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大学・研究所にある論文を検索できる 「Interactions between the Photo-Excited Cyclic π System and the 4f Electronic System in Phthalocyaninato Lanthanide Dinuclear Complexes」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Interactions between the Photo-Excited Cyclic π System and the 4f Electronic System in Phthalocyaninato Lanthanide Dinuclear Complexes

坂口, 裕太郎 大阪大学

2020.12.18

概要

希土類イオンが持つ4f電子は外殻の5sや5p電子によって遮蔽されている。配位子との相互作用が小さいため4f軌道では軌道角運動量Lが残存する。これにより希土類イオンはスピン角運動量Sと軌道角運動量Lが結合した全角運動量Jを持ち、特異な物性を示す。

希土類錯体ではこの全角運動量Jにより基底状態が縮退しており、配位子場下で基底状態が分裂し大きな磁気異方性を示す。フタロシアニン(Pc)は環状π共役系であり、希土類イオンを挟み込むことで二層型錯体Pc2Lnを形成 することが知られている。特にPc2Tbは大きな磁気異方性を示し、分子自体が磁石として振る舞う単分子磁石の挙 動を示す。さらにJ-J間やJ-S間の磁気相互作用の研究がなされており、4f電子の学術的な知見の開拓と高密度情報記録媒体や分子スピントロニックデバイスなどへの応用が目指されている。三層型錯体Pc3Ln2は基底状態でJを二つ持つ。J-J間で相互作用し、磁気的な性質に影響を与えることが知られている。希土類錯体の角運動量間の相互作用について研究をされているが、そのほとんどが基底状態を対象としており励起状態における角運動量間の相互作用の研究はあまりなされていない。フタロシアニンはπ‐π*励起状態で軌道角運動量Lを持つ。これによりPc2Ln は光励起状態においてLとJを持つ特異な系となる。本研究室はPc2Lnの光励起状態において、J-L間に磁気的な相互作用が存在することを初めて明らかにした。希土類錯体において初めて光磁性が報告された。この新しい相互作用により光磁性の新しい光磁性の分野が開拓できると期待できる。一方、Pc3Ln2の光励起状態ではLとふたつのJを持つ。本研究ではこのような系のπ‐π*励起状態における電子構造を解明することを目的とし、MCD分光法による研究を行った。Lと二つのJが相互作用するのかどうかを調べるために、PcLnPc(OMe)8LnPc(Sym-[Ln, Ln]、 Ln=Tb, Dy)と比較対象としてSym-[Y, Y]について吸光度とMCD測定を行った。これらの分子はQ帯領域に二つの鋭い吸収帯 (低エネルギー側からQL帯、QH帯と呼ぶ)を持つ。それらのMCDスペクトルは重なり合っていたため、pseudo‐Voigt関数を用いたフィッティングにより分離した。MCDスペクトルからファラデーA項、B項の温度変化、磁場変化を調べた。Jを持たないY錯体ではA項、B項ともに変化が小さかったのに対し、Tb錯体、Dy錯体ではA項、B項ともに大きく変化した。Sym-[Y, Y]のA項からLを求めた。Sym-[Ln, Ln]はLと二つのJを持つ。励起準位に二つの同じ大きさの J-L相互作用を考慮し、強磁性的J-J相互作用を考慮したモデルを新たに考案した。QL帯、QH帯のA項の温度依存性、磁場依存性を説明できた。モデルに基づいたシミュレーションにより、L、J-L相互作用、J-J相互作用を定量的に求めることができた。Lは二つのJと別々に相互作用しているのかを調べるために、PcLnPcLnPc(OMe)8(Asym- [Ln, Ln]、Ln = Tb,Dy)と比較対象としてAsym-[Ln, Y]、Asym-[Y, Ln]、Asym-[Y, Y]について吸光度とMCD測定を行った。Asym-[Ln, Y]、Asym-[Y, Ln]はLとJを持つ。励起準位にJ-L相互作用を考慮したエネルギー準位により、 QL帯、QH帯のA項の温度依存性、磁場依存性を説明できた。このモデルに基づいたシミュレーションにより、L、J-L相互作用の値を定量的に求めた。Asym-[Ln, Ln]はLと二つのJを持つ。励起準位に二つの異なる値のJ-L相互作用を考慮し、強磁性的J-J相互作用を考慮することでQL帯、QH帯のA項の温度依存性、磁場依存性を説明できた。このモデルとAsym-[Ln, Y]、Asym-[Y, Ln]のJ-L相互作用の値を用いてシミュレーションを行い、L、J-L相互作用、J-J相互作用を定量的に求めることができた。置換基の位置による相互作用への影響を調べるために、Pc3Y2、Sym-[Y,Y]、Aym-[Y, Y]の励起状態について量子化学計算を行った。Pc3Y2、Sym-[Y, Y]、Aym-[Y, Y]の電子遷移を調べる と、QL帯QH帯それぞれに大きな差は見られなかった。基底状態、励起状態の電子密度を調べた。Sym-[Y, Y]、Aym- [Y, Y]のQL帯において励起状態のLが真ん中のPcに分布していた。Lが二つのJに近い位置に存在するためにQL帯のJ- L相互作用が大きくなると考えられる。Asym-[Y, Y]のQH帯はLが端のPcに分布している。Lの分布の違いにより、Aym-[Ln, Ln]のQH帯で二つのJ-L相互作用の値が異なると考えられる。

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