外来患者と入院患者における透析室スタッフの患者対応時間について:スタッフの適正配置への取り組み (第137回成医会総会一般演題)
概要
【はじめに】
透析室における適正な人員配置を検討する指標の一つに患者数がある.しかし,入院患者と外来患者では同じ患者数でも係わる人員に差が生じる可能性がある.そこで,外来患者と入院患者におけるスタッフの患者対応時間を調査した.
【対象・方法】
対象は無作為に抽出した外来患者5名,入院患者5名で,患者1名に対し,医師,看護師,臨床工学技士の患者対応に係わる時間を調査した.調査には業務マニュアルから,患者対応に関する項目を抽出し,調査用紙を作成した.記録者以外のスタッフは対象者を知りえない状況として,各職種が患者に係わった時間を記録した.
【結果】
外来患者と入院患者における患者1人あたりの業務時間(分)は医師6.8±1.9 vs12.4±7.9(P =0.20),看護師24.2. ±6.3 vs 24.2±7.0(P=1.00),臨床工学技士16.6±4.6 vs 30.4±12.8(P=0.08)であり,統計学的な有意差はなかった.
【考察】
医師,臨床工学技士においては入院患者に係る時間が増加する傾向にあった.看護師が係わる時間に差が無い傾向となったのは,外来患者への指導や傾聴に時間が掛かった事が考えられる.
【結語】
今回の方法では外来患者と入院患者におけるスタッフの患者対応時間に顕著な差は無かった.医師・臨床工学技士は,入院患者の対応に時間がかかる傾向にあるため,人員配置を行う際,入院患者,外来患者の割合には注意が必要である.