書き出し
乾癬性関節炎に対する最適な生物学的製剤治療選択 (第137回成医会総会一般演題)
概要
乾癬性関節炎は進行すると関節の変形が不可逆的となるため,早期診断と早期治療が重要である.関節変形を予防する有効な治療として生物学的製剤があるが,治療薬として抗TNF 製剤か抗IL-17製剤のどちらを選択するかの基準は存在しない.今回,東京慈恵会医科大学附属病院の乾癬性関節炎患者でアダリムマブ(ADA)もしくはセクキヌマブ(SEC)で治療を行った症例について,各薬剤の治療効果について検討を行った.症例数は,ADA:72例,SEC:32例であった.皮疹に対する効果は,PASI-90/-75(12 ~ 16週目)では,ADA:46%/67%,SEC:79% /90%であった.CRP 高値例(ADA:38例,SEC:19例)に関する治療前/3 ヵ月後のCPR の変化は,ADA:1.34/0.48(mg/dl),SEC:1.26/0.47(mg/dl)であった.治療継続率:12 ヵ月目/24 ヵ月目は,ADA:80%/67%,SEC:84%/60%であった.患者背景について検討したところ喫煙者では,ADA:80%/65%,SEC:100%/57%,BMI ≧25の症例では67%/25%であった.これらの結果から,皮疹に対する有効性はSEC が高く,喫煙者,BMI が高い症例ではADA の継続率が高かった.