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大学・研究所にある論文を検索できる 「全身性強皮症におけるIL-31の役割の検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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全身性強皮症におけるIL-31の役割の検討

久住, 藍 東京大学 DOI:10.15083/0002007069

2023.03.24

概要

[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名久住



本研究は、全身性強皮症における IL-31 の役割について明らかにするために、ヒトの血
清と培養皮膚線維芽細胞、およびブレオマイシン誘発強皮症モデルマウスを用いて、線維
化と免疫異常の観点から解析を試みたものであり、下記の結果を得ている。
1. 全身性強皮症患者の血清 IL-31 濃度は、健常人と比較して上昇しており、皮膚および
肺の線維化の重症度や、血清 IL-4, IL-6, IL-13 濃度との関連が見られた。また、全身性強
皮症患者の皮膚線維芽細胞では、IL-31 および IL-31 receptor A(IL-31RA)の発現がともに
上昇しており、全身性強皮症における IL-31/IL-31RA 軸の亢進が示唆された。
2. 全身性強皮症患者の皮膚線維芽細胞を IL-31 で刺激すると、I 型コラーゲンの産生お
よび、I 型コラーゲンをエンコードする COL1A1 と COL1A2 の発現が濃度依存的に上昇
した。さらに、全身性強皮症の線維芽細胞で発現が上昇し、Th2 系の免疫反応を促進する
ことが知られている IL-6, IL-33, CCL2 の発現についても、IL-31 の刺激により発現が亢
進した。以上より、IL-31 は、全身性強皮症の皮膚線維芽細胞において、コラーゲンの産
生を促進することで線維化を誘導するとともに、Th2 系の免疫反応を促進するサイトカイ
ンの発現を上昇させることで、Th2 偏倚を促進させている可能性が示された。
3. 全身性強皮症の線維化と免疫異常を呈するモデルとして広く用いられているブレオマイ
シン(bleomycin; BLM)誘発強皮症モデルマウスに IL-31 を投与すると、皮膚・肺の線維化
が増悪し、皮膚・肺・血清・脾臓 T 細胞における Th2 偏倚が増強された。この結果か
ら、全身性強皮症の病態形成機序の一つとして、IL-31 が皮膚線維芽細胞に作用し、コラ
ーゲンの産生を促進し線維化を誘導するとともに、Th2 系の免疫応答を促進するサイトカ
インの発現を上昇させることで Th2 偏倚を増強している可能性が明らかとなった。一方、
抗マウス IL-31RA 抗体を BLM 誘発強皮症モデルマウスに投与し、IL-31 の作用を抑制し
たところ、皮膚および肺の線維化が抑制されるとともに、皮膚・肺・血清・脾臓 T 細胞に
おける Th2 偏倚が抑制された。以上より、IL-31 が全身性強皮症の線維化と免疫異常の双
方に関与する新規治療標的となりうる可能性が示された。
以上、本論文は、患者検体とモデルマウスを用いた解析を通して、全身性強皮症の線維
化と Th2 偏倚における IL-31 の関与を明らかにするとともに、IL-31/IL-31RA 軸の治療標
的としての可能性を示した。本論文は、全身性強皮症の病態解明および新規治療の開発に
重要な貢献をなすと考えられる。
よって本論文は博士( 医

学 )の学位請求論文として合格と認められる。

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