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書き出し

適切な経口抗凝固療法下で左心耳血栓を有する非弁膜症性心房細動患者の特徴

白木, 宏明 神戸大学

2023.03.25

概要

Kobe University Repository : Kernel
PDF issue: 2024-05-02

Characteristics of non‐valvular atrial
fibrillation with left atrial appendage
thrombus who are undergoing appropriate oral
anticoagulation therapy

白木, 宏明
(Degree)
博士(医学)

(Date of Degree)
2023-03-25

(Resource Type)
doctoral thesis

(Report Number)
甲第8492号

(URL)
https://hdl.handle.net/20.500.14094/0100482240
※ 当コンテンツは神戸大学の学術成果です。無断複製・不正使用等を禁じます。著作権法で認められている範囲内で、適切にご利用ください。

(課程博士関係)

学位論文の内容要旨

Characteristics of non-valvular atrial fibrillation with left atrial
appendage thrombus who are undergoing appropriate oral
anticoagulation therapy

適切な経口抗凝固療法下で左心耳血栓を有する
非弁膜症性心房細動患者の特徴

神戸大学大学院医学研究科医科学専攻
循環器内科学
(指導教員:平田 健一 教授)

白木 宏明

【背景】

心房細動は心房が洞房結節の刺激によらずに速く部分的に興奮収縮し、規則
的な洞房結節の活動が伝わらず、心室の収縮が不規則な間隔で起こる状態であ
る。また、心房細動を起こす基礎疾患には心房負荷を起こす疾患(僧帽弁狭窄
症、僧帽弁閉鎖不全症、心房中隔欠損症)、甲状腺機能亢進症、虚血性心疾
患、心筋症、WPW 症候群等がある。現在、リウマチ性の僧帽弁狭窄症あるい
は人工弁置換術を行った心房細動以外は非弁膜症性心房細動と称される。
心房細動の管理上で最も注意しなくてはならない事は心内血栓による脳塞栓
症(心原性脳梗塞)の合併であり、その発症頻度を低下させるため適切な対応
が求められる。非弁膜症性心房細動では、脳梗塞のリスク評価を行ったうえで
適切な抗血栓療法を選択することが奨励され、脳梗塞発症のリスクが集積する
と脳梗塞の発症率が上昇することが注目されている。また、非弁膜症性心房細
動で形成される心内血栓の 90%以上は、左心房(特に左心耳)に形成される。
さらに、非弁膜症性心房細動患者においては、左心耳血流速度の低下は血栓形
成に極めて密接に寄与している。また、左心耳の観察ならびに左心耳血流速度
の計測には経胸壁心エコー図検査では不十分であり、経食道心エコー図検査で
観察することが必須である。
現在非弁膜症性心房細動に対する抗凝固療法としてはワルファリンと直接経
口抗凝固薬(DOAC)の 2 種類が投与可能であり、脳梗塞予防(左房内血栓形
成の予防)のために投与されている。しかしながら、適切な抗凝固薬を投与し
ているにも関わらず、左房内血栓が形成される症例が少なからず認められてい
る。このような患者群は、非弁膜症性心房細動のなかでも脳梗塞発症のハイリ
スク群であると考えられるべきであるが、その患者背景や詳細は解明されてい
ない。
よって本研究の目的は、2013 年 8 月から 2019 年 9 月まで神戸大学医学部附
属病院循環器内科で適切な抗凝固療法が施行されている非弁膜症性心房細動患
者を対象とし、経食道心エコー図検査で左房内血栓の有無を確認し、対象患者
の左房内血栓に関連する因子を同定することである。
【方法】

非弁膜症性心房細動に対する経皮的カテーテル心筋焼灼術、もしくは電気的
除細動が予定され、経胸壁かつ経食道心エコー図検査が施行された患者連続

812 例を対象とした。
適切な経口抗凝固療法の定義は当時の日本循環器学会の心房細動治療(薬
物)ガイドライン(2013 年改訂版)に基づき、ワルファリンの場合は 70 歳未
満では PT-INR(プロトロンビン時間-国際標準比)が 2.0~3.0、70 歳以上では
PT-INR が 1.6~2.6、DOAC の場合は添付文書に基づいた使用とし、経食道心エ
コー図検査の少なくとも 3 週間前から上記を服用しているものとした。
上記の適切な経口抗凝固療法の定義に当てはならない症例を除外し、737 例
を検討した。
【結果】

適切な経口抗凝固療法を受けている 737 例の非弁膜症性心房細動患者のう
ち、22 例(3.0%)に左心耳血栓を認めた。
左心耳血栓形成に関連する因子を特定するために実施した単変量ロジスティ
ック回帰分析の結果、年齢、発作性心房細動、CHADS2 スコア≧3、左室駆出
率、左室心筋重量係数、左房容積係数、左心耳血流速度は左心耳血栓形成と関
連することが示された。多変量ロジスティック回帰分析の結果、左心耳血流速
度(OR:0.59,95%CI:0.48-0.73,p<0.001)および左房容積係数(OR:
1.01,95%CI:1.00-1.03,p=0.04) が左心耳血栓形成の独立予測因子だった
が、左心耳血流速度の方が強力だったことであった。観察者受動特性解析によ
り、左心耳血栓の予測に最適な左心耳血流速度のカットオフ値は≦18cm/s であ
り、感度 100%、特異度 92.2%、曲線下面積 0.985 であった。
また、左心耳血流速度を計測するには経食道心エコー図検査を施行する必要
があるが、左房容積係数は経胸壁心エコー図検査の指標で唯一左心耳血栓形成
と関連した独立因子であった。そこで、適切な経口抗凝固療法を受けている非
弁膜症性心房細動患者において、左房拡大と左心耳血栓形成の関連性を評価し
た。
受信者動作特性曲線解析により、左心耳血栓の予測に最適な左房容積係数の
カットオフ値は 50 mL/m2 以上であり、感度 77.3%、特異度 73.8%、曲線下面
積 0.787(p<0.01)であった。適切な経口抗凝固療法を受けている非弁膜症性
心房細動患者における左心耳血栓形成の有病率は 3.1%であり、CHADS2 スコア
とともに増加する傾向にあった。しかし、受信者動作特性曲線解析で求めた左
房容積係数< 50 mL/m2 の適切な経口抗凝固療法を受けている非弁膜症性心房細

動患者の左心耳血栓形成有病率は、CHADS2 スコアとは無関係に極めてまれ
(1.0%)だった(p=0.02 vs. 全患者)。さらに、左房拡大(≤34 mL/m2)を伴
わない適切な経口抗凝固療法を受けている非弁膜症性心房細動患者における左
心耳血栓形成の有病率は、CHADS2 スコアにかかわらず、極めてまれ(0.4%)
でした(全患者に対する p=0.01)。
更に左房サイズに基づく適切な経口抗凝固療法を受けている非弁膜症性心房
細動患者における左心耳血栓形成の有病率を検討した。左房が正常な患者(左
房容積係数≦ 34mL/m2)における左心耳血栓形成の有病率は 0.4%(1/238)と
低率であった。左房容積係数が 34~49.9mL/m2 の軽度左房拡大では 1.5%
(4/268)であったが、発作性心房細動では 0.0%(0/159)と低率であった。左
房容積係数が 50mL/m2 以上の左房拡大患者では、左心耳血栓形成の有病率は
8.7%(17/195)と高率であった。また、左房容積係数> 34mL/m2 で左心耳血栓
形成のない患者の有病率は、発作性心房細動で 99.1%(216/218)、非発作性心
房細動で 92.2%(226/245)、左房容積係数 < 50mL/m2 で左心耳血栓のない患者
は発作性心房細動で 100%(345/345)、非発作性心房細動で 96.9%(156/161)
であった。
【考察】

本結果は,適切な経口抗凝固療法を受けているにも関わらず左心耳血栓を有
する非弁膜症性心房細動患者 737 例の 3.0%において、左心耳血流速度≦18 cm/s
が左心耳血栓形成と強く関連していることを示している。さらに、適切な経口抗
凝固療法を受けている非弁膜症性心房細動患者において、左房拡大のない左心
耳血栓形成は極めてまれであった。
我々の知見によれば、適切な経口抗凝固療法を受けている非弁膜症性心房細
動患者の左心耳血流速度が<18 cm/s に達した場合、従来の抗凝固戦略は不適切
となる可能性がある。経口抗凝固療法は、ワルファリンの PT-INR 目標値を上げ
る、脳卒中の発症を避けるために低分子ヘパリンを追加または切り替える、安全
な除細動やカテーテルアブレーションなどの処置によって強化される可能性が
ある。実際、左心耳血栓を有する非弁膜症性心房細動患者 22 名のうち、適切な
経口抗凝固療法を受けていた 11 名(50%)の左心耳血栓が、本研究では経口抗
凝固療法をさらに強化することにより消失したが、この知見は臨床的には有用
ではないかもしれない。さらに、経カテーテル的あるいは外科的な左心耳閉鎖術

は、このような患者において左心耳血栓形成を回避するための別の治療戦略で
ある可能性がある。
本研究のもう一つの重要な発見は、非弁膜症性心房細動患者において、適切な
経口抗凝固療法を受けている場合でも、左房拡大と左心耳血栓形成との間に強
い関連があることであった。適切な経口抗凝固療法を受けている非弁膜症性心
房細動患者において、左房容積係数<50mL/m2 の左心耳血栓形成の有病率は、
CHADS2 スコアにかかわらず極めて稀(1.0%)で、左房拡大(≦34mL/m2)のな
い患者ではさらに稀(0.4%)であった。さらに、適切な経口抗凝固療法を受けて
いる非弁膜症性心房細動患者で、左房容積係数が 34〜49.9mL/m2 と軽度に拡張
し、発作性心房細動を有する患者における左心耳血栓形成の有病率もはるかに
稀であった(0.0%)。したがって、上記の患者では経皮的カテーテル心筋焼灼術
や電気的除細動の前に左心耳血栓を評価するための経食道心エコー図検査は省
略できる可能性を考える。
【結語】

左心耳血流速度は,適切な経口抗凝固療法を受けている非弁膜症性心房細動
患者であっても、左心耳血栓形成と強く関連している。我々の知見は、これら
の患者、特に左心耳血流速度が 18cm/s 未満の患者に対しては、経口抗凝固療法
の強化、または左心耳の経カテーテル的もしくは外科的閉鎖を考慮する必要が
あることを示唆している。さらに、左房拡大のない適切な経口抗凝固療法を受
けている非弁膜症性心房細動患者における左心耳血栓形成は極めてまれである
ため、カテーテルアブレーションまたは電気的除細動の前に左心耳血栓の評価
のための経食道心エコー図検査は省略できる可能性を考える。

神戸 大 学 大 学院医学(系)研究科(博士課程)

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
甲 第 3236号



受 付番 号



白木宏明

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論文題目

適切な経口抗凝固療法下で左心耳血栓を有する非弁膜症性心房細動

T
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患者の特徴
D
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主 査

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fExaminer
審査委員

Examiner

副 査

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副 査

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喜 □→

汎仔絨司

斥ぢ命}


要旨は 1
, 000字 ∼ 2, 000字程度)

【背景】非弁膜症性心房細動では、脳梗塞のリスク評価を行ったうえで適切な抗血栓療法
を選択することが奨励される。非弁膜症性心房細動で形成される心内血栓の 90%以上は、
左心房(特に左心耳)に形成され、左心耳血流速度の低下は血栓形成に密接に寄与してい
る。左心耳の観察・左心耳血流速度の計測には経食道心エコー図検査で観察することが必
須である。現在、非弁膜症性心房細動に対する抗凝固療法としてはワルファリンと直接経
口抗凝固薬 (DOAC) の 2種類が投与可能で、脳梗塞予防(左房内血栓形成の予防)のた
めに使用される。しかし適切な抗凝固薬の投与にも関わらず、左房内血栓が形成される症
例が少なからず認められ、このような患者群は、脳梗塞発症のハイリスク群と考えられる
が、その患者背景や詳細は解明されていない。よって本研究の目的は、 201
3年 8月か ら 2019
年 9月まで神戸大学医学部附属病院循環器内科で適切な抗凝固療法が施行されている非弁
膜症性心房細動患者を対象に、経食道心エコー図検査を実施し対象患者の左房内血栓に関
連する因子を同定することである。

方法 】非弁膜症性心房細動に対する経皮的カテーテル心筋焼灼術、電気的除細動が予定
され、経胸壁かつ経食道心エコー図検査が施行された患者連続 812例を対象とした。適切
な経口抗凝固療法の定義はワルファリンの場合は 70歳未満では PT
INR (プロトロンビン
時間ー
国際標準比)が 2
.
0
,
.
.
.
.
_
,
3.
0、70歳以上では PT-INRが 1
.
6
,
.
.
.
.
_
,
2
.
6、DOACの場合は添付文
書に基づいた使用とし、経食道心エコー図検査の少なくとも 3週間前か ら上記を服用して
いるものとし、定義に当てはならない症例を除外し、 737例を検討した。

結果】 737例の非弁膜症性心房細動患者のうち、 22例 (3.0%)に左心耳血栓を認めた。
左心耳血栓形成に関連する因子を特定するために実施した単変量ロジスティック回帰分析
の結果、年齢、発作性心房細動、 CHADS2 スコア ~3 、左室駆出率、左室心筋重量係数、左

房容積係数、左心耳血流速度は左心耳血栓形成と関連し、多変量ロジスティック回帰分析
の結果、左心耳血流速度 (OR:0
.
5
9
, 95% CI
:0
.
4
80
.
7
3,p<0.001
) および左房容積係数
(OR:1
.01,95% CI:1
.
0
0
-1
.0
3
, p=0.
04) が左心耳血栓形成の独立予測因子だったが、左

心耳血流速度の方が強力だ ったことであった。観察者受動特性 (ROC) 解析により、 左心
耳血栓の予測に最適な左心耳血流速度のカットオフ値は~ l
8
c
1
n
/
sであり、感度 100%、特

2%、曲線下面積 0
.
9
8
5であ った。また、左房容積係数は経胸壁心エコ ー図検査の
異度 92.

指標で唯一左心耳血栓形成と関連した独立因子であった。そこで、左房拡大と左心耳血栓
形成の関連性を評価した。 ROC解析により、左心耳血栓の予測に最適な左房容積係数のカ
ットオフ値は 50mL/m2以上であり、感度 77.3%、特異度 73.8%、曲線下面積 0.787(p<0.01)
であった。適切な経口抗凝固療法を受けている非弁膜症性心房細動患者における左心耳血
栓形成の有病率は 3
.1%であり、 CHADS2スコアとともに増加する傾向にあった。しかし、
ROC解析で求めた左房容積係数<50mL/
面の通切な経口抗凝固療法を 受けている非弁膜症

性心房細動患者の左心耳血栓形成有病率は、 CHADS2スコアとは無関係に極めてまれ

(1.0%) (p=0.02vs . 全患者)で、 左房拡大 (~34mL/m2) を 伴わな い 適切な経口抗 凝固

療法を受けている非弁膜症性心房細動患者における左心耳血栓形成の有病率は、 CHADS2
スコアにかかわらず、極めてまれ (
0.4%)だった (
全患者に対する p=0
.
0
1)。 更に左房サ
イズに基づく適切な経口抗凝固療法を受けている非弁膜症性心房細動患者における左心耳
血栓形成の有病率を検討した。左房が正 常な患者 (左房容積係数 ~ 34mL/m
り における左

.
4% (
1
/
2
3
8
) と低率であった。左房容積係数が 34.
.
.
,
4
9
.
9
m
L
/
m2
心耳血栓形成 の有病率は 0

の軽度左房拡大では 1
.
5% (
4
/
2
6
8
) であ ったが、発作性心房細動では 0.0% (
0
/
1
5
9) と低率
であった。 左房容積係数が 50mL/m2以上の左房拡大患者では、左心耳血栓形成 の有病率は
8
.
7% (
1
7
/
1
9
5
) と高率であった。 また、左房容積係数>34mL/m2で左心耳血栓形成のない

患者の有病率は、発作性心房細動で 9
9
.
1% (
2
1
6
/
2
1
8
)、非発作性心房細動で 9
2
.
2% (
2
2
6
/
2
4
5
)、
左房容積係数 <50mL/
m2で左心耳血栓のない患者は発作性心房細動で 1
0
0% (
3
4
5/
3
4
5
)、
6
.
9% (
156
/
1
6
1) であった。
非発作性心房細動で 9


考察 】適切な経口抗凝固療法を受けているにも関わらず左心耳血栓 を有する非弁膜症性
心 房細動患者 737 例の 3.0 %において、左心耳血流速度 ~18 cm
/
sが左心耳血栓形成と強 く

関連し、左房拡大のない左心耳血栓形成は極めてまれであ った。適切な経口抗凝固療法を
受けている非弁膜症性心房細動患者の左心耳血流速度が<1
8emfsに達した場合、従来の抗
凝固戦略は不適切となる可能性がある。ワルファ リンの PT-INR 目標値 を上げる 、低分子
ヘパリンを追加または切り替える、安全な除細動やカテーテルアブレーションなどの処置
によ って強化される可能性がある 。実際、左心耳血栓を有する非弁膜症性心房細動患者 22
名の うち 、適切な経口 抗凝固療法を受けていた 1
1名 (
50%)の左心耳血栓が、経口 抗凝固
療法をさらに強化することにより 消失した。本研究のもう 一つの重要な発見 は、非弁膜症
性心房細動患者において 、適切な経口抗凝固療法を受けている場合でも、左房拡大と左心
耳血栓形成との間に強い関連があることであった。適切な経口抗凝固療法を受けている 非
弁膜症性心房細動患者において 、左房容積係数 <50mL/
面 の左心耳血栓形成の有病率は、
CHADS2 スコ アに かかわ らず極めて 稀 (1.0% )、 左房 拡大( ~34mL/m2) のない患者では

さらに稀 (0.4%) で、 さらに、適切な経 口抗凝固療法を受けている非弁膜症性心房細動患
者で、左房容積係数が 3 4 ~ 49.9mL/m2 と軽度に 拡 張し た患者における左 心耳 血栓形成 の有

病率も はるかに稀であ った (
0.
0%)。上記の患者では経皮 的カ テーテル心筋焼 灼術や電気
的除細動の前の経食道心エコー図検査は省略できる可能性 を考える。

結論】左心耳血流速度は ,適切な経口抗凝固療法を 受けている 非弁膜症性心房細動患者
であ っても、 左心耳血栓形成 と強く関連し、左房拡大のない適切な経口抗凝固療法を受け
てい る非弁膜症性心房細動患者における 左心耳血栓形成は極めてまれであるため 、カ テー
テルアブレーションまたは電気的除細動の前に左心耳血栓の評価 のための経食道心エコ ー
図検査は省略できる可能性を考える。本研究は適切な抗凝固療法 中にもかかわらず左心耳
血栓を有する非弁膜症性心房細動患者の特徴を明らかにした点で、重要な知見 を得たもの
として価値ある 業績である 。博士 (
医学)の学位を得る資格があると認める 。

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