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大学・研究所にある論文を検索できる 「Soluble podoplanin as biomarker in diffuse-type gastric cancer」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Soluble podoplanin as biomarker in diffuse-type gastric cancer

滝口 光一 山梨大学

2022.03.18

概要

研究目的
スキルス胃癌を含むびまん性胃癌はいまだ予後不良な疾患である。治療成績の向上には病態を反映するバイオマーカーの存在が不可欠であるが、現在有用なマーカーは存在しない。びまん性胃癌は細胞成分が少なく、その大部分を間質が占めるため、従来の癌細胞由来の分子マーカーでは病態を反映していないと考えられる。本研究では、びまん性胃癌の大部分を占める間質に着目し、その中でも腫瘍の進展に大きく関与している癌関連繊維芽細胞(CAF)のマーカーである Podoplanin(PDPN)がびまん性胃癌のマーカーとなりうるかどうかを検討した。
PDPNは胃癌細胞に発現はなく、癌周囲のCAFに発現する。その発現が胃癌の予後因子であることはすでに当教室より報告している。この PDPN が血漿中で検出でき、癌患者で有意に高値であったとの報告があったことを受け、臨床応用性が高い血漿サンプルを用い、PDPN 発現を確認し、びまん性胃癌のマーカーとなりえるか検証した。

方法
可溶性PDPNのバイオマーカーとしての可能性を検証するため以下の項目を検討した。
① 血漿中PDPN発現と臨床病理学的因子、予後との検討
胃癌患者 46 例の術前血漿サンプルを用いて ELISA 法で血漿 PDPN を測定し臨床病理学的因子を検討した(Development cohort(DC))。DC の中央値をカットオフ値(0.6ng/ml)とし、高発現群、低発現群に分けた。また Validation cohort(VC)として 84 例の術前血漿サンプルを用いて臨床病理学的因子の検証と予後解析を行った。
② 血漿中 PDPN 発現と組織中 PDPN の発現の検討
組織と血漿のPDPN 発現の相関を DC の 29 症例の免疫組織化学染色(IHC)で評価した。抗体はD2-40を用いた。
③ PDPN タンパクの癌細胞への作用を検証
胃癌細胞株( NUGC-3, MKN74 ) に対しPDPNリコンビナントタンパクを直接作用させ、細胞機能(migration, invasion, proliferation)の変化を評価した。

結果
① DC、VC ともに血漿中PDPN 高発現群で Lauren 分類 diffuse type が多い傾向であった(p=0.079, p=0.024)。DC とVC を合わせた 130 例の解析では diffuse type と血漿PDPN 発現に有意な相関を認めた(p=0.008)。予後解析では高発現群で 5 年recurrence free survival (RSF) rate が有意に不良であった(p=0.029)。
② IHC では血漿中 PDPN 高発現群でTumor invasion front のCAF にPDPN が高発現している症例を多く認めた (p=0.064)。
③ PDPNを直接作用させた癌細胞(NUGC-3,MKN74)において遊走能、浸潤能、増殖能の増加は認めなかった。

考察
① 血漿中PDPN高発現群にびまん性タイプを多く認めた。びまん性タイプでは癌間質も多く、血漿中PDPNは組織中の癌間質量を反映しているものと思われた。癌間質量の多さは予後に関与しているとの報告もあり、本研究でも血漿中PDPN高発現群の5年RFSの低下につながったものと考えられる。

② 少数例の検討ではあったが、血漿中PDPN高発現群ではTumor incasion frontでPDPNが発現している症例を多く認めた。腫瘍先進部のCAFは腫瘍浸潤に直接関与しているという報告がある。血漿中PDPNは間質量だけでなく、CAFの活動性も反映している可能性がある。

③ PDPNタンパクを直接胃癌細胞株に作用させたが、機能変化は起こらなかった。PDPN自体に癌細胞への直接作用がなかったと考えられるが、今後、他の情報伝達手段の存在や間接作用について確認しなければならない。情報伝達の手段についてはexsosomeにPDPNタンパクが含有していたとの報告がある。 Exosomeとして癌細胞がPDPNタンパクを取り込んでいる可能性もあり、今後検証が必要と思われる。
また近年血小板が癌進展に大きく関与していると報告されている。PDPNは血小板の活性化受容体 CLEC-2の生体内リガンドである。PDPNが血小板上のCLEC-2に結合し、血小板を活性化させることで間接的に癌進展に関与しているという可能性があり、間接作用についても検証が必要と思われる。

結論
血漿中可溶性PDPN は組織中の間質量やCAF の活動性を反映している可能性があり、びまん性胃癌で高発現しているものが多かった。また高発現群では予後も不良であり、血漿中可溶性 PDPN はびまん性胃癌の Surrogate マーカーとなる可能性が示唆された。可溶性 PDPN の機能についてはタンパクそのものに直接的な作用は認めなかったが、様々な可能性は残り、今後さらなる検証が必要である。

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