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大学・研究所にある論文を検索できる 「Theoretical investigations for the charge-ordered and superconducting phase transitions of the TMTTF systems」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Theoretical investigations for the charge-ordered and superconducting phase transitions of the TMTTF systems

Kitamura, Naoki 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k24176

2022.09.26

概要

有機分子からなる分子性結晶における量子相転移現象は、結晶を構成する有機分子の種類に加えて、対イオンの種類や系の圧力など様々な条件に影響を受ける。それらの現象を、理論的を予測するためには有効ハミルトニアンにおける種々の相互作用の見積りが重要であるが、例えばクーロン相互作用の大きさの予測については統一的な方法がないなど未だ議論の対象となっている。本学位論文では擬一次元分子性導体であるテトラメチルテトラチアフルバレン分子性結晶(TMTTF系)の電荷秩序転移および超伝導転移の二つの量子相転移現象を対象に、電子相関を取り込むため厳密対角化の手法を用いた理論的解析を行い、電子クーロン相互作用をはじめ種々の相互作用の妥当性の検討と、鍵となる分子構造変化の量子相転移現象への影響を考慮した電子機構の理論的解析を行った。

まず、最近の実験により示された、結晶の反転対称性がわずかに破れることにより、急激に電子が不均一化する電荷秩序転移の電子的機構について、厳密対角化による理論的解析を行った。実験から見積もられた反転対称性の破れた構造を用いて、分子軌道エネルギーおよび移動積分など種々の相互作用を第一原理計算により求めた。これらのパラメータの値に加えて議論の対象となる最近接クーロン相互作用を変化させた拡張ハバードモデルを構築し、それらを厳密対角化することで解として得られた波動関数を解析することにより、電子が急激に不均化する電荷秩序転移の挙動を調べた。電子状態計算は周期境界条件のもとでおこない、現実の熱力学極限での物性を予測するために、繰り返し単位の取り方を変化させることにより有限サイズスケーリングによる外挿を行った。また、有機分子の二量体化など反転対称性の破れ以外の分子構造変化の影響について調べるため、第一原理計算からそれらの構造変化による相互作用変化を見積もった値を用いた解析も行った。その結果、実験で示された電荷秩序転移を再現するのに必要なサイト間クーロン相互作用は、先行研究で用いられてきた値の少なくとも二倍程度の大きさがなければ反転対称性のわずかな破れによる電荷秩序転移が起きず、他の様々な分子構造変化を考慮しても、結論が変わらないことが示された。

次に、高圧下の超伝導転移の挙動が対イオンの種類に依存し大きく変化する現象について、同様の手法を用いて理論的解析を行った。圧力変化を結晶格子サイズの変化に置き換え、結晶格子サイズを変化させつつ、超伝導ギャップにより生じる電荷ギャップおよび、電気抵抗を見積もるDrude重みの変化を調べることにより、圧力に対する超伝導転移の有無を調べた。また、TMTTF系の量子相転移現象において重要と考えられる二つの自由度、有機分子間の反転対称性の破れと近接分子の二量体化に沿った構造変化の影響を調べるために、第一原理計算からそれらの構造変化による相互作用の変化を見積もった値を用いて解析を行った。クーロン相互作用については反転対称性がわずかに破れによる電荷秩序転移現象を正しく再現する値を用いた。その結果、二量体化の電荷ギャップおよび電気抵抗への影響は小さく、反転対称性の破れを考慮することによりはじめて、常圧から高圧の領域で超伝導転移が起こるという実験事実と矛盾しない結果が得られることが示された。

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