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書き出し

或る多様体構造を持つカンドルのリー群への埋め込み

米村, 拳太郎 YONEMURA, Kentaro ヨネムラ, ケンタロウ 九州大学

2023.03.20

概要

九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository

An embedding of a smooth quandle into a Lie
group
米村, 拳太郎

https://hdl.handle.net/2324/6787429
出版情報:Kyushu University, 2022, 博士(数理学), 課程博士
バージョン:
権利関係:

(様式3)





論 文 名




:米村

拳太郎

:An embedding of a smooth quandle into a Lie group
(或る多様体構造を持つカンドルのリー群への埋め込み)
:甲















カンドル(quandle)は、1982 年に D. Joyce と S. V. Matveev によってそれぞれ独立に定義された
代数系であり、結び目理論へ応用することを目的に研究が行われてきた。これまでの数学者による
主な成果として、D. Joyce と S.V. Matveev がそれぞれ独立に行った結び目カンドルの構成、
J,S,Carter-D. Jelsovsky-S. Kamada-L. Langford-M. Saito によるカンドルコサイクル不変量の構
成、そして A. Inoue-S. Kabaya による結び目に対する複素体積のカンドルコサイクル不変量による
構成などがあげられ、結び目理論の研究者にとって興味深い研究対象であると考えられる。
カンドルの抽象的な理論は十分に発展している。例えば、カンドルコサイクル不変量を調べる上
で重要なカンドルコホモロジーの理論や、ガロア圏の話題と関連した Eisermann によるカンドル
被覆の理論がある。しかしながら、それを具体的に計算した例は少ない。これは、計算が可能であ
ったり性質がよく知られていたりするカンドルの具体例が乏しいことが原因である。
一方で,各点において点対称が定義される多様体を対称空間と呼ぶ。対称空間において、点対称
を用いて演算を定義したものはカンドルになる。この事実は D. Joyce によって早い段階に指摘さ
れており、カンドルは対称空間と関係の深い対象であることが認識されている。その後も、この認
識はカンドルの研究者の間で共有されているものの、対称空間とカンドルの両者を具体的に関連付
けた研究は少ない。研究例として、H. Tamaru によるある離散的なカンドルのクラスを Riemann
多様体の二点等質性の類似物として研究したものと、それに触発された研究群がある。
近年になって、K. Ishikawa によって、smooth quandle というカンドルのクラスが定義された。
smooth quandle は多様体構造と滑らかな演算を持つカンドルである。Joyce が言及した対称空間上
に定まるカンドルもこのクラスに含まれる。しばしば、カンドルのクラスは群のクラスと比較され
るが、smooth quandle は群における Lie 群に相当するカンドルのクラスである。
このような状況の中で、Joyce の言及までさかのぼり、対称空間上に定まるカンドルの構造を研
究することは、カンドルの研究を推進する上で意義がある。例えば、代数的なアプローチだけでな
く位相的な構造からアプローチが可能であることから、扱いやすいカンドルの具体例を豊富に構成
することが出来る。本論文では、次のような予想を立て、その予想が球面カンドルと呼ばれるカン
ドルの場合に正しいことを証明した。
予想:全ての代数的連結かつ位相的連結な smooth quandle に対して、適当な Lie 群が存在し、
smooth quandle の多様体構造と代数構造をその Lie 群に同時に埋め込むことが出来る。
なお、仮にこの予想が成り立たない例が発見されたとしても、予想を満たす smooth quandle のク
ラスを調べることには、結び目理論への応用やカンドルコホモロジーを考える上で重要であると考

えられる。
本論文は、5 つの章によって構成されている。第1章では、本論文の研究の動機や背景を述べる。
第2章では、カンドルや smooth quandle に関する基本的な事項及び本論文で扱う具体例について
述べる。第3章では、本論文の主定理を導く際に重要なステップとなる、Lie 群の滑らかな作用の
被覆を用いた持ち上げについて述べる。この節の事実自体は数学者の間でよく知られており、
J.Montaldi-J.M.Ortega の論文でもまとめられているが、本論文で扱いやすい形に再構成して述べ
た。第4章では、本論文の主定理である球面カンドルの Lie 群への埋め込みを構成する。1 次元の
場合、偶数次元の場合、3 以上の奇数次元の場合で、それぞれ 2 次直交群、スピン群、ピン群と埋
め込み先が異なるため、個別に議論を行っている。最後の 5 章では、主定理の応用と予想に対する
見解について言及している。

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参考文献

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