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書き出し

2.1.8 科学コミュニケーション

富山大学理学部 富山大学

2021.07

概要

理学部を特徴付ける教育・研究

2.1.8 科学コミュニケーション
科学コミュニケーション 世話人 島田 亙・川部 達哉
近年,国民全般には正しい科学の基礎・基本知識を持つこと(いわゆる科学リテラシー)が期待される
ようになった.そこで,理系大学生・大学院生に対し,自身が考える科学の見方や知識を社会へ正しく効
果的に発信する力をつける目的から,理学部で開設された授業が「科学コミュニケーション」である.こ
の授業では“科学を(科学で)伝える”ことをテーマにして,コミュニケーション能力の育成に取り組ん
でいる.
この授業の特徴の一つは,学生自身の科学コミュニケーション能力開発を目的として,その分野で実際
に活躍されている社会人を講師として招いて実施していることである.毎日新聞論説委員の元村有希子
氏には TV 番組出演時や新聞記事作成時における実例を挙げながら科学を紹介する技法や記事の書き方
を,NHK 制作局大型企画開発センター チ-フプロデュ-サ-の井上智広氏には科学番組制作に携わる
立場から効果的な視聴覚的手法と情報伝達の注意点を,また,アナウンサーの廣川奈美子氏には内容を伝
える際の言葉の選び方や話し方について御教授していただいている.
また,
この授業の特徴の二つめは,
単に座学だけで終わることなく,
実践学習を含めていることである.
前期と後期のそれぞれで最終実践課題を設定し企画から作成・実施まで行う.2020 年度はコロナ禍で 4
月の時点では警戒レベルが高く,この授業の開講さえ不透明な状況であった.6 月中旬にようやく対面で
外部講師の方々の授業を行う事ができたおかげで,課題への流れをつくることができた.具体的な実施内
容は以下の通りである.
前期の実践学習課題は,科学を分かりやすく,興味深く伝える場としてサイエンスカフェを,学生自身
が発案・企画し,実際に運営することである.当初は動画配信の企画も考えたが,参加者と双方向のやり
とりをしながら一緒に考えてもらうのがサイエンスカフェの本来あるべき姿と改めて考えて,事前登録
によるリモート開催で 2 つの班が次の企画 A,
B を 10 月 3 日(土)の午前と午後に分けて催すことにした.
画面共有しスライドをみせながら内容を説明するだけでなく,参加者にも簡単な実験を行ってもらい,そ
の不思議さを体感してもらった.
企画 A は「ねるねるねるねの謎を化学で解明」
.よく知られているお菓子を予め手元に用意して参加し
ていただくようリモート参加者に呼びかけて,当日は色や形が変化する面白さに触れてもらった.重曹(炭
酸水素ナトリウム)が酸味料(クエン酸)との化学反応によってふくらむこと,酸性かアルカリ性かでアン
トシアニンという色素成分の構造が変わる事を,参加者の反応をみながら丁寧に説明していた.食品会社
には内容について事前に承諾を得た上で行い,説明に使用している商品が安全であることや,この作用に
は様々な活用があることも紹介していた.
企画 B は「霧吹きの噴射の秘密」
.スプレーは用途によって様々な構造があることを動画を交えて説明
した後,早い流速の気体の周辺に起こる気圧変化(ベンチュリ効果)を利用したストローによる霧吹き実験
をした.説明した学生らは参加者の方々のうまくいかない様子を画面越しに見て再度,技術的なコツを説
明していた.後日質問メールがあり,それに対しても図解をつけて丁寧に回答していた.簡単なようでち
ょっと難しいこの実験は,どうしたらうまくできるかを試行し考えてもらう事で現象を理解できる,ちょ
うど良い実験だったと思う.
後期の授業の課題は,科学記事を作成することである.具体的には,まず学生が取材対象となる大学生
や大学院生を選び,元村講師から取材技術,文章作成のコツなどの指導を受けた後,実際に取材し,記事
を作成・推敲する.2020 年度は受講生 6 人が 2 班に分かれて各班 1 篇ずつ記事を作成し,Moodle に記
事検討用掲示板を設けて推敲しながら,元村講師のリモート添削授業と再提出による厳しい添削指導を
経てようやく記事が完成した.

50

富山大学理学部 Annual Report 2020

理学部を特徴付ける教育・研究

取材対象の一人は松田研究室学部 4 年生の大原倫仁さん.ゼブラフィッシュがもつあるホルモンの作
用について研究されている.もう一人は畑田研究室修士 2 年生の伊藤真弥さん.コンピューターシミュレ
ーションによる結晶構造解析について研究されている.作成記事 2 篇は理学部後援会報「りっか」に掲載
し,理学部案内「スペクトラ」にも 1 篇掲載されることとなった.
「りっか」の記事は理学部出身の若手
の研究を学生の保護者等が知る手立てとなり,
「スペクトラ」の記事は富山大学理学部を志望する高校生
等が聞き手の学生を通して研究する若手の生活の生の姿を知る情報となる.
受講生は取材した研究内容を文字におこしてみて初めて,わかりやすい言葉に置き換えながら興味深
く伝える事の難しさに気づいたようだ.最終稿提出までの検討や確認の重要性など,彼らが記事作成を通
して学んだ事は大きい.
受講生それぞれの今後の進路において,この授業で培った考え方や実践力の更なる成果がある事を期
待している.

~サイエンスカフェ A(リモート開催)~

~サイエンスカフェ B(リモート開催)~

色を変化させる効果がアントシアニンにあることを
実験を通して伝えようとする受講生の様子(上)と、
Zoom での実験の中継(下)


ストローを使った霧吹きのコツを説明し、実際にライブ映
像でみせようとする受講生の様子(上)と、Zoom での説明
の中継(下)


後期第 1 回授業で講師の元村氏から記事作成に必要
な考え方やスキルを学ぶ受講生の様子。 ...

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