった.体輪郭内における磁場下での計算線量とのγパス率(2 mm / 2%)は,DenseNetED では
99.29%±0.71% , DenseNetHU で は 99.23%±0.77% , U-NetED で は 99.25%±0.90% , U-NetHU で は
99.25%±0.96%,非磁場下での計算線量では 73.13%±6.02%であった.また,皮膚領域における磁場下での計
算線量とのγパス率(2 mm / 2%)は,DenseNetED では 98.40%±3.58%,DenseNetHU では 98.51%±3.45%,
U-NetED では 98.35%±3.96%,U-NetHU では 98.55%±3.82%,非磁場下での計算線量では 65.42%±13.89%
であった.全ての深層学習モデルは,非磁場下での計算線量と比較して,有意に磁場下での計算線量と良く一
致していた(p<0.001)
.また,DenseNet モデルと U-Net モデルでは同等の精度を示した.なお,入力した
解剖学的データの形式では,ED マップと HU マップ間の差は小さかった.
【結論】
本研究では,MR 画像誘導即時適応放射線治療の普及に向け,磁場下での放射線治療における,正確かつ高
速な線量計算のための深層学習モデルを構築した.このモデルは,非磁場下での線量計算結果および患者の解
剖学的構造マップから,磁場下での線量計算を行う.その有用性の検討のため,男性骨盤領域(低リスク前立
腺がん想定)における,磁場下での放射線治療を想定したシミュレーションを行い,提案手法の計算精度を評
価した.
2 種類のモデル構造(U-Net ベース,DenseNet ベース)と 2 種類の解剖学的構造マップ(HU マップ,ED
マップ)の組み合わせ計 4 パターンでの解析を実施した結果,全ての組み合わせで非磁場下での線量計算結果
2

(書式18)
よりも優れた精度であった.このため,深層学習を用いた本提案手法は,磁場下での放射線治療における,正
確かつ高速な線量計算のための有効な手段となる可能性が示唆された.また,モデル構造には精度の差は見ら
れなかったが,パラメータ数の観点から DenseNet の方が U-Net よりも磁場下での線量計算に適している
ことが示唆された.なお,解剖学的情報の違いには精度の差は見られなく,解剖学的構造マップの違いは精度
に大きく関与しないことが示唆された.

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