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Effects of liraglutide and empagliflozin added to insulin therapy in patients with type 2 diabetes: a randomized controlled study

中口 裕達 横浜市立大学

2021.03.25

概要

<背景・目的>
 糖尿病患者の生命予後には動脈硬化症が大きく関与すると考えられ, 心筋梗塞や脳梗塞などの発症が重大な影響を及ぼす.したがって良好な血糖管理を長期間持続させるだけでなく, 体重, 脂質, 血圧管理などを徹底することで動脈硬化症の発症や進行を抑制することが重要である.
 近年, 海外で心血管イベントを主要評価項目とした大規模臨床試験が盛んに行われている.2015年以降に施行されたsodium/glucose cotransporter 2(SGLT2)阻害薬, glucagon like peptide-1(GLP-1)受容体作動薬について検討した試験EMPA-REG OUTCOME(Zinman et al., 2015), CANVAS Program(Neal et al., 2017), LEADER(Marso et al., 2016), SUSTAIN-6(Marso et al., 2016)では, それぞれ薬剤の優越性が示され注目を集めた.
 心血管イベント抑制が示されたGLP-1受容体作動薬, SGLT2阻害薬は大いに期待されるが, インスリンと長期併用の既報は少なく, 副次的効果についても更なるエビデンスを蓄積する必要がある.また糖尿病患者では肥満や, それと対照的にサルコペニアなどの評価も重要であるが, 体組成に関するエビデンスも十分ではない.本研究の目的は, インスリン療法中の2型糖尿病患者におけるGLP-1受容体作動薬リラグルチド, SGLT2阻害薬エンパグリフロジンの糖代謝, 体重および体組成, 微量アルブミン尿などへの効果を, 介入期間24週の非盲検無作為化比較試験にて明らかにすることにあった.

<実験材料と方法>
 2017年6月から2019年5月まで横浜市立大学附属病院と横浜中央病院で実施した, 非盲検無作為化比較試験である.外来でインスリン療法中の年齢20歳以上, 80歳以下2型糖尿病患者, ベースラインのHbA1c≧7.0%, ≦9.5%を対象に, リラグルチドもしくはエンパグリフロジンを追加投与し, 4週, 12週, 24週(各±2週)でフォローアップを行った.リラグルチドは添付文書通り0.3mg/日で開始し, 1週間毎に0.3mgずつ増量, 0.9mg/日で維持した.エンパグリフロジンは10mg/日で開始し, 12週経過時点で血糖管理不良例では25mg/日への増量基準を設けた.主要評価項目はHbA1cの変化量の差とし, 副次評価項目は体重, 体成分, 随時尿中微量アルブミンの他, 肝・腎機能, 脂質, 尿酸, 血圧, 低血糖頻度などの差とした.体成分検査は二重エネルギーX線吸収測定(DEXA法)を使用し, 開始時と24週時に精査した.

<結果>
 66例を組み入れ, 最終的に61例(リラグルチド群30例, エンパグリフロジン群31例)が試験開始した.平均年齢:リラグルチド67.2±9.0歳, エンパグリフロジン66.3±9.5歳, BMI:リラグルチド26.4±4.6, エンパグリフロジン25.8±4.1, 開始時HbA1c:リラグルチド8.04±0.75%, エンパグリフロジン8.08±0.76%で群間差なし.HbA1c変化量は24週間でリラグルチド-1.24±0.15%vs.エンパグリフロジン-0.35±0.11%, p<0.0001と有意差あり.同様にグリコアルブミン変化量もリラグルチドに優越性を認めたが, 空腹時血糖および食後血糖変化量には有意な群間差を認めなかった.体成分検査で総体重(kg)は, リラグルチド-1.1±0.4(kg), エンパグリフロジン-1.3±0.4(kg), (p=0.65)と両群に減少を認めたが, 体脂肪と徐脂肪組織の変化量に群間差はなく, それぞれの減少幅も同程度であった.
 随時尿中微量アルブミン尿(ACR)について, 開始時ACRはリラグルチド群(中央値)52.9[15.7, 505.5]mg/g・Crに対し, エンパグリフロジン群66.6[20.7, 134.2]mg/g・Crで差なし.24週間の変化量∆ACR中央値:リラグルチド-5.3[-60.6, 9.9]mg/g・Crに対しエンパグリフロジン-12.9[-70.8, -2.0]mg/g・Cr, (p=0.23), 変化量に有意差は認めなかった.
 その他, 肝機能, 脂質プロファイル, 尿酸値に群間差なし.副次評価項目ではシスタチンC変化量にのみ有意差がついた.
 全体の37.7%に有害事象が生じたが, それに伴う試験中止例はなし.低血糖(血糖70mg/dL未満と定義)が最も多く21症例(全体の34.4%)に生じたが, いずれも非重症低血糖であった.低血糖頻度に群間差なし.その他, リラグルチド群3例に腹部症状が生じたが, 対症療法と薬剤調整により継続可能であった.エンパグリフロジン群では陰部そう痒が1例生じ, 対症療法で軽快した.

<考察>
 インスリン併用下において, リラグルチドはエンパグリフロジンに比べ, 糖代謝マーカーであるHbA1cとGAを有意に低下させた.DPP4阻害薬を含めインクレチン関連薬はアジア人で著効しやすいとの報告があり(Kim et al., 2013), 本研究におけるリラグルチドの血糖改善効果は妥当と考える.一方でエンパグリフリジンについても血糖管理を改善させており, 一定の効果を確認できた.体重減少や尿中アルブミン排泄量について2群間で有意差を認めないことは, 本研究のように罹病期間の長い高齢患者群においても, 両剤が多面的効果のある薬剤であることを示唆する.体成分に関しては体脂肪以外に徐脂肪組織の減少も認めたため, 更なるエビデンスの蓄積と, 適応症例の吟味が必要である.腎症評価についてはより長期的なフォローアップが望ましく, 今後の検討課題である.

<結語>
 インスリン療法で血糖管理不十分な2型糖尿病患者へのリラグルチド追加投与は, エンパグリフロジン追加よりもHbA1cおよびGAを大幅に低下させた.両群の低血糖頻度に差はなく, 重症低血糖を伴わずに経過した.体重変化と尿中アルブミン排泄変化量に関して群間差は認めなかった.

参考文献

Kim YG, Hahn S, Oh TJ, Kwak SH, Park KS, Cho YM. (2013), Differences in the glucose- lowering efficacy of dipeptidyl peptidase-4 inhibitors between Asians and non-Asians: a systematic review and meta-analysis. Diabetologia, 56(4), 696-708.

Marso SP, Bain SC, Consoli A, Eliaschewitz FG, Jodar E, Leiter LA, Lingvay I, Rosenstock J, Seufert J, Warren ML, Woo V, Hansen O, Holst AG, Pettersson J, Vilsboll T. (2016), Semaglutide and Cardiovascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetes. N Engl J Med, 375 (19), 1834-1844.

Marso SP, Daniels GH, Brown-Frandsen K, Kristensen P, Mann JF, Nauck MA, Nissen SE, Pocock S, Poulter NR, Ravn LS, Steinberg WM, Stockner M, Zinman B, Bergenstal RM, Buse JB. (2016), Liraglutide and Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes. N Engl J Med, 375 (4),311-322.

Neal B, Perkovic V, Mahaffety KW, de Zeeuw D, Fulcher G, Erondu N, Shaw W, Law G, Desai M, Matthews DR. (2017), Canagliflozin and cardiovascular and renal events in type 2 diabetes. N Engl J Med, 17, 377 (7), 644-657.

Zinman B, Wanner C, Lachin JM, Fitchett D, Bluhmki E, Hantel S, Mattheus M, Devis T, Johansen OE, Woerle HJ, Wanner C, Inzucchi SE. (2015), Empagliflozin, cardiovascular outcome, and mortality in type 2 diabetes. N Engl J Med, 373 (22), 2117-2128.

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