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アトムサイエンスくまとり : 京都大学複合原子力科学研究所広報誌 Vol.32

京都大学複合原子力科学研究所学術情報本部出版チーム 京都大学

2023.09.01

概要

ISSN1881-0446

vol.

32

2023 秋冬号

巻頭記事

新所長挨拶「強みは多様性、明るく楽しく人が集まる研究所を目指して、新たに生まれ変わる」

ASKレポート1 質量分析法による放射能分析の高度化|量子ビーム計測と構造シミュレーションの連携によるガラスの構造物性研究|加速器の消費電力抑制と
安定性向上に向けて|中性子で視る技術
ASKレポート2 一般公開・桜公開について
ASKインタビュー 京都大学複合原子力科学研究所の人たち
ASK Worldレポート 熊取滞在記|海外研究炉視察−米国編

巻頭記事 新所長挨拶「強みは多様性、明るく楽しく
京都大学複合原子力科学研究所 所長・教授 黒



 2023年4月1日より、中島健先生の後任として、京都大
学複合原子力科学研究所(複合研)の所長を務めさせて

名称にもなっている「複合原子力科学研究」を具体化・
明確化することを意味します。最新版の研究所のロード

いただくことになりました。新所長として、一言、
ご挨拶
申し上げます。

マップでは、ポストKUR時代を牽引する研究として、
「新
型原子炉・廃止措置研究」、
「多様な量子ビームを用い
た研究」、
「多様な放射性同位元素を用いた研究」の三
つが提示されています。
これら三つに『「もんじゅ」サイト

複合研の前身の京都大学原子炉実験所は、1963年に
「原子炉による実験およびこれに関連する研究」を行う
ことを目的として設置されました。2018年の名称変更を
経て、複合研は今年で設立60年となります。

試験研究炉への貢献』を加えた四本柱が、複合研の将
来計画を定める際のよりどころになるのではないかと

 複合研は、京都大学にある12の附置研究所の一つと
して、大阪府泉南郡熊取町で活動しています。原子力・放

考えています。
 明るい未来を感じさせる良いニュースもあります。
2023年度早々に、熊取キャンパスに新しい建物(第二研

射線を基軸として、安全、物質・生命、環境・エネルギー、
医療・・・といった多岐にわたる様々な分野の研究(複合
原子力科学研究)を推進しています。文部科学省から認
定された共同利用・共同研究拠点の一つとして、我が国
の教育・研究に貢献しています。毎年延べ数で年間平均
3,000名以上の方々が熊取の地を訪れ、所内の研究者と
協力しつつ、原子力や放射線に関する最先端の研究を
行っています。
我々の強みは、多様性にあると考えています。2基の原
子炉(京都大学研究用原子炉:KURと臨界集合体実験装
置:KUCA)、様々な加速器施設、ホットラボラトリ、
トレー
サー棟、ガンマ線照射施設等が設置されています。
この
ような特色ある施設がここまで揃っている組織は、大学
の附置研究所としては日本で唯一のものです。世界を見

究棟)が竣工しました。地上三階、地下一階の建物で、安
全管理関係の部室の居室・実験室、研究所全体の約半
数に相当する研究分野の居室・実験室が入居していま
す。
また、旧研究棟は第一研究棟に改名し、現在、
リノベ
ーション中となっています。
リノベーション後の第一研
究棟には、いくつかの研究分野の居室・実験室と、所内
外に公開したオープンラボが設置されます。
 この熊取の地で、安全最優先で、持続的に活動してい
くために、
より一層の努力を重ねてまいります。人間で
いえば還暦を迎えた複合研ですが、ポストKUR時代を見
据えて、気持ちも新たに、明るく楽しく若々しく、人が集
まる魅力的な研究所を目指して、新たに生まれ変わろう
としています。皆様方には、今後とも変わらぬご支援、


渡しても他に類を見ないかもしれません。研究所に所属

鞭撻を賜りますよう、
よろしくお願い申し上げます。

する教員も、理学、工学、医学、農学、エネルギー科学と
いった多様な研究科を兼任しています。
この複合研が、いま、大きな転機を迎えています。我々
が所有する2基の原子炉のうち、KURがその運転を2026
年5月に停止することになりました。施設の老朽化や規
制対応強化、使用済み燃料の米国返送期限等の観点か
ら総合的に判断した結果、
このような結論に至っていま
す。
これまで、複合研の象徴であり人が集まる求心力で
もあったKURが運転を停止します。そのため、KUR運転
停止後を見据えて、今後の研究所が向かうべき方向性
を明確にしなければなりません。今後数年間が、研究所
の行く末を左右する非常に需要な時期となります。
前述の通り、当研究所設置の目的は、
「原子炉による実

京都大学複合原子力科学研究所
     所長 黒崎 健
    (2023年4月1日就任)

験およびこれに関連する研究」を行うこととなっていま
すが、KUR運転停止後はこれを変える必要があるのでは
ないかと考えています。
このことはすなわち、研究所の
1

人が集まる研究所を目指して、新たに生まれ変わる」

京都大学研究用原子炉(KUR)と臨界集合体実験装置(KUCA)

第二研究棟
2

ASKレポート1

質量分析法による放射能分析の高度化
原子力基礎工学研究部門・放射性廃棄物制御工学研究分野 芝原 雄司 助教

 原子番号(陽子数)が同じで質量数(中性子
数)が異なる原子を同位体といいます。同位体の
うち、原子核が安定なものを安定同位体といい,
一方で不安定なもの、つまり放射能を持つもの
を放射性同位体と言います。
この同位体は,同じ
元素の間では陽子数つまり原子としての電子状
態が同じなので酸化や還元などの化学的な性
質はほぼ同じですが、中性子との反応性(中性
子反応断面積)や放射線を出すか出さないかなどの物理的な性質
では大きく差が出てきます。
 放射性同位体の分析には、放出される放射線を測定する方法が
広く用いられていますが、同じ放射性同位体でも寿命が長いものや
高精度に測定できるγ線を放出しないものに関しては、別の分析方
法が求められます。例えば、セシウムの放射性同位体として、
よく知ら
れている質量数が134および137のものがあります。
これらはγ線測
定で精度良く分析することが出来ますが、あまり知られていない質量
数が135のものは寿命が非常に長くかつγ線を放出しないために分
析することが難しいです。その解決法の一つとして、原子(または分
子)の質量数を測定する質量分析法が用いられます。質量分析法で
は、分析対象の原子または分子を装置内でイオン化し、そのイオン
を電気的または磁気的に分離することにより、質量数毎に応じて測
定します。
 この研究所には、放射性の試料を取り扱える施設の中に、同位体
分析を高精度に出来る質量分析装置があります。
これまでに、放射

性の試料をメインターゲットとした、
この装置による極微量の試料量
での高感度且つ高精度な分析方法の検討を続けてきました。検討し
た結果は、福島第一原子力発電所の事故などにより、環境中に放出
された放射能や様々な原子力系の実験で用いる放射性の試料の分
析等に役立てています。図には、検討により極微量の量で高精度に
分析することが出来る様になった放射性セシウムの分析結果を示し
ます。共にウランの核分裂により発生した放射性セシウムですが、上
は研究用の原子炉により
短期間で生成したもので、
下は商業用の原子炉で長
期間にわたって生成した
ものになります。発生する
条件や環境が異なると上
記の物理的性質に差があ
るために、図の様にその生
成量が大きく異なります。
この様な差を分析すること
により、放射性セシウムの
起源や長期的な環境中の
挙動の解析などに役立つ
情報が得られると期待さ
れています。
図 放射性セシウムのマススペクトル.
上:天然ウランの中性子照射@KURで生成した放射性
セシウム。
下:福島第一原発事故で放出された放射性セシウム。

量子ビーム計測と構造シミュレーションの連携によるガラスの構造物性研究
粒子線基礎物性研究部門・中性子材料科学研究分野 小野寺 陽平 助教

 ガラスの起源は紀元前4000年より前の古代
メソポタミアにまで遡るとされており、人類が初
めて創り出した素材であるともいわれています。
その一方で、現代社会においてもガラスは食器
やレンズ、構造材料としてのみならず、スマート
フォンのカバーガラスや光ファイバーとして最先
端のテクノロジーを支えており、我々の身の回り
で広く使われている生活に欠かすことのできな
い工業材料となっています。
 ガラスは固体として考えられがちですが、構造(原子の並び方)

いう視点では液体に近く、不規則な原子配列を有しています。規則正
しく原子が並んだ構造を持つ固体である結晶の場合は、単位格子や
空間群という指標を用いて構造規則性を解析する結晶学という学問
が確立しており、X線や中性子、電子線を用いた回折実験によって得
られる回折パターンから原子配列を直接決定することができます。

かし、不規則な構造を持つガラスについては、回折パターンも弱く散
漫なものとなり、実験データのみから原子配列を明らかにすることは
結晶に比べて極めて困難になります。
 私は、中性子・X線といった量子ビーム計測によって得られた実験
データと構造シミュレーションを組み合わせることによって、ガラス
材料の原子配列を3次元で可視化すること、さらに、一見不規則に見
える3次元原子配列の中から、
ガラスが材料として機能を発揮するた
めに重要な役割を担っている構造を発見することに取り組んでいま
す。図1は、
スマートフォン用カバーガラスの母材となるガラスについ
て、強度と耐久性を向上させている構造の抽出に成功した例を示し
ています。ガラスに複数のアルカリイオン(NaやKなど)が同時に添
加されると、ガラスの中でそれらがペアとなり、単独でアルカリが添

加されたときには見られない安定化した構造を形成することが明ら
かになりました。
このような知見が蓄積されていくことでガラスの構
造と機能の関係の理解が進み、優れた機能を有する新規ガラス材料
の効率的な設計・開発に繋がっていくことが期待されます。

図1. 量子ビーム計測と構造シミュレーションの連携によるスマートフォン用カバーガ
ラスの高強度・高耐久性の起源の抽出

3

加速器の消費電力抑制と安定性向上に向けて
安全原子力システム研究センター・加速器応用工学研究分野 栗山 靖敏 助教

 加速器は基礎科学分野だけでなく、医療、材
料開発、品種改良など、多岐に渡って活用されて
います。
 複合研にも、加速器駆動システム(ADS)のた
めのFFAG加速器や、ホウ素中性子捕捉療法
(BNCT)のためのサイクトロトン加速器、電子線
形加速器などが設置されています。加速器の適
応分野の広さやその有用性は広く認識されてい
るところですが、今後も加速器が発展し、役立つ装置であり続けてい
くためには幾つかの課題があり、中でも大きな課題として、消費電力
の大きさ、加速器の安定性を挙げることができます。
 多くの加速器施設において、加速器維持費用の大部分を占めるの
が電気代です。消費電力の抑制のためには、1つは超伝導、もう1つ
は永久磁石という2つのアプローチがあると考え、研究を進めていま
す。
 超伝導の活用では、全長20kmを超える電子線形加速器を用いた
衝突型加速器(ILC)
を念頭に置いた超伝導加速空洞の開発に参加し

ており、その中でも加速空洞の性能を阻害する要因を発見するため
の手法、高解像度カメラシステム(通称:京都カメラ)や高密度X線
マッピングシステムなど、の研究を行っています。
 円形加速器では磁場でビームを曲げて円形軌道を作りますが、磁
場は常に進行方向とは直交方向の力しかビームに与えないため、加
速自身には寄与しません。この磁場を電磁石ではなく永久磁石に
よって発生させる研究をしており、試作機の製作や性能評価を実施
しています。
また、永久磁石は放射線によって減磁することが知られ
ているため、KURを利用して放射線による減磁の評価も合わせて実
施しています。
 加速器の安定性向上への研究として、J-PARCの3GeVシンクロトロ
ン(RCS)において、ビーム
安定化と従来の装置保護
システム(MPS)を発展させ
た機械学習を組み合わせ
た異常検知システムの開発
を進めており、現在はデー
タ収集系の構築や検知ア
ルゴリズムの研究を実施し
ています。また、KEKの超伝
導空洞を使用した電子線
形加速器(STF)において、
設置の容易性を主眼とした
ビームロス分布モニタの開
発も実施しています。

Raspberry Piを制御に使用したビームロスモニタの読み出し系

京都カメラを用いて空洞内面の検査をしている様子

中性子で視る技術
安全原子力システム研究センター・熱エネルギーシステム研究分野 伊藤 大介 助教

 近年、目で見えないものを観察する技術の重
要性がますます高まっています。その中でも、中
性子やX線などの放射線を利用した可視化技術
が特に注目されています。
これらの技術を駆使
することで、従来は見ることのできなかった様々
な現象を明らかにすることができます。放射線
を用いた可視化技術は、その応用範囲の広さか
ら多くの分野で重要な役割を果たしています。
特に原子力発電所などの安全性に関連しては、
この技術の貢献が非
常に大きいと言えます。放射線イメージングを通じて、原子炉内部の
状態や材料の劣化状況を観察することが可能となります。
これによ
り、早期の異常検出や安全性向上につながる重要な情報を提供する
ことができます。
 私は特に中性子を利用したイメージング技術の高度化に注力し
ています。X線を利用したレントゲンはよく知られていますが、中性
子はX線と比べて物質との相互作用が異なるため、独自の情報をも
たらすことができます。中性子ビームを利用することで、金属の材料

1200℃まで加熱して溶けたガラスの写真

や容器の深部に位置する物体の挙動などに加え、通常は観察困難な
過酷な条件下での現象を明らかにすることができます。私の研究の
目的は、中性子イメージング技術の高度化によって、目に見えない領
域の現象を探求することです。例えば、高温・高圧下での物質の相変
化や内部構造の変化、材料の疲労や破壊など、私たちの日常生活に
おいてはほとんど知られていない重要な情報を明らかにできます。
最近では、1000℃を超える温度で溶かしたガラスの可視化に成功し
ています。
(下図)最新の中性子イメージング技術を駆使し、実験とシ
ミュレーションを組み合わせることで、高精度かつ高感度な観測手
法を開発し、
これまで観察困難とされていた現象が明らかになりま
す。
また、データ処理や画像解析技術の向上にも取り組み、得られた
情報をより効果的に解釈する手段を研究しています。目に見えない
ものを見る技術の進歩は、科学や工学のさまざまな分野に革新をも
たらします。私は、中性子イメージング技術の高度化を通じて、通常
は見えない現象を明らかにし、安全性の向上や新たな知見の獲得に
貢献することを目指しています。

図. 溶けた液体ガラスの中を落ちていく金属球の様子を中性子で視た結果

4

ASKレポート2

一般公開・桜公開について
 令和5年4月1日に複合原子力科学研究所の一般公開を開催しまし
た。新型コロナウィルス感染症対策のため令和2年より実施できな
かったため、4年ぶりの開催となりました。少しずつコロナ禍以前の
状態に戻していくため、今回の一般公開では、来訪者は事前申し込
み制とさせて頂きました。施設見学の対象としたのは、原子炉棟(研
究用原子炉とホットラボラトリ)、イノベーションリサーチラボラトリ
(FFAG加速器とホウ素中性子捕捉療法パネル説明)、廃棄物処理棟
(廃棄物処理装置)です。また展示実演として、図書棟会議室で原子
燃料工業様の核燃料製造施設に関する説明、事務棟会議室で霧箱
実験と化学実験を開催しました。幸い所内の桜が満開の時期と重な
り、天気にも恵まれ、107名の方々が来所されました。また翌4月2日
には桜公開を実施し、431名の方々が来所されました。

化学実験の実演

開花した桜と所内風景

研究用原子炉の見学

ASKインタビュー京都大学複合原子力科学研究所の人たち

事務部設備掛 亀井 大輝(かめいだいき)
出身地:福岡県福津市 略歴:2023年4月∼京都大学

Q1. 複合研に来られたいきさつを教えてください。
 2023年4月に京都大学に採用となり複合原子力科学研究所に配
属となりました。
Q2. 現在の職務内容について簡単に教えてください。
 事務部設備掛に所属しており、第1研究棟の改修工事に携わって
います。
Q3. 出身地のご当地自慢をお聞かせください。
 宮地嶽神社です。
ここは全国にある宮地嶽神社の総本社で毎年
220万人以上、正月三が日だけで
100万人以上の参拝客が訪れま
す。
境内の表参道には多くの店が立ち
並 んで おり、そ の 中 で も名 物 の
松ヶ枝餅がおすすめです。
Q4. 趣味はなんですか?
 散歩です。先日は京都の伏見稲
荷大社と二条城に行きました。
Q5.モットーを教えてください。
 モットーを持たないことがモッ
トーです。

伏見稲荷大社

5

ASK World レポート

熊取滞在記
粒子線基礎物性研究部門・中性子材料科学研究分野 外国人共同研究者 甘 波 (Gan Bo)

 Hello, I am Gan Bo, an International Guest Research Associate
from Sichuan University, China. I arrived at the Institute for
Integrated Radiation and Nuclear Science, Kyoto University in
June 2022 and expect to return home this June. I am honored to
share my wonderful feelings here. The first thing that impressed
me most was how friendly everyone was. My co-supervisor (Prof.
Okuchi), the faculty, and the students are all very enthusiastic in
offering their help. During my research, which is the microscopic
analysis of post-shock samples of hematite, they taught me what
to do, and sometimes helped me physically.
I was also impressed by the pleasant weather and the beautiful
environment. It is always pleasant to stay here with four distinct
seasons, blue skies, and white clouds. The countryside is clean
and tidy, as well as cars. Living here, I always feel that everyone is
incredibly polite. For example, the drivers will stop to let you go
first even if they are far away from you.
The most different living experience is
going to the toilet. The humanized
design makes you marvel at the care
of Japanese.
Last but not least, I would like to thank
everyone for their care and help.

 こんにちは、中国・四川大学から外国人共同研究者として来ている
Gan Boです。2022年6月に京都大学複合原子力科学研究所に着任
し、今年の6月に帰国する予定です。
ここで私の素晴らしい感想をお
伝えできることを光栄に思います。まず、最も印象的だったのは、皆
がとてもフレンドリーだったことです。私の共同研究者(奥地教授)、
教授陣、そして学生たちは皆、
とても熱心に協力を申し出てくれます。
私の研究であるヘマタイトの衝撃圧縮実験後のサンプルの顕微鏡
分析では、何をすべきか教えてくれたり、時には付きっきりで助けて
いただきました。
 また、気候がよく、美しい環境であることも印象に残っています。四
季がはっきりしていて、青空が広がり、白い雲もあって、いつも気持ち
よく過ごすことができます。田舎は車も同
様にきれいに整頓されています。
ここに住
んでいていつも感じるのは、みなさんがと
ても礼儀正しいということです。例えば、運
転手は遠く離れていても、先に行かせてく
れるように停車してくれます。また、最も中
国と異なる生活の体験は、
トイレです。人間
味のあるデザインで、
日本人の気遣いに感
嘆しています。
 最後になりましたが、お世話になった全
ての皆さんに感謝いたします。
(梅田訳)

海外研究炉視察−米国編
 文部科学省委託事業「もんじゅサイトに設置する新たな試験研究
炉の概念設計及び運営の在り方検討」に関連して、米国の研究炉等
を視察する機会が得られた。2023年2月20日∼26日の期間に、日本
原子力研究開発機の辻本和文、徳永 翔、京都大学複合原子力科学
研究所の山村朝雄、櫻井良憲、吉永尚生の5名で、
ミズーリ大学研究
炉(MURR)、オークリッジ国立研究所(ORNL)、SHINE Technologiesの
3ヶ所を訪問した。研究炉等における設計、運転、利用状況等につい
て調査を行うとともに、RI製造設備、ホットラボ、生物照射設備等の
視察も行った。
 ミズーリ州コロンビアにあるMURRは、米国の大学が所有する研
究炉の中で最大の熱出力(10MW)の研究炉である。生命科学、物質
科学、社会科学等の様々な分野の研究・教育に供されるとともに、医
療用含め様々な放射性同位体(RI)を製造している。1週間あたりの運
転日数が6.5日、1年間あたりの運転週が52週という高稼働率には驚
かされた。
 テネシー州オークリッジにあるORNLは、様々な先進的研究施設を

ミズーリ大学研究炉(MURR)

擁している。主に視察したHigh Flux Isotope Reactor (HFIR)は、熱出
力80MWの研究炉であり、MURRと同様に、医療用を主体に様々なRI
を製造している。Radiochemical Engineering Development Center
(REDC)という ホットラボがあり、HFIRで製造したRIの処理等を行って
いる。
 ウィスコンシン州ジェーンズビルにあるSHINE Technologiesはベ
ンチャー 民 間 企 業で ある。 ...

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