強皮症の進展に対するIL-21/IL-17RA軸の役割の検討
概要
[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名 深山 麻衣子
本研究はびまん皮膚硬化型全身性強皮症(dcSSc)と限局皮膚硬化型全身性強皮症(lcSSc)
患者における IL-17A および IL-21 の役割を検討したものである。間質性肺病変(ILD)が
存在する dcSSc 患者では血清 IL-17A が高値であり、皮膚や肺の線維化、血管障害などの臨
床指標とも相関していた。皮膚における IL-17A 受容体 IL-17RA の発現は SSc 患者で上昇
しており、SSc 皮膚線維芽細胞における IL-17RA 発現は、やはり Th17 細胞が産生するサ
イトカインである IL-21 で上昇した。SSc での IL-21 の血清中濃度も IL-17A と同様の挙動
を示した。最後に SSc モデルであるブレオマイシン(BLM)投与マウスの皮膚および肺病
変は IL-17RA 抗体、IL-21 抗体で改善した。
以上、本研究は SSc 皮膚線維芽細胞において、IL-21/IL-21R を介した JAK1/3 リン酸化
の亢進を経て、IL-17RA の発現が亢進し、IL-17A/IL-17RA 下流の MEK/ERK 活性化とい
う経路が SSc における皮膚および肺の線維化に関与している可能性を明らかにした。本研
究は現在まで決定的な治療薬がない SSc に対する有効な治療薬開発に結び付く可能性があ
り、更なる病態解明にも重要な貢献をなすと考えられる。
よって本論文は博士( 医 学 )の学位請求論文として合格と認められる。