東京薬科大学SP研究会 模擬患者(SP)基礎講習会に関する報告
概要
わが国での模擬患者(以下、SP:Simulated Patient/Standard Patient)の活動は、1975 年に神経内科医の H.S.Barrows が来日して講演したことから始まり、1992 年以降急速に広がりを見せた。1998 年末の時点で、全国で 15 のグループが活動を始めているが、その中で、活動対象に薬学生・薬剤師を入れているのは 3 グループのみであった1)。2003 年度に医学部での SP を対象として診療技術や医療面接の習熟度を試験する OSCE 導入後は、医学部全校で SP が導入された。
薬学での OSCE は、「調剤」と「患者応対・情報の提供」に関する技能と態度の試験であり、2009年に第 1 回が実施された。本学では OSCE の実施に向けて 2007 年に SP 育成推進委員会が設立され、2008 年 11 月から 2009 年 7 月にかけて第 1 期・第 2 期の SP 基礎講習会が開催された 2)。
本学の SP 養成のカリキュラムは、医学教育学会第 16 期教材開発・SP 委員会の実態調査を基に策定したものを採用している 3)4)。そこには、SP となるために習得すべき必須項目として第1に 対人コミュニケーション、第2に医学教育における SP 参加型教育、第3に医学教育における医療面接を掲げている。つまり、医学と薬学の違いはあれ、SP にはシナリオを理解する力、臨場感を持って演じる力、患者として体験したことを言語化してフィードバックする力、一般市民の感覚が求められている。