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大学・研究所にある論文を検索できる 「長期持続性心房細動に対するカテーテルアブレーションの術後再発予測 : 術前洞調律化と左房ストレインの臨床的意義の検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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長期持続性心房細動に対するカテーテルアブレーションの術後再発予測 : 術前洞調律化と左房ストレインの臨床的意義の検討

花木, 裕一 筑波大学

2021.08.03

概要

目 的:長期持続性心房細動へのカテーテルアブレーション治療のアウトカムを予測するために、術前の抗不整脈薬や電気的除細動による洞調律化への反応と左心房の形態的・機能的リモデリングの評価が有用であるかを調査した。

対象と方法:有症候性・薬剤抵抗性・長期持続性(12 か月以上持続)心房細動患者について、初回カテーテルアブレーション治療が施行された連続 142 症例を対象とし、重度の僧帽弁狭窄症 2 例、カテーテル治療前に洞調律化を試みられなかった 11 例、バルーンカテーテルを用いたアブレーション 29 例の計 42 例は除外され、残りの 100 例を後方視的に解析した。患者はアブレーション術前に洞調律化が得られた群と得られなかった群に分けられた。心臓エコー検査における各種パラメーター(左室駆出率や左心房 径、左心房容積係数など)および、左心房拡張相におけるストレイン値(LASr: 左心房リザーバー機能を反映)について術前洞調律化を試みる前と初回カテーテルアブレーション前において評価した。アブレーション治療は両側肺静脈電気的隔離術を主とし、術者の判断で三尖弁輪下大静脈峡部伝導ブロックが追加された。また除細動施行後も心房細動が持続する場合やすぐに再発してしまう場合には追加治療として線状焼灼や電位指標による基質焼灼などが施行された。初回治療後のフォローアップ中の blanking period後に頻脈性心房性不整脈の再発を認めた場合にはカテーテルアブレーション再治療が施行された。アブレーション治療から 2 週間および 1,3,6,12 か月後に 24 時間ホルター心電図または携帯心電計を用いて観察をおこない、最終治療後 1 年以上のフォローアップを行った。

結 果:術前の抗不整脈薬投与および電気的除細動によって 56 人の患者で洞調律化が得られ、残りの 44 人は洞調律への復帰及び維持が困難であった。カテーテルアブレーションによって 1 人の心タンポナーデを発症したがその他主要合併症は認めなかった。平均 34 か月のフォローアップ期間中に、単回のアブレーション治療後抗不整脈薬補助下において 40 人(40%)の症例で洞調律維持が得られ、複数回アブレーション治療後抗不整脈薬補助下においては 71 人(71%)で洞調律維持が得られた。最終治療後に洞調律維持された患者群の 47 人(66%)において術前洞調律化が得られていたのに対して、最終治療後に不整脈再発を認めた患者群では 9 人(31%)しか術前洞調律化が得られなかった(p=0.001)。全対象患者におけるカプランマイヤー曲線において、アブレーション前洞調律化維持不能群で、LASr 値については 8.6%未満群で不整脈再発率が高かった(ログランク検定でそれぞれ p=0.001、p<0.001)。Cox 比例ハザードモデルにおいて、術前洞調律化不能と治療直前測定 LASr <8.6%はそれぞれ独立して最終カテーテル治療後の心房性不整脈再発を予測した(ハザード比 3.13 [95%信頼区間: 1.42-6.91]、p = 0.005 およびハザード比 3.89 [95%信頼区間:1.65-9.17]、p = 0.002)。アブレーション前洞調律化困難と LASr 値は、従来の臨床的関連因子(心房細動持続時間と左心房径や左心房容積係数値を基にした左房リモデリング)に加えることで、最終アブレーション後の心房性不整脈再発を予測するのに付加的予測価値を有しており、再発に関するリスク層別化を向上させた(net reclassification improvement 0.39; [95%信頼区 間:0.13-0.65, p= 0.003])。

考 察:
左心房のリザーバー機能を反映したストレイン解析は左心房に存在する不整脈基質の進展具合やカテーテルアブレーション治療の効果が乏しい患者を評価するために有用である可能性がある。アブレーション直前の LASr 値はアブレーション前洞調律化の維持とは無関係にアブレーション後心房性不整脈再発を予測したが、これらの所見から、アブレーション術前に洞調律化が得られても、LASr 値の十分な改善が得られない場合には、重度で不可逆な心房変性を示しているものと思われた。

長期持続性心房細動に対する適切なアブレーション対象患者の選定と不適切な手技の減少は臨床的安全性と医療コストの削減のために重要である。術前洞調律化治療への反応や左房ストレイン値の評価は従来の予測因子に加えてアブレーションへの反応性が良い患者の同定に有用であると考えられるが、長期持続性心房細動患者における手技の効率を上げるのか、臨床成績を改善するのかについては未だ明らかではなく、今後前向き無作為化試験を要するものと考える。

結 語:抗不整脈薬や電気的除細動を用いたアブレーション術前洞調律化への反応や LASr 値は、長期持続性心房細動へのカテーテルアブレーション後の再発を予測し得る。これらの新しい予測因子をカテーテルアブレーション治療前のスクリーニングとして従来のパラメーターに加えることで、再発リスクの層別化や長期持続性心房細動患者へのカテーテルアブレーション治療の適切な患者選定の一助となる可能性があ る。

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