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乳がん患者由来オルガノイドの腫瘍内不均一性の検討と,その背後にある分子生物学的特徴の探索

佐伯, 澄人 東北大学

2023.03.24

概要

博士論文

乳がん患者由来オルガノイドの腫瘍内不均一性の
検討と,その背後にある分子生物学的特徴の探索

東北大学大学院医学系研究科医科学専攻
がん生命科学講座

がん治療外科学分野
佐伯

1

澄人

目次
I. 要約
II. 研究背景
III. 研究目的
IV. 研究方法
1. 臨床検体の回収と細胞処理
2. オルガノイド培養
3. シングルセルトランスクリプトーム解析(scRNA-seq)
4. シングルセルエピゲノム解析(scATAC-seq)
5. データ解析(クラスタリング・NMF)
6. ROS アッセイ
7. RT-qPCR
8. サイトカインアレイ解析
9. PDO のパラフィン包埋と免疫組織化学染色
V. 研究結果
1. PDO 形態変化の観察

~表現型の多様性と不均一性~

2. 乳がん PDO 株の樹立
3. scRNA-seq による遺伝子発現プロファイリング

2

4. 遺伝子発現プロファイリングによる全 PDO の細胞のクラスタリング
~腫瘍“間”不均一性の評価~
5. 遺伝子発現プロファイリングによる PDO ごとの細胞のクラスタリング
~腫瘍“内”不均一性の評価~
6. 異なる PDO で認める共通した遺伝子発現パターンの同定
~メタクラスタの定義と分類~
7. メタクラスタを特徴づける遺伝子発現パターンの機能的特徴の探索
8. PDO に共通するメタクラスタ遺伝子シグネチャーによる ITH の評価
9. オリジナル遺伝子シグネチャーによる分子生物学的特徴の解釈
10. 発現遺伝子群の背後にある生物学的特徴の探索
~遺伝子プログラムを構成する背景因子の導出~
11. IBCPDO における ITH の探索
~PDO155 を特徴づけるサイトカイン~
12. IBCPDO における機能的特徴の探索
VI. 考察
VII. 結論
VIII. 参考文献
IX. 図の説明
X. 図
3

XI. 表
XII. 謝辞

I.

要約

【背景と⽬的】乳がんでは,がん細胞の ITH(intratumoral heterogeneity;腫瘍内不
均一性)が,がん治療抵抗性や再発の原因となりうる.より良い治療法を開発する
ためには,ITH の背景にある分子機構とその機能的意義を理解する必要がある.近
年,がん研究において PDO(patient derived organoid;患者由来オルガノイド)が
活用されるようになった.しかし,乳がん PDO における腫瘍内トランスクリプトー
ム不均一性を検討した報告はない.本研究では,乳がん PDO におけるトランスクリ
プトーム ITH を精細に記述し,その背後にある分子生物学的特徴を探索することを
目的とした.
【方法】乳がん患者 10 名から PDO 株を樹立し,scRNA-seq 解析(single cell
transcriptome sequencing;1 細胞トランスクリプトーム)を実施した.初めに全
PDO の腫瘍細胞に対し,Seurat パッケージを用いて,有意に発現する遺伝子による
クラスタリングをおこなった.次に,PDO 株ごとに腫瘍細胞のクラスタリングを行
い,各クラスタで有意に高発現する遺伝子群 ClustGS(cluster gene signature;クラ
スタ遺伝子シグネチャー)を定義し,クラスタの特徴づけを行い,その組み合わせ
として PDO の ITH を記述した.また,NMF(non-negative matrix factorization;
4

非負値行列因子分解)により各 PDO における NMF 遺伝子プログラムを定義し,
ITH の評価した.これらにより算出された PDO 株ごとの ITH が有する生物学的意
義を探索するべく,scATAC-seq 解析(single cell epigenome sequence;1 細胞エピ
ゲノム解析),サイトカインアレイ,ROS(reactive oxygen species;活性酸素)アッ
セイ,免疫組織化学染色を実施し細胞機能の評価を行った.
【結果】scRNA-seq 解析により,全 PDO は 16 個のクラスタに分類され,腫瘍“間”
不均一性が示された.続いて,PDO 株毎にクラスタ分類したところ各 3〜6 個のク
ラスタに分類され,腫瘍“内”不均一性(以後 ITH)を有することが示された.
PDO10 株から合計 38 の ClustGS が同定され,その類似性を Jaccard index を用いて
評 価 し た と こ ろ , 29 の ClustGS は 細 胞 周 期 や EMT ( epithelial mesenchymal
transition;上皮間葉転換)関連など,7 つの共通する meta-ClustGS に分類された.
一方,9 つの ClustGS は互いに類似性を認めず,4 つの PDO 株にオリジナルであっ
た.また,NMF を用いて同様の解析を実施したところ,PDO10 株から 55 の NMF
遺伝子プログラムGP(gene program;遺伝子プログラム)が同定され,Jaccard
index から 6 個の共通する meta-GP と,PDO オリジナル GP に分けられた.さら
に,特徴的臨床経過を示した PDO155 について,ITH 様式が有する生物学的意義の
探索を試みた.PDO155 にオリジナルに見出される ClustGS と GP に共通する分子
として CHI3L1 と CST3 を同定し,サイトカインで他の PDO と比して有意な検出を
認めたが,トランスクリプトーム及び,タンパク質発現において不均一な発現パタ
5

ーンを認めた.また scATAC-seq 解析データと GP の相関を示す TF(transcription
factor;転写因子)モチーフを探索し,アミノ代謝に関わる SLC7A5,SLC38A1 と

CEBPB , CEBPD の関連が示唆された.これらが標的とする炎症関連分子として
PTGS2(COX2)が PDO155 特異的に上昇していることを確認した.
【結論】乳がん PDO におけるトランスクリプトーム ITH の存在を初めて報告した.
いくつかの細胞機能は複数の PDO 株で共通して観察されたが,一部の細胞機能は単
一の PDO 株のみに特有であった. ITH パターンを詳細に記述することで,乳がん
の PDO の生物学的特徴を明らかにした.

II. 研究背景
乳がんは腫瘍ごとに増殖能,転移能,治療反応性などの生物学的特性が大きく異
なる heterogeneous な疾患群である

.ER(estrogen receptor;エストロゲン受容

1)

体)・PgR(progesterone receptor;プロゲステロン受容体)陽性乳がん,HER2
(human epithelial receptor type 2;ヒト上皮成長因子受容体 2 型)陽性乳がん,TN
(triple negative;トリプルネガティブ)乳がんといった同じサブタイプに分類される
症例であっても,悪性度や治療反応性の程度は症例ごとに様々である 2).このような
乳がんの多様性の生物学的背景を理解するために,これまで膨大なデータベースを
用いた網羅的ゲノム解析や,臨床病理学的検討など,様々な観点から予後の悪い乳
がんを層別化する試みがなされてきた

.こうした中,腫瘍内のがん細胞の不均一

3-5)

6

性が,がんの治療抵抗性や再発の少なくとも一部に重要な役割を果たすという証拠
が蓄積されつつある

.例として,免疫組織化学染色による ER 遺伝子発現の ITH

6)

(intratumoral heterogeneity; 腫瘍内不均一性)腫瘍内不均一性が強いほど予後が悪
いこと 7),HER2 遺伝子の増幅および発現の ITH は治療反応性の低下を予測する指
標となること 8),エピジェネティックな不均一性が乳がん患者の内分泌抵抗性と予後
不良につながる可能性があること 9),がんゲノムアトラス(TCGA)のデータ解析に
より,コピー数異常の ITH が多い症例は予後不良であること 10)などが報告されてい
る.このような ITH とその悪性度の関係性はタンパク質,トランスクリプトーム,
エピゲノム,ゲノム等のあらゆる階層で確認され,その分子機構とその機能的意義
を多面的に評価し,より良い治療戦略を構築することが必要である.一方で,実際
の臨床に近い状態(患者の体中における腫瘍の状態)で ITH の全体像をとらえるこ
とは極めて困難である.その原因として,腫瘍細胞は正常上皮細胞のみならず,線
維芽細胞などの間質細胞やリンパ球等の免疫細胞と混在し,微小環境内で相互作用
をもたらしていること

,また,乳がんがその発生段階や,様々な治療介入を経る

11)

過程で,構成する細胞集団は生物学的に様々な特徴を持つ細胞集団に系統分化し,
場合によって耐性獲得をした細胞集団が選択されて生き残るなど,時間軸をもって
変化するキャンサーエヴォリューションという概念

って,ITH の解析には適した実験モデルが必要となる.

7

などがあげられる.したが

12, 13)

近年,がん研究において,PDX(patient derived xenograft; 患者由来異種移植片)
に代わり,3 次元オルガノイド培養技術が盛んに利用されるようになってきた 14-16).
オルガノイド培養は様々な正常組織や腫瘍組織における組織の形態や機能,多様性
を維持したままインビトロでの培養を可能とする技術基盤である.一定の培養条件
により,腫瘍細胞が濃縮されるという特徴があり(図 1),腫瘍細胞の特徴を,その
表現型や機能の面からとらえるうえで適切なモデルである.オルガノイド培養技術
は腫瘍細胞の機能評価,例として,薬剤反応性試験(図 2 A)や CRISPR-Cas9 や
RNAi 等の遺伝子操作による細胞の機能評価を可能とするだけでなく,限られたサン
プルから腫瘍細胞を選択的に増やすことで,その特徴をより詳細に記述し,臨床に
多くの情報を還元できる可能性も秘めている(図 2 B).また,PDO(patient
derived organoid; 患者由来オルガノイド)培養は,PDX に比べて操作が簡単で短時
間で解析が可能であり,患者の腫瘍由来の組織構造や生物学的特徴を一定程度保持
していると考えられ

,がん細胞の腫瘍内不均一性も維持されているものと考え

17, 18)

られる.膵がんや大腸がん,肺がん,脳腫瘍などの一部のがん種では,腫瘍内不均
一性の観点から PDO 株を解析した報告がいくつかある 19-22),乳がん PDO における
ITH の報告は,他がん腫と比してその培養技術の難しさのため,ゲノム及び一部の
限られたマーカータンパク質に限られており

,より精細な解析が必要と考えら

11, 17)

れる.乳がんを中心とする多くのがん腫では,転移をもたらす予後の悪いタイプが
治療課題となる.個々の症例に応じてその形態学的特徴や増殖能力のみならず,微
8

小環境への影響や,転移を誘発する機能評価が必須であり,これらを評価するため
には,ゲノム情報や特定のタンパク質発現のみでは不十分であり,エピゲノム制御
や,トランスクリプトーム発現を含めた生物学的意義の理解が重要である.
私は 2018 年からがん研有明病院乳腺センターに所属し,翌 2019 年からは,がん
研究所がんエピゲノムプロジェクト研究生としてがん研有明病院と,がん研究所の
連携に中心的役割を担ってきた.立ち上げ時より,がん研有明病院乳腺センターと
協力し膨大な数のバンキング・細胞処理・PDO 株樹立・各種解析に取り組んでいる
(図 3).当初は,検体回収のみならず,細胞処理の条件設定,オルガノイド培養の
技術習得など,自ら中心となって試行錯誤を重ね,適切な条件設定を見出してきた.
ま た , 2020 年 に が ん 研 究 所 と が ん 研有明 病 院 が 一 体 と なって リ バ ー ス TR
(translational research; トランスレーショナルリサーチ)研究を推進する「場」と
して『NEXT-Ganken プログラム』が立ち上げられ,症例の選択や検体の処理から
オルガノイド培養やシングルセルオミックス解析までシームレスに効率よく実施で
きる体制が構築されてきた(図 4).この過程において,多くのメンバーと綿密な連
携を結び,これまで培ってきた技術基盤を共有し,よりよい培養条件を検討するこ
とで,これまで,301 例の乳がん患者検体(原発巣 289 例,リンパ節 4 例,胸水検体
7 例,腹水検体 1 例)を回収し,Hans Clevers のプロトコール 17)を参考に 150 例で
PDO 作成を試み,一定の増殖を確認した 60 例の PDO 株をストックした(図 4).
当初は安定しなかった検体処理・培養技術が徐々に安定し,次第に解析する上で十
9

分な細胞数を確保できる PDO 株を樹立するに至った.また,各 PDO の成長過程の
観察を続け,PDO ごとに特徴的な構造変化,表現型の可塑性を確認した.
こうした中で,私は極めて増殖能力の高い IBC(inflammatory breast cancer; 炎症
性乳がん)の PDO の樹立に成功した(図 5A).この症例は,診断時ホルモン受容体
弱陽性(ER0+0, PgR2+2)23), HER2(1+),Ki-67 95%であり,TN 乳がんに準じて
術前化学療法(アンスラサイクリン系,タキサン系)が施行された.しかし,治療
効果判定はグレード0で,術後病理の免疫組織化学染色では,ホルモン受容体陰性,
HER2 陽性となり,HER2 は腫瘍内での不均一な発現パターン呈した(図 5C).
IBC は,真皮のリンパ管腔内の腫瘍細胞の塊で構成されるリンパ管腫瘍塞栓を伴
い,急激で広範な皮膚発赤を伴い,特徴的案臨床像(図 5B)を呈する疾患群として臨
床的 TNM 分類で T4d として定義される 24).全乳がんの約 2 ~ 4% を占めるまれで
進行性の高い疾患で,発生率が低いにもかかわらず,欧米における乳がん関連死亡
率の 7 ~ 10% を占めるとされ予後の悪い乳がんとされ,これまで国際的に大規模な
研究がなされているにもかかわらず,生物学的メカニズムの解明や新た案治療戦略
につながる特定の分子プロファイリングに至っていない

.今回樹立した IBCPDO

2)

は,他の PDO でも認めるスフェロイド構造の他,高い密度を保ちつつ膨脹する構造
体を伴い,不均一な表現型を示した.PDO によっては,均一なスフェロイド構造の
みで構成されるもの,特徴的な構造(シート様構造,ブドウの房状構造,線維芽細

10

胞様構造)を呈する細胞集団を伴うものなど,それぞれに多彩な増殖パターンを示
す傾向があり,乳がん PDO においても ITH が維持されている可能性が示唆される.
現在のところ,乳がん PDO においてトランスクリプトームの ITH を詳細に報告
した例はない.その原因としては,他のがん腫と比較して乳がん PDO の安定培養
が難しいこと,長期培養によりエストロゲン受容体の発現が低下することが知られ
ている他,複数の PDO をまとめて scRNA-seq をしてクラスタリングすると,細胞
機能よりも,ホルモン受容体や HER2 受容体の発現などのバイオマーカーやコピー
ナンバー異常(Copy Number Variation),実験条件の差(バッチイフェクト)が強
く影響し,転移能や,免疫応答などの詳細な生物学的機能を探索が困難であること
が挙げられる.
私たちはこれまで,乳がん患者検体のシングルセルエピゲノム解析(scATAC-seq)
をとおして,クロマチンアクセシビリティを評価し,マーカー遺伝子の推定発現量
から細胞腫の分類と腫瘍間,腫瘍内の不均一性を描出する研究を行い海外の学術誌
に投稿をしてきた 9).しかし,患者組織由来の PDO が実際の患者組織の生物学的特
徴,細胞状態を維持し,不均一な機能発現パターンを有しているのかについては明
らかでなかった.
本研究では,新たな試みとして,PDO ごとにシングルセルトランスクリプトーム
解析(scRNA-seq)を行い, 2 つの異なる解析手法によって乳がん PDO が細胞状態
や機能の異なる複数の細胞クラスタで構成されていることを明らかにした.それぞ
11

れの細胞状態,機能を規定する遺伝子群にどのような生物学的特徴を見出せるか検
討を行い,細胞内トランスクリプトーム ITH の評価が PDO の特徴づけに有用であ
ることを示した.

III. 研究⽬的
本研究では乳がん PDO における腫瘍内トランスクリプトーム不均一性を明らかに
し,その背後にある分子生物学的特徴を探索することを目的とした.

IV. 研究⽅法
1.

臨床検体の回収と細胞処理
乳がん検体は,手術で摘出された腫瘍または胸腔穿刺液から採取された.参加者

へ検体採取前に文書によるインフォームドコンセントを行った.プロトコールは,
日本がん研究振興財団がん研有明病院の施設倫理委員会の承認を得た(No.20181168).手術標本については,摘出後の腫瘍部位にコアニードルを数回ファイヤーし
た.胸水標本については,トロッカー留置後にドレナージ液を採取した(図 6).手
術標本は,MACS Tumor Dissociation Kit と gentle MACS dissociator(Miltenyi
Biotec, North Rhine-Westphalia, Germany)を用いて,製造元のプロトコールに従っ
てシングルセルに解離させた.胸水検体を 4℃,500g で 5 分間遠心分離して上清を
除去し,ペレットを Red Blood Cell Lysis Solution lysis buffer (Miltenyl Biotec)で静
12

かにピペッティングした.4℃で 10 分間インキュベートした後,検体を 500g で 4℃,
5 分間遠心分離した.この工程を 2 回繰り返し,細胞を精製した.
2.

オルガノイド培養
Hans Clevers のプロトコール

を参考に,上記の細胞からオルガノイドを樹立し

17)

た.細胞ペレットを BME ゲル(R&D Systems, 3533-010-02)に 4℃で再懸濁し,
24well または 48well MICROPLATE(IWAKI, 1830-024/1830-048)にドーム状に播
種し,37℃で 10〜20 分間重合させ,500ml/50μl BME の割合で以下の培地を添加
した(図 6).Advanced DMEM/F12 (Gibco, 12634-010), 1X Glutamax 100X (Gibco,
35050-061), 10mM HEPES solution 1M (SIGMA, H3537), 1X Penicillin/
Streptomycin X100 (Wako, 168-23191) を混合して AdDF+++培地を調製した.
AdDF+++に,1X B27 supplement (50X) (Gibco, 17504044), 5mM Nicotinamide
(Sigma, N0636), 250ng/mL R-Spondin 3 (R&D, 3500-RS/CF), 1.の因子を加えオルガ
ノ イ ド 培 養 液 を 調 製 し た . 25mM NAC ( Sigma, A9165 ), 100ng/mL Noggin
( Peprotech, 120-10C ), 20ng/mL FGF10 ( Peprotech, 100-26 ), 5ng/mL FGF7
(Peprotech, 100-19),5ng/mL EGF(Peprotech, AF-100-15) 50μg/mL Primocin
(Invitrogen, ant-pm-1), 5nM Neuregulin1 (Peprotech, 100-03), 5 μ M Y-2632
(Abmole, M1817), 500nM A83-01 (Tocris, 2939) and 500nM SB202190 (Sigma,
S7067)を加えた.培地は必要量をその都度調製し,2 週間以内に使い切った.オル
ガノイドは,5% (v/v) CO2 中,37℃で加湿して培養した.培地は 3-4 日おきに交換
13

し,PDO は成長に応じて継代した.継代時に上清を捨て,ゲルとオルガノイドを
Cultrex Organoid Harvesting Solution (Trevigen, 3700-100-01) でピペッティングし,
4℃で 1 時間,転倒混和した.4℃,500g で 5 分間遠心してペレット化したオルガノ
イドを分離・回収し,0.25w/v% Trypsin-1mM EDTA・4Na Solution with Phenol
Red (FUJIFILM, 209-16941) を加えて 37℃で 3-8 分間インキュベーションを行った.
インキュベーション時間は,分離効率や目的に応じて調整した.通常の継代時の断
片状態と,正確な細胞数を数えるための単細胞に分離した.トリプシンを FBS 入り
培地で不活性化し,4℃,500g,5 分間遠心分離し,上清を捨て,細胞ペレットを前
述のように撒いた.継代時の余剰細胞は 20,000cells/vial 単位で-80℃にて凍結し,後
日 scRNA-seq の サ ン プ ル と し て 使 用 し た . 各 PDO に つ い て , 培 養 顕 微 鏡
(OLYMPUS CKX53)を用いて 4 倍の対物レンズで 2〜4 日ごとに定点観測を行っ
た.
3. ...

この論文で使われている画像

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54

IX.

図の説明

図 1.

オルガノイド培養の概略図を示す.検体処理時点では腫瘍細胞以外の間質細

胞,免疫系細胞などが混在しているが,オルガノイド培養の継代過程において,腫

瘍細胞が選択的に増殖し,その他の細胞は脱落してく.本研究の対象は患者由来の

腫瘍細胞であり,その特徴の解明を試みている.

図 2. A:オルガノイド培養によるの腫瘍細胞の機能評価の自験例を示す PDO 株の

AKT 阻害剤,mTOR 阻害剤への薬剤反応性試験により,それぞれの PDO 株の薬剤

感受性の違いが示された.B:術前化学療法を経て,腫瘍が著減し pCR と診断され

た IBCPDO の自験例を示した.検体処理により得られた細胞数が極めて少ない場合

あっても,オルガノイド培養により腫瘍細胞を選択的に増殖させることで,解析に

必要な細胞数を確保し,その特徴を探索できる.検体処理時数数細胞であったが,

オルガノイド培養後に数万細胞を回収し,各種解析によりその特徴を探索すること

ができた.

図 3.

現在行われている研究・解析基盤の概略図を示す.

図 4. A:検体回収,処理のフローチャートを示す.がん研有明病院乳腺センターで

回収された検体をシングルセルへ処理し,バンキング並びにオルガノイド培養をへ

55

て,ゲノム・エピゲノム解析,機能解析へとシームレスで流れるパイプラインを示

した.B:これまで,検体 301 例(原発巣 289 例,転移リンパ節 4 例,胸水 7 例,腹

水 1 例)を処理し,うち 150 例(原発巣 140 例,転移リンパ節 3 例,胸水 6 例,腹

水 1 例)についてオルガノイド培養を試みた.このなかから一定数の細胞を確保し

た 60 株の PDO 株をストックした.

図 5. A:IBC の病態図を示す.リンパ管内腫瘍塞栓とリンパ管内圧上昇,広範な皮

膚発赤を表現した.B:PDO155 の症例について臨床経過を示す.某年 5 月に IBC

の診断となった.術前診断は TNBC に近い Luminal B タイプで,術前化学療法とし

て CEF,PTX を各 4 クール施行し,乳房全摘出,腋窩リンパ節郭清を施行した.術

後病理は HER2 タイプの診断で,治療効果判定はグレード 0 であった.局所進行を

認めたほか,早期に肺転移,肝転移を認めた.C:PDO155 の樹立過程を示す.初

代培養時はデブリス様結節と認識した構造体が,継代後に分解されず残存し顕微鏡

下,物理的に破砕を試みた.以後も急激な増大を続け,数継代経ても同様の構造を

一部保ちつつ増殖し,樹立に至った.

*略語:CEF(cyclophosphamide;シクロホスファミド,epirubicin;エピルビ シン,

fluorouracil ; フ ル オ ロ ウ ラ シ ル ) , PTX ( paclitaxel ; パ ク リ タ キ セ ル ), HER

(trastuzumab;トラスツズマブ),T-Dxd(trastuzumab deruxtecan;トラスツズマブ

デルクステカン),BSC(best supportive care;ベストサポーティブケア).

56

図 6.

オルガノイド培養の工程を示す.原発巣(手術検体)から腫瘍組織を一部採

取し,酵素処理により組織をシングルセルに分解処理する.体腔液検体(胸水・腹

水)は赤血球破砕溶液を添加し,精製した.いずれも,遠心分離を経て BME ゲルで

均一に希釈し,3D ドームを作成し重合した.

図 7. 解析のフローチャートを示す.A:PDO 株を酵素処理でシングルセル化し,

1,000~20,000 細胞の細胞溶液を BD RhapsodyTM のカートリッジに流した.各マイ

クロウェルにトラップされた細胞は溶解され,mRNA をビーズで捕捉し回収した.

cDNA を合成し,NGS DNA ライブラリーにより各遺伝子の発現を定量し,データ

補正を経てカウントマトリクスを作成した.B:二次解析は二つの方法で行った.一

つ目に,全 PDO 株の全細胞の DEG をとり腫瘍細胞のクラスタリングを行った.そ

の後,PDO 株ごとに DEG をとり,PDO 株ごとのクラスタリングを行った.全

PDO のクラスタの類似性によりクラスタを特徴づける遺伝子発現パターンを分類し

た.二つ目に,全 PDO 株の全細胞のカウントマトリクスに対し NMF を行い,各

PDO 株を特徴づける遺伝子発現プログラムを導出し,全遺伝子発現プログラムを比

較し,分類した.

57

図 8. A:NMF の遺伝子プログラムが細胞内の特定の機能や転写制御機構などの機

能的意義を示しうるという観点から,遺伝子プログラム内の遺伝子(分子)と相関

の高い転写因子の同定,転写活性のある遺伝子の検出を試みた.B:遺伝子プログラ

ムと相関の高い転写因子を導出した.C:IBCPDO に特異的な活性のある転写因子

を検出した.

図 9. A:培養過程で特徴的な形態を呈した PDO を示す.PDO155 はスフェロイド

構造の他に,塊を保ちながら急速に大型化する細胞集団を認めた(矢印).POD165

はスフェロイド間にシート様構造が出現している(破線囲い).PDO207P はブドウ

の房様の構造を保ちながら増殖している.C:解析対象とした 10PDO 株を示す.ス

ケールバーは 500μm である.

図 10. A:PDO 株全細胞における UMAP でのクラスタ分類の図を示す.全 PDO

は 16 個のクラスタに分類された.PDO155 は赤丸で囲まれた C2 と C7 のクラスタ

に分類された.B:各 PDO を構成するクラスタの割合を示す.PDO155 は C2 と C7

で 90%以上が構成され,C2,C7 は PDO155 のみで構成された.C3 は PDO166,

180,195,202 を中心に構成されている.PDO210 は 98%が C11 で構成され,その

他のクラスタにはほぼ認めなかった.C:細胞ごとの遺伝子発現パターンをヒートマ

ップとして示した.発現が高いほど赤色となり,低いほど青色で示される.横軸に

58

細胞が並び,縦軸には遺伝子リストが並ぶ.縦軸の遺伝子は 50 個を一つのまとまり

として,発現強度のパターンにより分類された.右に,PDO 名を記載した.C2 と

C7 のクラスタを赤で囲った.青四角で囲った遺伝子群の発現をみると,上二つは共

通して高い傾向があるが,下一つは C7 でのみ高い傾向が示された.D:C2 と C7 で

有意に発現する遺伝子の上位 25 位をしめした.緑でハイライトしている遺伝子は両

方に共通する遺伝子である.

図 11.

A:10PDO ごとのクラスタ図を示す.B:各 PDO の細胞数およびクラスタ

数をまとめた.CDE:PDO165 を例に,クラスタと ClustGS の関係,ClustGS に含

まれている遺伝子を示す.PDO165 は 4 個のクラスタ(165-C1, C2, C3, C4)に分類

され,4 個のクラスタを構成する細胞の発現上位 25 遺伝子を ClustGS と定義した.

PDO165 は 4 個のクラスタを特徴づける 4 つの ClustGS(165-ClustGS 1~4)が導

かれ,それぞれに含まれる遺伝子には細胞機能を表現しうる遺伝子が含まれていた.

図 12. A:各 ClustGS に含まれる遺伝子の重複により全 38 個の ClustGS を Jaccard

類似度係数でまとめた.共通する ClustGS として 7 つの meta-ClustGS と 9 個のオリ

ジナル ClustGS が同定された.類似度の高いほど,黒~濃緑色で示される.それぞ

れの ClustGS に対応する症例と,サブタイプを右に示す.B:meta-ClustGS に含ま

れる遺伝子には細胞機能を表現しうる遺伝子が含まれていた.C:meta-ClustGS の

59

細胞機能をホールマーク遺伝子濃縮解析でアノテーションした.関連が高いほど赤

く,特異度が高いほど横軸のバーが長くなる.meta-ClustGS1 は G2/M チェックポ

イント,meta-ClustGS2 は E2F,G1/S チェックポイント,meta-ClustGS3,4,6 は

EMT(6 は脂肪酸代謝を含む),meta-ClustGS5,7 はエストロゲン応答(各 Early,

Late)に関連することが示唆された.D:各 PDO がどの meta-ClustGS を含むか示す.

黒のボックスは左側に記載の meta-ClustGS を含む.図の上に症例を並べる.PDO

の免疫組織化学染色の結果を症例番号の下に併記する.青色が Luminal タイプ,橙

色が HER2 タイプ,黄色が Luminal HER2 タイプである.

図 13.

PDO ごとの meta-ClustGS の発現を示す.ACE:各 PDO における 3 つの

meta-ClustGS の発現平均をヒートマップで示す.各 PDO 内での比較において,発

現強度が高いほど,黄色で示され,低いほど紫で示される.BDF:meta-ClustGS の

発現平均と分散を示す.極大値が高いほど,平均的な発現レベルが高く,横方向に

ピークが分散するほど不均一な発現傾向を示す.

図 14.

A:細胞周期に関連する meta-ClustG1,2 のいずれか,ないし両方の

ClustGS を不均一に発現するクラスタをもつ PDO が存在する一方で,PDO180,

195,202 の様に,その他の ClustGS のみで特徴づけられるクラスタしか有さない

PDO も存在した.B:PDO155,165,166,180 は meta-ClustGS5(エストロゲン

60

応答;Early)により特徴づけられるクラスタを含む一方で,PDO154,207P,210

は meta-ClustGS7(エストロゲン応答;Late)により特徴づけられるクラスタを含

んだ.C:EMT に関連する meta-ClustGS は 3,4,6 と 3 つあり,PDO155,165,

166,180,202,そのいずれかによって特徴づけられるクラスタを有していた.

図 15.

A:9 つの PDO オリジナル Clust-GS における発現上位 5 位の遺伝子を示

す.B:オリジナル Clust-GS により特徴づけられるクラスタを示した. PDO207P

は 3 つの異なるオリジナル ClustGS2,4,5 のクラスタが不均一に混在した.C:

PDO207P オリジナルな 207P-ClustGS 4 は PDO207P 内の一部のクラスタで認めら

れ,他の PDO と比較して発現の高い集団が存在していた.D:207P-ClustGS 4 に

含まれる,VIM,CYP4Z1 は meta-ClustGS4 により特徴づけられるクラスタで高く

検出された.

図 16. A:各 GP に含まれる遺伝子の重複により全 55 個の GP を Jaccard 類似度係

数でまとめた.共通する GP として 6 つの meta-GP を同定した.類似度の高いほど,

黒~褐色で示される.それぞれの GP に対応する症例と,サブタイプを右に示す.

B:PDO はそれぞれ 4~7 個の GP を持ち,29 個のオリジナルを認めた. C:6 つの

GP に特徴的な遺伝子と,推定される細胞機能を示す.D:ClustGS と GP を構成す

る共通(meta),オリジナルの ClustGS or GP の数と割合を示した.

61

図 17.

A:PDO155,165,166,180 培養液のサイトカインアレイを示す.各メン

ブレンに 2 対のサイトカイン抗体を付着したドットが 107 対並ぶ.右上,左上,左

下の 2 対がポジティブコントロールで,右下にネガティブコントロールが置かれる.

各ドットの蛍光強度をポジティブコントロールとの比で定量している.B:PDO155

で強く検出される順にならべ,検出の低いものは 165,180 で強く検出される順にし

たから並べた.濃い赤であるほど検出率が高いことを示す.C:PDO155,165,

166,180 における CHI3L1 と CST3 の RT-qPCR 結果を示す.PDO155 との mRNA

発現比を示している.D:PDO155 における CHI3L1 と CST3 の発現強度を示した.

発現が高い程,黄色を呈し,低いほど濃青色を示す.両遺伝子とも不均一なトラン

ス ク リ プ ト ー ム 発 現 を 認 め た . E : PDO155 由 来 の 患 者 組 織 ( 手 術 検 体 ) と

PDO155 の HE 染色及び,YKL-49(CHI3L1),Cystatin C(CST3)の免疫組織化学

染色結果を示す.両分子ともに,不均一な発現を認めた.

図 18.

PDO9 株(scRNA-seq を行った 10 株のうち PDO210 を除く)全細胞にお

ける scATAC-seq の UMAP でのクラスタ分類の図を示す.全 PDO は 15 個のクラ

スタに分類され,腫瘍“間”の不均一性を示した.B:PDO155 は C1 のみで構成さ

れ,C1 は他の PDO 由来の細胞を含まず,1 対 1 の関係であった. C:PDO155 オ

リジナル GP の一つである,155-GP#9.2 と相関のある(相関係数>0.2)転写因子を

62

143 個同定した.D:PDO155 に特異的に活性のある転写因子を 28 個同定した.

E:CD で同定した転写因子のうち重なるものを 12 個同定し,C/EBP ファミリーの

3 つ(CEBPA,CEBPB,CEBPD)と神経系発生に関連する 9 つの転写因子を同定

した.F:155-GP#9.2 を構成する遺伝子の中で他の GP には見られないアミノ酸代

謝関連分子と,この GP に相関し,特異的な転写活性を示す CEBPB,CEBPD が何

らかの分子メカニズムにより関連し,IBC としての特徴を担っている可能性につい

て検討したシェーマである.G:CEBPA,CEBPB,CEBPD は PDO155 に特異的

な転写活性(高いモチーフスコア)を示した.H: PDO155,165,166,180 にお

ける CEBPA,CEBPB,CEBPD の RT-qPCR 結果を示す.PDO155 との mRNA 発

現比を示している.このうち,CEBPB,CEBPD は PDO155 で有意な発現上昇を示

した.

図 19.

A:アミノ酸トランスポーターの機能と,関連分子の関係を示す.グルタミ

ンの細胞膜における動態を示す.LAT1 はロイシンの取込と共役してグルタミンを細

胞外へ駆出する.一方,SNAT1 はナトリウムイオンとグルタミンを細胞内に共輸送

する.LAT1 の相対的機能亢進はグルタミン欠乏を誘導し,グルタチオン合成が低下

することで ROS の上昇をもたらす.ROS が上昇すると p38α(MAPK14)リン酸化

を介して CEBPB の転写活性を引き起こす.CEBPB,CEBPD の下流には COX2

(PTGS2)を含むいくつかの炎症関連分子が存在する.B:PDO155 の LAT1 免疫

63

組織化学染色結果を示す.オルガノイド間と,オルガノイド内での不均一な染まり

方が観察された.スケールバーは上段が 100μm,下段が 50μm である.C:

PDO155,165,166,180 における SLC7A5 の RT-qPCR 結果を示す.PDO155 と

の mRNA 発現比を示している.C:PDO155,165,166,180 における内在性 ROS

を示す.D: PDO155,165,166,180 における PTGS2 の RT-qPCR 結果を示す.

PDO155 との mRNA 発現比を示している.

64

X. 図

図 1.

図2.

65

図 3.

図 4.

66

図 5.

67

図 6.

図 7.

68

図 8.

69

図 9.

70

図 10.

71

図 11.

72

図 12.

73

図 13.

74

図 14.

75

図 15.

図 16.

76

図 17.

77

図 18.

78

図 19.

79

XI. 表

表 1. 解析対象とした患者の臨床病理学的情報を示す.

Table1 解析対象としたPDOの臨床病理学的特徴

PDO

154

155

165

166

180

195

202

203

207P

210

年齢

53

51

41

48

32

46

45

53

52

47

閉経状況

採取部位

乳腺

乳腺

乳腺

乳腺

乳腺

乳腺

乳腺

乳腺

胸水

胸壁(再発部)

ER*

4+2

0+0

5+3

0+0

5+3

5+2

5+3

5+2

N/A

4+2

組織型

IDC***

IDC

IDC > IMPCa***

IDC

IDC

IDC

IDC

IMPCa > IDC

Adenocarcinoma

IDC

PgR*

3+2

1+1

5+3

0*0

5+3

5+3

4+3

4+3

N/A†

4+2

HER2

N/A†

グレード

Ki67

55%

LVI**

N/A†

95%

35%

65%

25%

10%

35%

5%

N/A†

90%

N/A

* オールレッドスコア(=Proportion score+Intensity score)で算出.

** LVI (lymphovascular invasion; リンパ管侵襲)

*** IDC(invasive ductal carcinoma; 浸潤性乳管癌9, IMPCa(invasive micropapillary carcinoma; 浸潤性微小乳頭癌)

細胞診による診断を行った.

表 2. PDO155 の二つのクラスタ間で共通する遺伝子を緑で示す.

C2

avg_log2FC

gene

COX6C

3.284

2 PPP1R1B

3.102

CHI3L1

2.890

EIF3H

2.388

CRABP1

2.380

CST3

2.250

POLR2K

2.151

8 HSP90AB1 2.116

AARD

2.083

10 S100A4

1.943

11

MIEN1

1.911

12 MRPL13

1.802

13 SLC35B2

1.636

14

EBAG9

1.618

15 RNF19A

1.596

16 MRPL14

1.531

17

DDIT4

1.520

18

SCRG1

1.513

19

ZG16B

1.481

20 AC104986.2 1.473

21

NES

1.461

22

CDC5L

1.455

23 CDKN2A

1.414

24 VPS13B

1.382

25

CDK12

1.376

Rank

C7

p_val

1E-307

1E-249

2E-261

2E-53

1E-275

3E-298

3E-271

gene

RAD21

CKS2

HSP90AB1

POLR2K

PPP1R1B

COX6C

CRABP1

SLC29A1

CDK12

TOP2A

CDC5L

PSAT1

EIF3H

SLC35B2

AARD

EBAG9

MRPL13

RNF19A

MIEN1

SLC7A5

MCM3

RPL7L1

BIRC5

UTP23

PSIP1

80

avg_log2FC

2.485

2.261

2.216

2.169

2.169

2.025

1.934

1.812

1.797

1.697

1.646

1.626

1.588

1.523

1.517

1.486

1.436

1.430

1.408

1.381

1.346

1.315

1.312

1.292

1.287

p_val

6E-206

7E-158

3E-187

9E-180

2E-179

1E-144

1E-194

2E-167

2E-182

1E-201

7E-172

9E-176

1E-134

6E-153

2E-158

1E-168

3E-138

1E-149

1E-141

8E-184

6E-109

2E-128

9E-171

8E-163

3E-136

表3. PDO165 の 4 つの ClustGS に含まれる遺伝子を示す.

ClustGS

Gene

XBP1,CLU,CA12,CYP4Z1,TMEM45A,KTN1,PLAT,CP, GATA3 ,GALNT6,

165-ClustGS 1 BHLHE40,SLC40A1,ASPH,MUCL1,TFAP2B,SC5D,PRLR,GMNN,

TNFSF10,PMP22,FTH1, FOXA1 ,MPHOSPH6,ALDH3B2,MARCKSL1

KLK5, DKK1 , TGFB2 ,MCAM,CAVIN1,THBS1,KRT17,S100A6,FILIP1L,

165-ClustGS 2 CLDN1,KRT7,MYH9,LOXL2,KLK7,MYL9,FSTL1,IL32,ACTN1,ANXA1,

MYL12B,KRT23,TAGLN,KLK10,ANXA3,NEXN

TOP2A,CENPU,NCAPG, CDK1 , MKI67 ,ZWINT,TK1,BIRC5,FAM111B,

165-ClustGS 3 TYMS,HMGB2,PCLAF,ASF1B,CEP55,NCAPH,NUSAP1,UBE2C,KIFC1,

DLGAP5,CCNA2,PBK,HMMR,DEPDC1,KIF4A,PKMYT1

GABRP,SFRP1, KRT14 ,SPARC,KRT6B,TCN1,IL33, KRT5 ,NGFR,

165-ClustGS 4 LTBP2,SAA1,APOE,STAC2,FBXO32,MYLK,NTRK2,SLC34A2,A2M,

NDRG2,NFIX,ARL4A,DSC3,SLC25A37,CD59,CHI3L1

*下線太字は本文中で言及のある遺伝子である.

表 4. 7 つの meta-ClustGS で共通となる遺伝子を示す.

ClustGS

Gene

TOP2A,BIRC5,MKI67,TUBA1B,HMGB2,UBE2C,TPX2,CENPF,DLGAP5,CDK1,C

CNA2,NCAPG,CCNB1,PLK1,HMMR,KIF20A,AURKA,PTTG1,CENPA,PBK,

meta-ClustGS 1

ZWINT,H2AFZ,DEPDC1,CENPE,PRR11,HSP90AB1,TK1,CKS1B,CEP55,

CENPU,PTMA,NEK2,PCLAF,HMGB1,TYMS,TUBB,NCAPH,CKS2,STMN1,

UBE2T,ASPM,HSP90AA1,NUSAP1,KIFC1,PKMYT1,TTK,KIF2C,KIF4A,

CDC20,IQGAP3,HMGN2,FOXM1,UBE2S,BUB1

meta-ClustGS 2

FAM111B,PCNA,RRM2,DTL,CCNE2,GINS2,MCM3,MCM4,MCM6,WDR76,E2F1,

CDC6,CENPU,ZWINT,MCM2,MCM7,DUT,TK1,ZNF367,HELLS,CDK1,FEN1

SFRP1,NTRK2,NGFR,STAC2,CHI3L1,GABRP,SPARC,RARRES1,LTF,SLC25A37

meta-ClustGS 3 ,NDRG2,SAA1,APOE,LTBP2,EEF1A1, KRT14 ,CD59, KRT5 ,MYLK,CYP1B1,SC

GB2A1,A2M,KRT6B,PTN,SCGB1D2,MGP,CITED4,TNFAIP2,SCGB2A2

meta-ClustGS 4

CXCL14,COL17A1,TIMP3,MYL9,MYLK,TAGLN,JAG2,SEMA5A,LOXL2,IGFBP5,

TPM2, ACTA2 ,EFEMP1,PDGFA

XBP1,TFAP2B,TMC5,AGR2,CYP4Z1,SPTSSB,CA12,MUC6, FOXA1 ,PRSS23,

meta-ClustGS 5 TMEM45A,SLC40A1,MLPH,TMEM45B,ANKRD30A,PLAT,GMNN,PRLR,MUCL1,

GATA3 ,AR,KRT8,PMP22,ALDH3B2,TCIM

meta-ClustGS 6

KLK5,KRT17,TMSB4X, ANXA2 ,KLK7,LGALS1,S100A10,S100A6,S100A11,

KRT23,KRT6B,FSTL1,ANXA1,TACSTD2

meta-ClustGS 7 XBP1,EEF1A1,KRT7, CCND1 ,ST3GAL1,AGR2

81

*下線太字は本文中で言及のある遺伝子である.

表 5. 各 PDO オリジナル ClustGS に含まれる遺伝子を示す.

ClustGS

155-ClustGS 1

203-ClustGS 1

203-ClustGS 3

203-ClustGS 4

207P-ClustGS 2

207P-ClustGS 4

207P-ClustGS 5

210-ClustGS 2

210-ClustGS 5

gene

EIF3H , PABPC1 ,AARD,CRABP2,COX6C,TKT,TACSTD2,PIK3R3,SPTSSA,

EEF1A1,NES, EIF3E ,CST3,HIST1H2BG,CHI3L1,GSTP1,LY6D,UQCRB,

AC104986.2,RACK1, EIF2S3 ,HIST2H2BE,SLC25A6,MIEN1,CEBPB

KRT19,KRT8,GRB14,SCGB2A2,SMOX,CRISP3,SCGB1D2,STC2,MAOB,

DCAF10,DUSP4,SEMA3C,COL2A1,LURAP1L,RBPMS,COX6C,GPRC5A,

EVL,CD36,KRT18,NAT1,C6orf141,FAM198B,ZBTB18,CALML5

KRT15,BMPR1B,PRKACB,MAP3K1,MUCL1,COX7A1,UGT2B11,ITPRID2,

PDZK1IP1,CST4,S100A7,H1F0,MGP,JUN,TPT1,NFKBIZ,HIST1H1C,

ELOVL5,FTH1,HOXB3,BST2,SLC39A6,NTN4,NPY1R,MRPS30.DT

KCNJ3,APOD,IFI27,CSTA,PSCA,TRGC1,CTTN,DNAJC1,IFI6,BRINP3,HSPB8,

POF1B,MDK,FAM3B,BMI1,ANO1,CRABP2,PABPC1,TPM4,YWHAZ,

CD63,CFL1,ATP6AP1,ATP5F1E,MARCKS

MAGEA4,HMGB2,DHTKD1,LGALS3BP,STMN1,HSPB1,PCLAF,VIM,

HCLS1,HMGB1,FRZB,CALM1,TYMS,CENPU,MCM10,RRM2,WFDC2,

H2AFZ,ATAD2,PTMA,DUT,SSX1,CAPRIN1,RARRES1,CDK4

VIM , CYP4Z1 ,NAP1L1,PPP1R1B,LGALS3BP,DUSP6,MAGEA4,ST8SIA6.

AS1,TPT1,PIP,HSPB1,RARRES1,CD59,SELENOP,SERPINI1,TFAP2B,

CD36,FAIM2,PLD3,IFITM3,HCLS1,FMOD,FRZB,GRN,CLU

NDUFS8,PRKAR1A,MALAT1,MAP1LC3B,AP3D1,ATXN7L3B,SSR4,

RAB3D,RTF1,DDX3X,AKT1,STRAP,LRP10,SF3B1,RDH11,CD151,

MMADHC,CCT8,MAGED1,PTBP1,UBE2Z,ATP6V1A,SRSF10,CIRBP,MANF

MUCL1,SCD,TFF3,APOD,PKM,TFF1,TRGC1,SPINT2,EEF1A1,CD24,

HSP90AB1,BRINP3,MAGED1,KCNC2,HSPB1,RHOBTB3,S100A6,

TMED3,DHCR7,CLU,CXCL17,CEACAM5,ARF1,NUCB2,S100A14

ECM1,SERPINI1,CXCL14,BASP1,IFI6,S100A14,STS,UPK2,NCAM2,PSCA,

FAM107B,MX1,PLAT,TCEAL4,CCL28,TSPAN8,SLPI,PHLDA1,SELENBP1,

ADAM8,EGLN3,STC1,PLA2G2A,SLC39A6,RALBP1

*下線太字は本文中で言及のある遺伝子である.

82

表 6. PDO155 オリジナル GP に含まれる遺伝子を示す.

Gene Program

gene

ZG16B ,CHI3L1 ,RARRES1,SCGB2A2,THRSP,SLC12A2,NDRG1, CST3 ,

CD59,SPARC,NTRK2,FOS,SFRP1,STARD3,TMEM213,SAT1,VIM,CSRP1,

155-GP#7.1

CAMP,SELENOP,CITED4,LMO4,CD44,DBI,DUSP6,SCGB2A1,TXNIP,YBX2,

TMEM87A,EN1,KRT19,NXPH4,FZD1,SCGB1D2,RDH10,TRIB1,CD82,

NDRG2,MBOAT2,TMEM45A,AP1G2,PADI2,SCRG1,SELENBP1,GRB7,JUNB,

CASP14,OBP2B,FBXO32,CTNNB1

STEAP4, LY6D ,SPON2,TLDC1,LCN2,G6PD,GCLM,ANXA1,TAOK1,CD14,

SERPINA5,C3,OSBP,MUC15,PTPN14,ADAM9,ALCAM,RCOR1,NCOA3,

155-GP#7.4

SQSTM1,AHR,IFNGR1,FLNA,EIF4G3,MAP7D3,AC009283.1,MIA2,CYP1B1,

BOD1L1,VAT1,SLFN5,PRRG1,PTK7,PDXK,TRIM2,TRIM38,TMEM179B,

AACS,GUK1,SWAP70,PBRM1,KLK6,MYOF,FNBP1L,GAPVD1,RAB29,

SESN3,IDH1,SLC11A2,RTL8B

SLC7A5 ,PTBP3,PTPN11,SYNCRIP, BRD4 ,NFIX,CBX5,NFIC,DDX6,NFIB,

LARP1,GTF3C4,CDK12,FAM120A,EIF3A,IMPAD1,RCC2,NOLC1,SMARCC1,

155-GP#9.2

UHMK1,YWHAG,PAPOLA, SLC38A1 ,DSC3,PRRC2C,MYH9,GOLGA4,

SBNO1,DDX21,LMAN1,PRRC2B,KHSRP,TTC3,HDLBP, PSAT1 ,RAB10,

ENAH,ARF3,BPTF,MIB1,DSC2,DCAF7,TRPS1,RB1CC1,LRRC58,HNRNPU,

CCND1,HNRNPR,B4GALT5,IKZF3

*下線太字は本文中で言及のある遺伝子である.

83

XII. 謝辞

本研究のご指導いただきました,がん研究会有明病院(連携)がん治療外科学

佐野武教授,東北大学病院総合外科

亀井尚教授に深くお礼申し上げます.定期的

に大学院総会を主催いただいた,がん研究所

野田哲生先生,広田亨先生,髙橋俊

二先生に心よりお礼を申し上げます.検体回収・研究所と病院の連携にご尽力いた

だいた,乳腺センター高橋洋子先生,尾崎由記範先生,高野利実先生,オルガノイ

ド培養法をご教授いただいたがん生物部八尾良治先生,NEXT-Ganken プログラム

ディレクターの大野真司先生,副ディレクターの上野貴之先生,病理部の大迫智先

生,他,乳腺センターの皆様,実験のご指導をいただいたがん研究所がんエピゲノ

ムプロジェクト・NEXT-Ganken プログラムの皆様,解析を全面的にサポートいた

だいた粂川昂平先生,そしてプロジェクトリーダーの丸山玲緒先生に深く御礼申し

上げます.

84

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