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大学・研究所にある論文を検索できる 「Cochlear protection against noise exposure requires serotonin type 3A receptor via the medial olivocochlear system」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Cochlear protection against noise exposure requires serotonin type 3A receptor via the medial olivocochlear system

大畠, 和也 大阪大学

2021.04.30

概要

〔目 的(Purpose)〕
蝸牛における遠心性フィードバック制御は強大音に対する防御機能を含めた聴覚制御において非常に重要な役割を果たしている。これらの制御は外有毛細胞を制御するMOC(Medial Olivocochlear)ニューロンを介して作用するが、その詳しい細胞学的、分子学的メカニズムについては完全には解明されていない。セロトニン(5-HT)3A受容体はセロトニン受容体のサブタイプの内唯一のイオンチャネル型受容体であり中枢神経系および末梢神経系に広く発現していることが知られている。我々は先の研究でこのセロトニン3A受容体が先に述べたMOCが位置する上オリーブ複合体(SOC)ニューロンに発現していることを報告したが、5-HT3A受容体とMOCニューロンを介した内耳制御システムとの関係は依然不明である。本研究の目的はセロトニン3A受容体とMOCを介した蝸牛の遠心性フィードバック制御システムの関連を解明することを目的とする。

〔方法ならびに成績(Methods/Results)〕
上オリーブ複合体における5-HT3A受容体の発現部位を詳細に調べるために5-HT3AR-EGFPトランスジェニックマウスを用いた免疫組織学的検討を行った。その結果、5-HT3A受容体が蝸牛の外有毛細胞を遠心支配するMOCニューロンに特異的に発現していることを見出した。次にMOCニューロンの強大音に対する反応を調べるために、強大音暴露モデルマウスにおいて神経活動マーカーであるc-Fosの発現を免疫組織学的手法にて調べた。その結果、強大音暴露後のMOCニューロンの神経活動が亢進していることが示された。さらに5-HT3A受容体とMOCニューロン活動化の関係を野生型マウスと5-HT3A受容体KOマウスを用いて検討したところ、5-HT3A受容体KOマウスでは強大音暴露後のMOC神経活動亢進が減弱することが分かった。これらの結果より5-HT3A受容体が強大音暴露によるMOCニューロンの活動化に関わっていることが示された。次に5-HT3A受容体がMOC機能に及ぼす影響を調べるために聴覚機能検査である歪成分耳音響放射(DPOAE)と聴性脳幹反応(ABR)を用いて調べたところ、5-HT3A受容体KOマウスでは野生型と比してMOC機能が減弱しており、強大音暴露による聴力低下が増悪することが示された。今までの報告で、強大音暴露により内有毛細胞と蝸牛神経間にあるリボンシナプスが減少することが分かっており、本モデルにおいても強大音暴露後のリボンシナプスを免疫組織学的手法を用いて定量的に検討した。その結果、5-HT3A受容体KOマウスでは野生型と比して有意にリボンシナプスが減少していることを見出した。最後に強大音暴露後の聴覚障害における5-HT3A受容体の役割を検討するために薬理学的刺激実験を行い、強大音暴露後の聴覚障害への影響を検討した。その結果、5-HT3A受容体アゴニストの事前投与により強大音暴露後の聴力低下およびリボンシナプスの減少が軽減されることが示された。

〔総 括(Conclusion)〕
本研究において5-HT3A受容体がMOC機能に重要な役割を果たしており強大音暴露後の聴覚障害に深く関与していることを見出した。これまでセロトニン受容体とMOC機能の関連を直接検証した報告はなく初の報告になった。さらに薬理学的実験により、5-HT3A受容体を介したMOC機能への介入が強大音暴露による聴覚障害の新規予防および治療ターゲットになりうる可能性を示すことができた。今回検証した強大音暴露後の聴覚障害のみならず、MOC機能低下が加齢性難聴や耳鳴といった現在の医学では根本的加療が難しい病態に関与しているとの報告もあることから、5-HT3A受容体はこれらMOC機能低下に関わる様々な病態に対しても治療ターゲットにつながる可能性がある。

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