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大学・研究所にある論文を検索できる 「T2*-weighted MR imaging findings of giant cell tumors of bone: radiological-pathological correlation」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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T2*-weighted MR imaging findings of giant cell tumors of bone: radiological-pathological correlation

西堀, 弘記 岐阜大学

2020.03.25

概要

【目的】
骨の巨細胞腫瘍(Giant cell tumor: GCT)は,多数のマクロファージや大きな破骨細胞様の巨細胞を含む単核細胞で構成される。良性であるも局所侵襲性を呈する原発性骨腫瘍である。GCT は,すべての原発性骨腫瘍の約 5%,良性骨腫瘍の約 20%に相当するため,その画像診断は重要である。T2*強調 MR 画像では,さまざまな組織や病変において出血,石灰化,ヘモジデリンの沈着を検出するために広く使用されているシーケンスであり,従来のスピンエコーシーケンスとは異なり微小出血を低信号のスポットとして検出できる。GCT の充実成分は,T1 および T2 強調画像で低信号から中間信号を示すことが多く,この信号の原因はヘモジデリン沈着として報告されているが,これまで GCT の T2*強調画像所見を評価した報告は無い。脳神経領域でのヘモジデリン沈着検出には T2*強調 MR 画像が広く利用されてきたが,果たして骨の GCT でも同様の有用性があるか検証する必要がある。本研究の目的は,T2*強調 MR 画像と GCT の病理学的所見との相関を評価することである。

【対象と方法】
2005 年 11 月から 2018 年 4 月の間で,病理組織学的に証明された GCT 患者 33 名のうち,1.5-T MRI装置を用いて T2*強調画像を含む MR 検査を施行された 12 名((平均年齢 39 歳(19-60 歳),男性 7 名,女性 5 名))を対象とした。病変部位は,大腿骨(n = 5),脛骨(n = 3),橈骨(n = 2),腓骨(n = 1),頸椎(n = 1)であり,すべてに局所痛が存在した。GCT の MRI 画像の評価,特に T2*強調画像における低信号(以降 T2*低信号と記載)の評価は,臨床情報を隠した状態で2名の経験のある放射線科医師がレトロスペクティブに行った。病理評価ではヘモジデリン沈着量と出血量をそれぞれ二つのカテゴリーに分類した。Mann-Whitney U 検定を使用し,T2*低信号を伴う GCT と伴わない GCT の間で,患者の年齢や最大腫瘍径などの定量的パラメーターを比較した。さらにカイ 2 乗検定またはフィッシャー検定にて,T2 低信号,隔壁形成,嚢胞形成,液面形成,T2 強調画像の内部均一性,および T2*低信号がみられる GCT と T2*低信号がない GCT 間の T1 強調画像信号高信号の頻度を比較した。

【結果】
6/12(50%)の GCT で T2*低信号が確認された。T2*低信号の形状は,線状を示すものが 5/6(83%)で結節状のものが 1/6(17%)であった。T2 強調画像では,境界明瞭な辺縁と蛇行する骨内膜が 12/12(100%)の GCT で観察され,膨張性の発育形状が 11/12(92%),皮質破壊と T2 低信号がそれぞれ10/12(83%),隔壁形成が 6/12(50%),嚢胞形成が 4/12(33%),液面形成が 3/12(25%),内部の均一性は 2/12(17%)で観察された。また,脂肪抑制 T2 強調画像では,12/12(100%)で骨膜反応が観察された。

T2 強調画像での隔壁形成(83%対 17%; p <0.05)および嚢胞形成(67%対 0%; p <0.05)は T2*低信号がみられる GCT で有意に高かった。T2*低信号がみられる GCT では 6 例中 5 例(83%)で多量のヘモジデリン沈着が病理学的に観察され,1 例(17%)で少量のヘモジデリン沈着がみられた。対照的に,T2*低信号がみられない GCT6 例のすべて(100%)でヘモジデリン沈着が少量であった。

【考察】
GCT の血管間質には,通常薄い壁の血管チャネルが非常に多く含まれており,出血しやすい領域を持つ。ヘモジデリンの沈着は GCT の病理学的特徴であり,貪食された血管外遊走赤血球による過剰鉄で生じるとされている。本研究では,6/12(50%)の GCT で T2*低信号が確認され,T2*低信号がみられる GCT では 6 例中 5 例(83%)で多量のヘモジデリン沈着が病理学的に観察された。一方 T2*低信号がみられない GCT6 例のすべてでヘモジデリン沈着は少量であった。本結果より,ヘモジデリン沈着がある場合もその量が少ない場合は,T2*強調 MR 画像で低信号を示さない事が確認できた。また,嚢胞形成か隔壁形成を呈する症例では T2*強調画像で低信号を示す傾向があり,これらの組織像が出血を反映していることが推測された。これらのことより,GCT の病理組織学的特徴を正確に把握するためには T2*強調画像は適しているが,脳神経領域における T2*強調画像によるヘモジデリン沈着検出のように,高感度を要求されるマーカーとしての役割は高く無いといえる。

【結論】
本研究における GCT の半数で T2*強調画像で低信号が認められ,ヘモジデリン沈着が確認された。一方 T2*強調画像で低信号を示さない症例ではヘモジデリン沈着が少ない傾向であった。また,嚢胞形成か隔壁形成を呈する症例では T2*強調画像で低信号を示す傾向があり,これらの組織像が出血を反映していることが推測された。

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