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書き出し

振電相互作用に関する理論的研究

佐藤, 徹 京都大学

2023.03

概要

令和 4 年度 京都大学化学研究所スーパーコンピュータシステム利用報告書
振電相互作用に関する理論的研究
Theoretical Study on Vibronic Couplings
京都大学福井謙一記念研究センター理論研究部門 佐藤 徹
【研究成果概要】
励起状態と基底状態間や励起状態間の遷移は、それがフォトンまたはフォノンのどちらにより引き
起こされるかに応じて、輻射遷移と無輻射遷移に分類される。分子における核の運動を扱う表現と
して Born–Oppenheimer (BO) 表現と Crude Adiabatic (CA) 表現がある。本研究では、CA 表現に
基づき、多モードを考慮した内部転換速度定数の表式を導出し、9-フルオレノンを例として計算を
行った。また、振電相互作用の密度形式である振電相互作用密度 (VCD) および、振動双極子モーメ
ントで重み付けした終振電状態の状態密度により、内部転換過程における振電相互作用とエネルギー
ギャップの役割について明らかにした。

CA 近似における、電子状態 m から n への内部転換の速度定数は

IC
IC
kn←m
=
kn←m,α

(1)

α
IC
は振動モード α のフォノンの放出・吸収を伴う内部転換速度定数であり、
kn←m,α


|Vnm,α |2 Θα
(2)

ここで、Vnm,α は電子状態 n と m の間の非対角振電相互作用定数 (VCC)、Θα は振動双極子モーメ
ントで重み付けした終状態の状態密度である。非対角 VCD は非対角 VCC の被積分関数として与え
られる。

Vnm,α = dx ηnm,α (x)
(3)
IC
kn←m,α
=

ここで、

ηnm,α (x) = ρnm (x) × vα (x)

(4)

ρnm (x) は電子状態 n と m の間の重なり密度、vα (x) は振動モード α のポテンシャル導関数である。
9-フルオレノンの S1 -S0 間の内部転換速度定数を計算した。その計算値は 8.3 × 107 s−1 であり、実
IC
験値を良く再現した。また、α = 34, 48 に対する kn←m,α
が大きな値を持つことがわかった。α = 34
の非対角 VCD 解析の結果、重なり密度は C1-C2 の伸縮振動により生じる α = 34 のポテンシャル
導関数と強くカップルし、この結合上に大きな非対角 VCD を与える。その結果、α = 34 の非対角
VCC は主に C1, C2 から生じることがわかった。さらに、振動双極子モーメントで重み付けした終
振電状態の状態密度から、重み付け状態密度は励起エネルギーに関して指数関数的に減衰し、その減
衰の程度は対角 VCC と振動数に依存することがわかった。本研究の手法により、内部転換速度定数
を振電相互作用とエネルギーギャップの寄与に分割して理解し、さらにその起源を特定することが可
能となった。
【発表論文】

(謝辞あり)
(1) Y. Hattori, R. Kitajima, W. Ota, R. Matsuoka, T. Kusamoto, T. Sato, and K. Uchida Chem.
Sci. 13, 13418 (2022). ...

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