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大学・研究所にある論文を検索できる 「Long-Term Levocarnitine Ameliorates Left Ventricular Diastolic as Well as Systolic Dysfunction in Hemodialysis Patients ― Multi-Center Study ―」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Long-Term Levocarnitine Ameliorates Left Ventricular Diastolic as Well as Systolic Dysfunction in Hemodialysis Patients ― Multi-Center Study ―

内藤, 順子 岐阜大学

2020.02.19

概要

カルニチンは血液透析患者においてしばしば欠乏しており,心機能障害,左室肥大を引き起こすこ とが知られている。血液透析患者では心血管疾患の発生率は高く,左室機能障害のある患者の予後は 不良である。血液透析患者の左室収縮機能と左室肥大に対するレボカルニチン療法の効果に関しては,左室駆出率を改善し左室心筋重量係数を低下させることが報告されている。しかし,左室拡張機能障 害に対するレボカルニチンの長期効果については,未だ明らかにされていない。本研究では血液透析 患者における左室拡張機能障害と HFpEF(heart failure with preserved ejection fraction)に対する長期レボカルニチン投与の効果を多施設共同研究にて調査した。

【対象と方法】
88 人の血液透析患者に対し,血液透析終了時に透析回路内へレボカルニチン 1000mg を静脈内投与した。左室駆出率(LVEF,%),E/A,E/e’,左房容積係数(LAVI, mL/m2),左室心筋重量係数(LVMI,g/m2)をレボカルニチン投与開始前,3,6,9,および 12 か月後に心臓超音波検査にて評価した。E/A≦0.8, E/e’>14,LAVI>34 ml/m2 を左室拡張機能障害,LVEF<55%を左室収縮機能障害と定義し,レボカルニチンの,左室拡張機能障害,左室収縮機能障害,HFpEF に対する効果を検討した。静脈血を採取し BNP,血漿総カルニチン,遊離カルニチン,アシルカルニチン,血液生化学項目を測定した。

【結果】
左室拡張機能を,E/A≦0.8 と E/A>0.8,E/e’>14 と E/e’≦14,LAVI>34 mL/m2 と LAVI≦34 mL/m2の群に分けて検討し,左室拡張機能障害(E/A≦0.8,E/e’>14,LVAI>34mL/m2)のある群ではレボカルニチン投与により 12 か月後にはそれぞれの左室拡張機能の指標が有意に改善した。また LVEF< 55%の左室収縮機能障害のある群でも 12 か月後には有意な改善を認めた。左室拡張機能が正常な群,左室収縮機能が正常な群では変化しなかった。また,HFpEF (EF>50%かつ LVAI>34ml/m2, EF>50%かつ E/e’>14, EF>50%かつ e’<7 cm/s)において,レボカルニチン投与により 12 か月後には,それぞれの指標は有意の改善を認めた。左室心筋重量係数は 12 か月後には有意な減少を認めた。BNP は 12 か月後には差はなかった。血漿中の総カルニチン濃度,遊離カルニチン濃度,アシルカルニチン濃度は有意に増加した。血液生化学項目に有意な変化は認めなかった。また,年齢,性,糖尿病,高血圧症,高脂血症,左室心筋重量係数の低下,使用薬剤(ACE 阻害薬,ARB,Ca 拮抗薬,ß 遮断薬,利尿薬,スタチン,抗糖尿病薬)などの背景因子は,レボカルニチンによる左室拡張機能,左室収縮機能には影響を与えなかった。

【考察】
カルニチン(4-N-トリメチルアミノ 3-ヒドロキシ酪酸)は主に赤身の肉,魚,乳製品などの食物に 由来する天然化合物でほとんどが小腸から吸収される。肝臓,腎臓,脳ではリジンとメチオニンから 少量が合成され生体ではカルニチンのほとんどは骨格筋に存在しており,心筋では血液からのカルニ チンの取り込みに完全に依存している。カルニチンは脂肪酸代謝において重要な役割を果たしており, ATP 産生において細胞外から細胞質への長鎖脂肪酸の運搬を担い心筋における脂肪酸代謝では十分な 濃度のカルニチンが必要である。血液透析患者ではカルニチン欠乏がしばしば生じるが,これは透析 処置によるカルニチンの喪失によって起こるとされ,透析患者の心肥大の原因の 1 つとされている。また血液透析患者では左室機能障害が起こるとされ,心血管イベントの原因となっている。

レボカルニチン投与により左室収縮機能改善の報告はあるが左室拡張機能障害改善は未だ報告されていない。今回,本研究において,血液透析患者にレボカルニチンを投与することにより,12 か月後の E/A,E/e’,LAVI を指標とした左室拡張機能障害が改善することを初めて明らかにした。しかし,正常な左室拡張機能を有する患者の左室拡張機能は変化しなかった。さらに,レボカルニチン投与により LVEF を指標とした左室収縮機能の改善が認められたが,この結果は今までの報告と一致している。しかし,正常な左室収縮機能を有する患者の左室収縮機能は変化しなかった。また,レボカルニチン投与により HFpEF も改善された。これらの結果は,透析により左室拡張機能や収縮機能が低下した場合に,レボカルニチンを投与することが,左室拡張機能改善,左室収縮能機能改善に有益であることを示している。レボカルニチンによる左室拡張機能障害の改善のメカニズムの詳細は不明であるが,カルニチンが長鎖脂肪酸のミトコンドリア内への輸送に必須であり,β酸化による ATP 産生やアシル CoA/CoA の比率の調節に関与していることと関連している可能性はある。心肥大は左室拡張機能障害との関連が報告されているが,本研究では,レボカルニチンによる左室心筋重量係数の減少は左室機能障害の改善とは関連していなかった。また,年齢,性,糖尿病,高血圧症,高脂血症,左室心筋重量係数,使用薬剤(ACE 阻害薬,ARB,Ca 拮抗薬,ß 遮断薬,利尿薬,スタチン,抗糖尿病薬)などの各種背景因子も影響を与えていなかった。

【結論】
血液透析患者に対する長期レボカルニチン投与は,左室収縮機能障害と同様に左室拡張機能障害を改善する。

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