リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「Ependymoma-like tumors with mesenchymal differentiation harboring C11orf95-NCOA1/2 or -RELA fusion: a hitherto unclassified tumor related to ependymoma」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

Ependymoma-like tumors with mesenchymal differentiation harboring C11orf95-NCOA1/2 or -RELA fusion: a hitherto unclassified tumor related to ependymoma

友政, 蘭 トモマサ, ラン Tomomasa, Ran 群馬大学

2021.03.23

概要

A. 背景・目的
2016年に出版されたWHO中枢神経系腫瘍分類の改訂第4版では、組織所見に加えて分子遺伝学的異常を分類基準に盛り込んだ統合分類が導入された。その中で、C11orf95-RELA融合遺伝子を有するテント上上衣腫については、上衣腫, RELA融合陽性 (Ependymoma, RELA fusion-positive; ST-EPN-RELA) として、その他の上衣腫から独立した腫瘍群と定義された。組織学的にST-EPN-RE LAは、単調な腫瘍細胞による血管周囲性偽ロゼットや上衣ロゼットの形成といった上衣腫の特徴に加えて、淡明細胞の増殖と分枝状の血管増生を示すとされる。C11orf95-RELA遺伝子融合は染色体粉砕の結果生じるとされており、症例の70%以上がWHO Grade III相当の組織像を示す。形態学的に上衣腫と診断されたテント上腫瘍の中には、RELA以外の遺伝子とC11orf95との融合遺伝子を持つものが少数報告されているが、これらの融合遺伝子を有する上衣腫の組織学的特徴について詳細な報告はなされていない。本研究では、組織学的・分子遺伝学的な見地から既存の疾患概念に当てはまらない、C11orf95-NCOA1, -NCOA2あるいは-RELA融合遺伝子を有する上衣腫様腫瘍 (Ependymoma-like tumors with mesenchymal differentiation; ELTMDs) について、臨床病理学的および分子遺伝学的解析を行った。

B. 方法
ELTMDsに相当すると考えられた5例を対象とし、ホルマリン固定パラフィン包埋切片ないし凍結標本を用いて、①HE染色法を用いた形態学的評価と特異抗体を用いた免疫組織化学的評価、② RNA-sequencingとRT-PCRを用いた分子遺伝学的解析、③break-apart FISH probeを用いた融合遺伝子の検索、④whole exome sequencing (WES) を用いた網羅的検索、⑤DNAメチレーション解析とその結果を用いたクラスタリング、⑥Array CGH法によるcopy number variation (CNV) の検索、を行った。

C. 結果
ELTMDsの発症年齢は5例中4例で1~2.5歳で、成人例は1例 (50歳) のみであった。いずれも画像上は大脳半球発生の腫瘤として認められた。病理組織像は5例とも類似しており、いずれにおいても、クロマチンに富む未分化な小型細胞が高密度で増殖し高い増殖能を示す胎児性腫瘍様成分と、紡錘形細胞からなり低~高異型度肉腫様の像を示す間葉系成分が主体であった。胎児様成分では、管腔様構造は見られるものの血管周囲性偽ロゼットは欠如しており、免疫染色ではcyto keratin CAM5.2がびまん性に陽性であった。分子遺伝学的解析では、C11orf95とNCOA1の遺伝子融合が2例、NCOA2との融合が1例、RELAとの融合が2例に認められ、うち2例のメチルレーションプロファイルを用いたクラスタリング解析 (t-SNE法)では、これらの腫瘍は、ST-EPN-RELAを含む380例の中枢神経系腫瘍のいずれともクラスターを形成しなかった。

D. 考察
本腫瘍は、形態学的には上衣細胞への分化を窺わせる領域が一部に見られたが、血管周囲性偽 ロゼット構造が欠如しており、また免疫組織化学的にもCAM5.2のびまん性陽性像が見られ、退形 成性上衣腫としては非定型的であった。さらに、ST-EPN-RELAに特徴的な淡明細胞の増殖や血管 増生が明らかでなく、11番染色体長腕における染色体粉砕も見られなかったことから、ELTMDsは、退形成性上衣腫ともST-EPN-RELAとも異なる腫瘍である可能性が示唆される。

中枢神経系においては、C11orf95-NCOA1融合遺伝子を有するテント上上衣腫の他、テント下上衣腫においてもC11orf95-NCOA2, -MAML2, -RELAを有するものが少数報告されている。後者のメチレーションプロファイルはST-EPN-RELAのものに近似することが報告されていることから、組織学的に上衣腫の像を示すC11orf95-RELA陽性腫瘍とELTMDsは、epigeneticには独立の腫瘍群である可能性がある。

E. 結論
ELTMDsはST-EPN-RELAと組織学的・分子遺伝学的に関連性があることが示唆されるが、現行のW HO分類ではいずれの腫瘍にも分類ができない。他腫瘍との組織学的・分子遺伝学的な異同の解析には、さらなる症例の蓄積が必要と考えられる。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る