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大学・研究所にある論文を検索できる 「Elucidation of Structure-Property Relationship Based on Multinuclear Metal Complexes and Development into Metal Complex Nanotubes」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Elucidation of Structure-Property Relationship Based on Multinuclear Metal Complexes and Development into Metal Complex Nanotubes

Aoki, Kentaro 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k23715

2022.03.23

概要

多核金属錯体は二核錯体、三核錯体等の有限構造から多孔性配位高分子に代表される無限構造まで多彩な構造および設計性を有し、金属間の相互作用などに由来した特異な電子・磁気物性の発現や構成要素の置換による物性の精密制御が可能であることから、機能性材料の開発を行う目的で活発に研究が進められている。本研究では、多核金属錯体の中でも特に設計性・機能性の点で注目されるストリング型錯体および環状金属錯体の新規合成、さらにこれらの錯体の高次構造に由来した機能開拓を目的とした。その結果、ダイマー化したストリング型錯体におけるダイマー特有の電子吸収や磁気的相互作用、環状金属錯体における多点の相互作用が誘起したゲスト包接能や無機鉱物との構造類似性、さらに細孔表面をフッ素修飾した金属錯体ナノチューブにおける疎水性の向上と高プロトン伝導性を明らにした。

(1) ダイマー化したストリング型錯体の構造・電子状態および磁気特性
 Niの3核ストリング型錯体とヨウ素を反応させて、Niの3核ユニット2つが塩素イオンで架橋されたダイマー型の錯体を合成し、単結晶X線回折測定からその構造を明らかにした。本錯体は複数のストリング部位が連結され、その構造が決定された初の例である。また、Ramanおよび吸収スペクトル測定、さらに密度汎関数理論計算から、架橋塩素イオン周りのNi-Cl伸縮モード、連結された三核ユニット間における電子遷移が観測された。さらに、本錯体が結晶状態においてhead-to-tail型で一次元に配列することに由来して、ダイマー錯体内および錯体間において反強磁性的な相互作用を有することを磁化率測定から明らかにした。

(2) 新規環状三角形錯体の合成およびゲスト包接能
 60度の配位角を有する平面配位子とPd錯体から環状三角形錯体を合成し、単結晶X線回折測定からその構造を確認した。本錯体では、固体状態において2枚の三角形ユニットからなる2種類の空隙が形成され、N, N’-ジメチルホルムアミド(DMF)とジエチルエーテル(Et2O)が別々に包接されていることが明らかとなった。各空隙において、三角形ユニットとゲスト分子との間には、極性分子のDMFとの間には双極子-双極子相互作用が、非極性分子のEt2Oとの間には水素結合がそれぞれはたらき、異なる相互作用で空隙の形状が変化することで、ゲスト分子を別々に包接することが示唆された。また、これらの相互作用をHirshfeld表面解析から可視化することに成功した。

(3) 電子アクセプター部位を導入した環状四角形錯体の構造と無機鉱物との類似性
 電子アクセプター性を有する直線配位子とcis位をキャップしたPt錯体から環状四角形錯体を合成した。サイクリックボルタンメトリー測定から、四角形ユニット当たり8電子の受容能を持つことが明らかとなった。また、単結晶X線構造解析から、結晶構造中には四角形ユニット間に水素結合やlone pair…π相互作用といった多点の相互作用が生じる結果、従来のPdやPtの環状四角形錯体と比較して対称性の高い立方晶の空間群で結晶化することが明らかになった。さらに、結晶構造を詳細に検討し、同じ空間群で結晶化する加藤柘榴石との構造類似性を見出した。

(4) 細孔表面をフッ素修飾した金属錯体ナノチューブにおける高プロトン伝導性
 フッ素で置換基修飾した配位子を用いて環状四角形錯体を合成し、臭素により酸化的に重合して正方柱型の金属錯体ナノチューブを合成した。25℃および相対湿度95%における本錯体のプロトン伝導度はフッ素置換していない無置換型の金属錯体ナノチューブと比較して約5倍大きいことが分かった。これは、ナノ細孔表面にフッ素を露出したことでナノ細孔の疎水性が向上し、細孔中においては取り込まれた水分子の水素結合ネットワークを介してプロトンがスムースに拡散できるようになったためだと考えられる。また、示差走査熱量測定や固体核磁気共鳴分光測定から、疎水性ナノ細孔中に包接された水の固液相転移が連続的に起こることが示唆され、バルク状態の水の相転移挙動と全く異なることも見出した。

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