教養として法学を学ぶということ (特集 教養教育を問い直す)
概要
教養教育を問い直す
教養として法学を学ぶということ
東京理科大学理学部第一部教蓑学科准教授
じんの
i$里f
きよし
精侭
法学を学ぷことは「役に立つ」のだろうか
本枯jは . 学生たちからのそんな11:Jいかけに
「パパ . だから歴史が何の役に立つのか説
対する . 伐なりの極めてささやかな1111答のつ
明してよ」。 これは フランスの樅史学者マ
ルク ・
プロック(1886~ 1944)の著作「歴史
のための弁l月」(マルク ・ プロック・ 杓 松村剛
,沢「新版歴史のための弁lリlー歴史家の仕•Ji-」 . 岩
「法的知識」の大切さ
実際に法学を学び始めてみると . 「明LI.
2004年)の冒頭部分で歴史学を学
友だちに話したいな」というような豆知識
ぶ人にはとてもよく知られた 一 文です。 そし
と 出会うこともあるかも知れません。 例え
て この「何の役に立つ の?」というIii! い
ば . 法往にいちばん多く登場する都逍府県は
は 現在に至るまで歴史学の研究者を悩ませ
北洵迅らしいよとか ラフカデイオ ・ ハ ー ン
続けてきた 大きなIii! 題のようです。
(小泉八虞)が出てくる法律があるらしいよ
波
,l ::J占.
もりです。
ll
伐が如 jにしている法学は . もしかしたら
歴史学ほどは「何の役に立つの?」とは言わ
とか (第 一 法規法律トリビア研究会和濱「法律
って邸外とおもしろい法律l、リピア大集合」 .
れない分野なのかも知れません。 でもときお
第 一 法規. 2017年). 法に関わるちょっとおも
り . 理科大の学生たちから . 「教投科F1の法
しろい話というのは確かにたくさんありま
学を)復修したら . 何かの役に立ちますか?」
す。 ですが法学を学ぶということは . 豆知
とllrlかれることがあります。 法学は法神家に
識を削やす作業ではありません。 法学は英語
なる人たちが勉強するものであって 理系の
で,iうと「jurisprudence」 , もともとの邸味
!'I分たちが勉強して「何の役に立つの?」と
は「法の野應」と言います。 つまり . 法的な
息うようです。
息考力(「法的息考」)を磨くことこそが法
1哭は . 「何のために苦学するかといえば
一
学という学間の目指すところなのです。
寸と説明はない」(福沢揺tr i'i杓 . 富Ill.止文校
しかし . 「法的息考」をl科くその前に . き
ii: 「福翁!'I伝J. 脱應義熱大学出版会. 2001年)
ちんとした知識(「法的知識」)を持つことは
という言菜が鎌いではないので「そもそも
絶対に大切です。 法に関わる何らかの自分の
何かの役に立たないといけないの?」とJirlき
考えを表明する場合でも . 法をテ ー マに誰か
返してみたい気持ちになったりもします。 し
と対話をするような場合でも 知識のある人
一
方で学生たちからの「何の役に
の 、,'訟見・ 主張と知識のない人のそれらとを
立つの?」という率直なIii! いは . 教脊として
対等に扱うことは難しいからです。 そして
法学を学ぶことの意味や価値について . 僕自
ここで育っている知識とは . 豆知識でも六法
身はきちんと考えることができているだろう
全・, 1 ::の丸11{1記でもなく. 基本的な概念をきち
か という反省を促してもくれます。
んとFil解することを指しています。 ...