負冪の幾何平均に関する数域半径不等式 (関数空間論とその周辺)
概要
本稿は、 [
9
]に基づいている。
ヒルベルト空間上の有界線形作用素に対する作用素ノルムは、ユニタリ不変であるが、
その数域半径は、ユニタリ相似にしかならない。その意味で、本質的な相違があるはずで
あるが、ここでは、作用素の幾何平均の観点から、両者の違いについて考察するのが、本
稿の目的である。
最初に、用語について説明する。 B
(
1
i
)をヒルベルト空間 H 上の有界線形作用素の全
体とする。 A E B
(
1
i
)が、正とは、任意のベクトル X E1
iに対して、〈Ax,x〉2
:0が成り
立つときを言い、 A
;
:
:
:
:0とかく。また、 Aが可逆な正作用素の時に、 A>Oとかく。 2つ
;
:
:
,
:
Bとかき、これを Lownerの
の自己共役作用素 A,Bに対して、 A-Bが正の時に、 A
半順序という。 ...