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大学・研究所にある論文を検索できる 「Teriparatide improves pain-related behavior and prevents bone loss in ovariectomized mice」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Teriparatide improves pain-related behavior and prevents bone loss in ovariectomized mice

加藤 祥 三重大学

2020.10.06

概要

【目的】
 骨粗鬆症に関する疼痛として、脆弱性骨折によるもの、骨折後の骨格変形により、傍脊柱筋の委縮や椎間関節への負担によるもの、そして骨粗鬆症I体による疼痛つまり骨粗鬆症性疼痛によるものがある。骨粗鬆症性疼痛として、腰痛患者のうち、約10%が閉経後骨粗鬆症患者で椎体骨折を認めないものがいたと報告しており、そのような疼痛が骨粗鬆症性疼痛と考えられる。またそのような患者にビスフォスフォネートを投与すると腰痛が改善したと報告している。また、骨痛とくに悪性腫瘍による骨痛のメカニズムとしては、腫瘍細胞から放出されたプロトンが破骨細胞を活性化させる。またプロトンは酸感受性受容体であるTRPV1に結合し、活性化する。その結果CGRPの発現が上昇し、脊髄を通して、脳へ骨痛として伝達される。当教室では卵巣摘出(OVX)による骨粗鬆症モデルマウスを用いた検討で、骨粗鬆化だけでなく疼痛過敏となること見出し、またビスフオスフオネート投与により骨粗鬆化の改善と共に疼痛過敏も改善することを確認している。臨床においては、テリパラチド(TPTD)は閉経後骨粗鬆症患者の腰痛を改善するとの報告が多数ある。しかしTPTDの疼痛改善機序は微小骨折の抑制などが報告されているが、詳細は明らかになっていない。本研究では、TPTDがOVXによる骨粗鬆症モデルマウスの骨形態および疼痛関連行動に与える影響について検討した。

【方法】
 8週齢雌性ddYマウスを、OVX後にvehicle(V)を投与する0VXV群、TPTDを投与する0VXTPTD群とSHAM手術後にvehicleを投与するSHAM群の3群(各群8匹)に分けた。TPTDは手術直後より40yg/kgを週5回ずつ4週間皮下投与した。Vehicleは生理食塩水を週5回ずつ4週間皮下投与した。手術4週後にmicro computed tomography(pCT)で脛骨近位骨幹端において骨形態計測を行った。疼痛評価はvon-Freyfilamentiこよる後肢足底刺激を行い、逃避行動を起こす頻度(陽性率)及び、逃避行動を起こす最小刺激強度(閾値)、up-downmethodを用いた50%閾値にて評価を行った。組織学的評価として、下腿骨をTRAP染色し、TRAP陽性多核細胞を脛骨近位骨端線直下、幅2.0mm高さ0.5mmの範囲で測定し、破骨細胞数を測定した。さらに下肢感覚の当該領域である、第3.4.5腰椎の後根神経節(DRG)においてcalciton ingene-related peptide(CGRP)およびtransient receptor potential channel vanilloid l(TRPVl)の免疫組織学的検討を行い、各DRGにおけるCGRPおよびTRPV1陽性細胞数の割合を測定した。

【結果】
 pCTによる脛骨近位骨幹端の骨形態計測でOVX群はSHAM群に比べ、骨量(BV/TV)、骨梁幅(Tb.Th)と骨梁数(Tb.N)は有意に低下し、骨梁間隙(Tb.Sp)は有意に上昇を認めた。OVX-TPTD群はOVX群(こ比べ、BV/TV、Tb.ThとTb.Nは有意に増加し、Tb.Spは有意に低下を認め、改善していた。OVX群はSHAM群より有意に粗鬆化し、OVX-TPTD群は有意に粗鬆化が抑制された。疼痛関連行動評価では、OVX群はSHAM群に比べ、50%閾値、閾値、頻度いずれにおいても疼痛過敏となった。OVX-TPTD群はOVX群(こ比べ、疼痛過敏の有意な改善を認めた。破骨細胞数では、OVX群はSHAM群に比べて、有意に細胞数の増加を認めた。OVX-TPTD群はOVX群に比べて、細胞数は低下傾向であったが、有意な差は認められなかった。DRGの免疫染色では、疼痛関連タンパクであるCGRPおよび酸感受性受容体であるTRPV1はいずれもOVX群はSHAM群に比べて有意に高く、OVX-TPTD群はOVX群に比べて有意に低い結果となった。これは組織学的にも疼痛過敏の有意な改善を示唆すると考えた。

【考察】
 閉経後骨粗鬆症患者において、腰背部痛はADL-QOLの低下の要因の一つとなっている。骨粗鬆症の治療のみならず、疼痛改善効果が治療薬には求められると思われる。また臨床的にはTPTDは骨粗鬆症患者に対して、骨形成促進効果はもちろん、疼痛改善効果もあるとする報告が散在する。骨形成促進と疼痛改善の関連性については言及されていない。TPTDはAnabolicな作用とCatabolicな作用を有しており、持続的なPTHの濃度上昇(副甲状腺機能亢進症等)では骨粗鬆症を誘発する一方、PTH製剤投与は骨形成促進(骨密度上昇)効果がある。Isogaiらは、TPTDの単回投与直後は破骨細胞が活性化し、骨芽細胞が抑制されることにより骨形成がおさえられる。その後TPTDが血中内より代謝されると、骨芽細胞が増加し、さらには破骨細胞数および活性化をおさえることで骨形成を促進していると報告されている。Suzukiらは骨粗鬆症性疼痛の原因を以下のように述べている。粗鬆骨において破骨細胞の活性化により酸性環境となることが骨痛のトリガーとなる。酸性環境により、酸感受性受容体が活性化し、また炎症性サイトカインも増加する。さらに疼痛に関連した神経線維が骨髄内で増加する。このような変化が局所の神経原性の炎症状態を起こして、骨粗鬆症性疼痛を引き起こす。これらの報告とよると、骨粗鬆症に対して、TPTD投与により破骨細胞活性化を抑えることにより、局所の酸性環境が改善し、さらに骨芽細胞が増加することにより、骨形成促進に至ると考えられる。これら報告は我々の研究結果を支持するものである。OVXマウスにおけるTPTDによる骨粗鬆症性疼痛の改善効果としては、OVXにより破骨細胞が活性化するのに対しTPTD投与で破骨細胞活性化抑制し、骨吸収が抑制され、局所の酸性環境が改善することで疼痛が改善するといった機序が示唆される。このほかにも炎症性サイトカインの関与が考えれられている。当教室で行った同様の研究で、OVXマウスに抗IL6R抗体を投与することにより、骨の粗鬆化は改善しなかったが、行動学的および組織学的に疼痛過敏の改善を示すことができた研究が発表されており、炎症性サイトカインの関与も関与も考えられる。


【結論】
 閉経後骨粗鬆症動物モデルであるOVXマウスにおいてTPTDは有意な下肢骨の粗鬆化の改善を認めるとともに、疼痛関連行動および組織学的にも有意な疼痛改善効果を認めた。

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