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セメント懸濁水の固液分離に関する基礎的研究

柳橋, 寛一 筑波大学

2020.07.22

概要

1.1 研究の背景
ダム工事,トンネル工事,造成工事,橋梁工事,海洋工事などの土木工事では,切土,盛土,掘削,埋め立てなどの自然の改変に伴い,地表水や地下水,雨水等に粘土や砂が混入して濁水が発生する.さらに,基礎やコンクリート構造物の築造,土の安定処置,地盤改良などでは,構造物や固結材料としてのセメント,膨潤材料や孔壁保護材として使用されるベントナイトやポリマー,またそれら材料のレオロジー制御に使用される化学混和剤などの機能強化材料が使用される.このような建設工事に伴って発生する濁水は,工場や事業場の特定施設とは異なり水質汚濁防止法による直接的な規制がかからないものの(バッチャープラントを除く),都市部における下水道への排出については下水道の排出基準,そして河川.湖沼,海域などの公共用水域への排出については各水域における汚濁防止基準に準じ,適切に処理する必要がある.
昨今では,環境保全に対する意識の高まりとともに環境法令が整備,強化されつつあり,土壌汚染対策,埋設廃棄物対策,ダイオキシン類特別措置法に基づく焼却施設の解体工事など,人への健康被害のリスクを直接取り除く環境浄化対策も土木工事の範疇として実施されるようになってきた.そのため土木工事で一時的に求められる濁水処理であっても,SSや pH の管理のみならず,揮発性有機化合物や重金属類,農薬やダイオキシン類などの有害物質の除去のために高度な処理が必要とされることがある[1].これらの有害物質はイオンとして溶解したり,微粒子として水中に浮遊懸濁していたり,共存する微粒子に付着していたりする.とくに,1 nm から 1 µm の粒径画分に分類される微粒子はコロイド粒子と呼ばれ熱力学的に不安定である.例えば,溶媒の pH やイオン濃度が変化するとコロイド粒子間の相互作用力が変化し,凝集したり分散したりする.また,腐植物質に代表される高分子が共存していると,高分子による架橋作用による凝集や,微粒子表面に吸着した高分子同士の重なり合いによる反発力による分散が生じる.このように,濁水中にさまざまな共存物質が存在する系であるは,微粒子の凝集分散挙動が決定される要因が複雑に絡み合う.
実務における排水処理システムの設計段階では,標準的な設計例が示されている事例は限られているため,目標とする処理水質を達成できる経済的な濁水処理システムを過去の処理事例に基づいて構築する.ところが施工段階になると,目標とする処理水質を達成するための費用やエネルギーが当初の設計よりも多大になることがある.これは,処理に投入される費用やエネルギーが処理対象物質の種類や濃度によって一義的に決定されるものではなく,先に述べたとおり,共存する物質の性状や濃度によって微粒子の凝集分散挙動が変化して除去特性が左右されるためと考えられる.水処理における各単位処理操作(凝集,沈殿,ろ過,脱水)では,粒子間の相互作用が各操作の最適化に大きな影響を与える.合理的な処理システムを構築するには,除去対象物質と共存物質の相互作用を逐一紐解きながら除去特性の変化を的確に把握し,システムの最適化を図っていくことが求められる.
土木工事における造築物の品質や性能向上,施工性の改善を目的とした技術開発は絶え間なく進められており,様々な材料が次々と開発され使用されている.それにより,工事で発生する濁水中の共存物質の種類や濃度も時代とともにめまぐるしく変化する.有害物質に関する法令が整備され,対象物質や基準が年々強化されている社会的背景を鑑みれば,様々な処理事例の蓄積とともに,微粒子間の相互作用を紐解き,適切な固液分離操作を提供するための知見を集め続けることは,処理システムの最適化を図る上で重要である.またこれらの取り組みは,技術の社会的実装に起因する環境負荷を未然に取り除くための一助になると考えられる.

1.2 懸濁物質の由来と除去技術の現状
ここでは,泥水掘削工事,地盤改良工事,注入および止水工事,生コンクリート工場といった場面で使用される土木材料や排出される濁水を取り挙げながら,土木工事で発生する濁水に含まれる懸濁物質(微粒子)の由来と,その除去技術の現状について整理する.

1.2.1 泥水掘削工事
建設事業における杭基礎の造成・撤去やボーリング調査,また石油開発などにおいては,孔壁や坑井内部などを安定させるために,泥水が使用される.泥水には大きく水をベースとしたもの(water based mud)と油をベースにしたもの(oil based mud)の 2 種類があり,一般的に水をベースとした泥水が使用される.水とベントナイトの懸濁液を主体として,分散剤,ポリマー類,塩類,潤滑剤,界面活性剤,加重剤などの調泥剤を加え,主として以下の目的に応じて調製される[2].
① 孔内およびビットからの掘りくずの除去や回収,ビットの正常化の維持.
② 削孔機器の冷却,潤滑性の保持.
③ 掘削中の地層流体(地下に存在する油,ガス,水など)の噴出抑制.
④ 泥壁による孔壁の崩壊防止(filtration 特性).
これらの目的を達成するために必要な機能は,制御可能な比重や粘性,原地盤の崩壊や膨潤の抑制,温度に対する安定性などがあり,分散性,止水性,流動性,保水性,潤滑性といった指標で評価される.地盤掘削で使用されるベントナイト泥水は,懸濁分散性に優れているが,セメントなどの塩類が混入するとゲル化しやすい.そのため,リン酸塩やポリカルボン酸塩などの分散剤が添加される.ポリマーを主体とするポリマー泥水は,塩類の混入によるゲル化を抑えるように改良した泥水であり,CMC(カルボキシメチルセルロース)等の水溶性高分子にベントナイトを添加し,複合体を形成させたものなどがある.また,ベントナイトの付着による構造物の品質低下に対し,ポリアクリル酸重合体の高吸水性ポリマーの適用が検討されている[3].
石油開発の分野では,泥岩層に存在するモンモリロナイト,イライト,クロライトなどの水和,膨潤,分散による坑井の崩壊や,杭径が拡大,閉塞,埋没することによる掘削障害が問題となる.粘土鉱物の水和膨潤に対して抑制効果のある塩類 (KCl)を加えて孔壁を維持する方法がとられるが,同時に泥水の流動性を保つために親水基をもつ高分子で粘土粒子を保護する必要がある.代表的な保護ポリマーとして,先に述べた CMC に加え,でんぷんやアニオン系のセルロースポリマーが挙げられる.昨今では,油や合成油に塩類を乳化剤で分散させ,乳化被膜による半浸透膜効果により地層中への水分の侵入を防ぎ粘土鉱物の膨潤を抑制する IEM ( Inverted Emulsion Mud )が使用されたり,海洋掘削における環境に配慮した規制や逸泥リスクに対応するために高機能水系泥水である HPWBM ( High Performance Water Based Mud ) といった特殊な泥水の開発がすすめられたりしている[4].
一般的な廃泥水の性状は,弱アルカリ性下で,ベントナイトを主体とした無機物,有機ポリマー,分散剤,鉱油,界面活性剤などが,親水コロイド的性質を持ちながら安定分散している状態にあると考えられる.これらを凝集操作する場合には,無機塩で粒子間の電気的反発力を低減させ,高分子凝集剤の架橋作用によって大きなフロックを形成させる方法が行われる[5].微粒子や高分子凝集剤の荷電状態は pH に大きく依存することから,凝集操作における pH の管理が重要になると考えられる.昨今の話題として,リニア中央新幹線のシールドトンネル工事で発生する自然由来の重金属を含む泥水に対し,砒素を鉄粉で吸着分離する技術が数多く検討されている.また,浚渫土砂に含まれる自然由来の砒素を除去するために,大規模施工のシステムが検討されている.有害物質で汚染された泥水を浄化し,再利用する技術について今後の発展が期待される[6-11].

1.2.2 地盤改良工事および注入・止水工事
地盤中のある範囲を固結し,地盤を不透水性化または難透水性化することを目的として,薬液注入(chemical injection)やセメント注入(cement grouting)により,地表や孔内から目的とする範囲に薬液を圧力注入で浸透させ,固結する工法(薬液注入)がある.1960~1980年代から盛んにおこなわれ,注入材(グラウト)にはゲルタイムを持たせたケミカルグラウトが使用される.その中で,浸透性がよく,固結強度も高く,最も効率のよい材料としてアクリルアミド系のモノマーが使用されていたが,地下水中に混入し健康被害を生じる懸念から,現在では薬液注入材といえば水ガラス系のグラウトと認識されている.
昨今では,地震による液状化対策として,緊急対策や恒久対策に薬液注入工法が用いられることが多い.1964 年の新潟地震,1983 年の日本海中部地震,1995 年の兵庫県南部地震, 2011 年の東日本大震災では,液状化による側方流動に伴う過大な地盤ひずみにより,地盤の変状や道路の湾曲,埋設管の隆起,また護岸移動による後背地盤の流動など,数多くの被災事例が報告されている[12-14].港湾施設に目を向けると,臨海部に位置し空路における重要な結節点である空港地盤に対し,早急な液状化対策が求められている.近年では,性能照査による耐震性能に着目した合理的な液状化対策が可能となっており[15],液状化対象地盤のすべてを地盤改良するのではなく,対象施設の重要度や機能に応じて溶液型薬液注入工法による部分的な改良方法などが検討されている[16,17].工法で使用される薬液の分類を下に示す[18].

(1)非薬液型・懸濁型注入材
セメントを主体とした注入材であり,硬化後の強度は他の注入材に比べて非常に高く,硬化後の劣化も少ない.しかし懸濁型であるため,砂質土層に対して土粒子間隙への浸透が難しい.一方,岩盤の亀裂注入や礫間の大きな空隙で注入材が充填されやすい部分において,高い強度が必要とされる場合などには有効である.また,浸透性に優れた溶液型注入材を注入する前に,層境界や大きな空隙などを充填処理するための荒詰め注入材材して,セメントベントナイトが利用されることがある.
通常のセメント成分に対して粒径を微細化することで浸透性を高めた注入材もある(ブレーン比表面積 8,500~9,000 cm2/g 程度).セメントと同一の成分であり,恒久性が高く,他の水ガラス系注入材に比べ固結強度が高い.そのため強度が求められるダムの基礎岩盤の処理などに使用されている.浸透性に優れてはいるものの,未固結地盤(砂質土)における水ガラス系注入材のように均一な浸透固結には至らない.また,硬化時間が長いため,地下水流が大きい地盤内では材料の逸走による強度低下などが想定される.
本研究で使用する極超微粒子セメントはこの分類に該当し,製品として市場にあるもののなかで,おそらく粒径が最も小さい(1.5 μm)材料である.

(2)水ガラス系(懸濁型)
セメントなどに水ガラスを加え,硬化時間の短縮や調整を可能にした注入材である.セメントを使用し,かつ硬化時間が短いため砂質地盤には浸透しにくいが,礫層などで大きな空隙があり地下水流の大きい地盤内では有効である.また,ホモゲル強度が比較的高いため,粘性土地盤に対して脈状注入により圧密強化を図ることもある.水ガラスの種類によっては,硬化後のアルカリ珪酸分(SiO2)の溶脱により固結物の劣化が生じるため注意が必要である.
懸濁型水ガラス系注入剤を含むトンネル工事排水の処理事例として,石灰や硫酸アルミニウムによる凝集処理が検討された事例がある.高 pH(11 以上)条件下であっても CaCO3の析出などにより,良好な SiO2 除去性能が得られている.ただし処理後のカルシウムイオンの残留に対応する必要がある[19,20].

(3)水ガラス系(溶液型)
水ガラスを主成分とした溶液型注入材であり,反応材の組合せや反応材の使用方法により多くの種類がある.ゲルタイムについて,瞬結から数時間まで非常に広範囲に存在するため,地盤に対する注入形態や注入効果なども,使用する注入材によって大幅に異なる.懸濁型と同じく,硬化後のアルカリ珪酸分の溶脱や,地下水流動による未固結分の流出により,地下水へ影響を与える可能性がある[21].

(4)活性シリカ
活性シリカグラウトは,水ガラスの Na+を H+に置換することによって得られる純粋な活性シリカコロイドをベースに作られている.したがって,アルカリを含んでおらず,従来の水ガラスグラウトの劣化原因である固結物からのシリカ溶脱もほとんどなく,固化した地盤の経年劣化が防がれる.地盤改良によって地盤中の間隙水が純粋な活性シリカグラウトに置換され,モルタルのような大きな剛性は示さないが地震時に地盤が固体としてふるまい,液状化を防ぐ.

(5)超微粒子系複合シリカ・特殊スラグ
超微粒子セメントに対して,シリカ粒子の微細化を更に高め(ブレーン比表面積 14,000±
500 cm2/g),浸透性を高めた注入材である.その硬化物はセメント固結物と同じ珪酸石灰水和結晶であり,セメント硬化物と同程度の恒久性を示す.また,固結強度(28 日)は標準砂を用いたサンドゲルにおいて 2~5 MPa 程度であり,従来の水ガラス系注入材に比べて非常に高い.このため,恒久性や高強度が要求される場合にも適用可能である.

1.2.3 生コンクリート工場
生コン工場では,生コンクリートを運んだ後のミキサー車を洗った洗浄水を固液分離した汚泥(コンクリートスラッジ)が発生する.コンクリートスラッジには,セメントや砂などが多く含まれ,固液分離後に脱水や乾燥の工程を経て管理型の産業廃棄物として処分される.近年では,処分場の容量ひっ迫や処分費の高騰などの問題が顕在化しており,環境保全や工場の費用負担軽減という観点から、その有効活用について議論が行われている[22– 26].
スラッジの管理方法は工場によって異なる.洗車場に分級設備が導入され,スラッジと骨材などを分級してフィルタープレスで脱水し,脱水ケーキとして管理されている場合と,分級設備がなく,スラッジと骨材などが混ざった状態で工場敷地内に野積みされ,自然乾燥されている場合とに分かれる.セメントに含まれる六価クロムなどの有害物質の存在を考えると,後者はコンプライアンス上の懸念が残る管理方法である[27].
途上国において国土開発が進む都心部では,インフラ整備のために多くのコンクリートが使用され,製造工場や運搬車の洗浄水の排出による環境負荷について注目が集められている.国内においても,固液分離後の液相には多くの溶存態ケイ酸が含まれ[28],副次的な環境影響物質の排出源として注意を向ける必要がある.

1.3 研究の目的
土木工事における泥水掘削工事,地盤改良工事,注入および止水工事,そして生コンクリート工場から排出される濁水について概観してきた.様々な材料が使用され,様々な外的条件下で排出されるなかで,有害物質やその他の項目として排水基準を満たす物質や,要監視項目のように直接的な排出の規制がかけられていない物質であっても,他の物質や有害物質と共存することで,有害物質の輸送担体や処理の阻害物質として思わぬ挙動を示すことが懸念される.
土木事業では,セメントが大量に使用される.その懸濁水の固液分離操作について物理化 学的な観点から基礎的研究をおこなうことは,広く土木事業で遭遇する微粒子の処理につ いて汎用性のある知見を提供できると考えられる.特に昨今では,セメントの微粒子化や化 学混和剤の機能強化がすすみ,「人工的に分散させられたセメント懸濁水」としての排出が 予想される.セメント微粒子はコロイド,化学混和剤は凝集を阻害しうる共存物質として捉 えれば,コロイド界面の物理化学的側面に焦点を当てて研究を進めることで,固液分離に関 する多くの知見が得られると考えられる.固液分離操作において,凝集沈殿処理はコスト競 争力が高く,適用範囲からみて汎用性が広い強力な処理操作方法のひとつである.それゆえ,実務への適用において多くの技術的課題に対峙することを余儀なくされる技術でもある. 濁水処理が行われる多くの現場では,凝集処理に加え,ろ過や脱水などが組み合わされる. 凝集現象が寄与するところは凝集操作だけではなく,ろ材の閉塞や固形物の運搬性といっ た他の処理操作に対しても影響を与える.つまり,凝集分散挙動の把握は,適用された処理 システム全体に影響を与える点からも非常に重要な研究課題と言える.
凝集挙動を物理化学的な観点から検討する際には,溶液中のイオンの種類や濃度の把握が重要である.しかし,懸濁物質としてセメント微粒子を取り扱う場合には,セメントの種類や濃度,水との混合時間により,液中に溶出するイオン濃度が大きく変化するため,イオン強度が制御された実験が困難である.そのため,実際にセメント微粒子を使用し,イオン強度が制御された系で定量的な凝集沈殿実験が行われた例はない.
そこで本研究では,まずセメントから溶出されたイオンの組成を把握し,その結果をもとにイオン強度を制御したモデル濁水を調製する方法を確立する.つぎにモデル濁水のイオン強度を関数として,セメント粒子の帯電,凝集処理,ろ過について系統的な実験をおこなう.これにより,セメント微粒子を含む濁水処理について,物理化学的観点からの知見を提供することを目的とする.本研究の特徴は,イオン強度を定量的に把握できるように調製したモデル濁水の調製方法を開発し,各種実験を行っているところにある.
本論文では,第2章において凝集操作の適正化が処理システム全体へ与える影響を検討し,固液分離における凝集挙動の理解の重要性を示す.第3章では凝集挙動の決定要因のひとつである懸濁水中におけるセメント微粒子界面の物理化学的性質について検討する.そして,イオン強度を関数としたモデル濁水の調整方法を確立する.第4章では,第3章の結果をもとに,天然有機系高分子凝集剤によるセメント懸濁水の凝集沈殿処理特性について,イオン強度を変化させたモデル濁水による凝集沈殿実験の結果から検討する.凝集沈殿操作後の上澄水の処理を想定し,第5章では砂ろ過処理によるセメント懸濁水の除去特性について,物理化学的な観点から検討する.

1.4 本論文の構成
本研究論文は,全6章から構成される.以下に各章の実施内容を示す.

第1章
土土木工事における造築物の品質や性能向上,施工性の改善を目的とした技術開発は絶え間なく進められており,様々な化学物質が次々と開発され使用されている.それにより,工事で発生する濁水中の懸濁物質(除去対象物質)や共存物質の種類および濃度も,時代とともにめまぐるしく変化すると考えられる.様々な処理事例の蓄積とともに,微粒子間の相互作用を紐解き,適切な固液分離操作を提供するための知見を集め続けることは,処理システムの最適化を図る上で重要である.本章ではこの重要性に基づき,今後濁水処理が求められる可能性がある対象物を把握するために,泥水掘削や地盤改良工事で使用されている材料を挙げ,土木工事で発生する濁水に含まれる懸濁物質(微粒子)の由来と,その除去技術の現状について整理した.

第2章
焼却施設解体工事において,解体前に実施される焼却設備の洗浄過程(除染工程)によって発生した除染排水に対し,凝集沈殿,膜ろ過,促進酸化処理からなる水処理システムを適用し,当該システムの有害物質の除去特性について検討する.ここで固液分離の対象とする有害物質は,重金属類およびダイオキシン類である.これらの有害物質の除去において,共存物質の存在をふまえた凝集操作の適正化がシステム全体の処理性能を向上させる結果から,固液分離における凝集挙動の理解の重要性を示す.これにより共存物質(化学混和剤)で人工的に分散しているセメント微粒子の固液分離操作においても,物理化学的な観点から凝集のメカニズムを検討することが重要であることが認識される.

第3章
工事において膨大に使用されるセメントに焦点を当て,化学混和剤(高性能減水剤)で分散安定化したセメント微粒子の物性について,界面の物理化学的性質に着目して議論する.セメントペーストのような濃厚な系とは異なり,濁水処理におけるセメント懸濁水は希薄な系で分散した状態にあり,固液分離操作による除去特性を調べるには,固液界面における帯電メカニズムや微粒子間の相互作用力といった物理化学的な側面に焦点をあてることで理解が進むと考えられる.そこでまず,セメントから溶出されたイオンの組成を把握し,その結果をもとにイオン強度を制御したモデル濁水を調製する方法を提案する.つぎに,このモデル濁水(極超微粒子セメントと高性能減水剤が共存する分散系)においてゼータ電位を測定し,イオン強度に対する粒子間の相互作用力について議論する.第4章における凝集沈殿処理,第5章における砂ろ過処理では,本章を基礎資料として議論を進める.

第4章
セメント懸濁水の凝集沈殿処理として,イオン強度と分散剤,懸濁物質濃度が制御されたモデル濁水に対し系統的な凝集沈殿実験を実施する.凝集剤として天然有機高分子からなるポリグルタミン酸系凝集剤(PGAF)を添加し,イオン強度と微粒子の帯電特性をもとに,物理化学的観点から除去特性を検討する.また,実務における管理手法について提案する.

第5章
セメント懸濁水の砂ろ過処理として,イオン強度と分散剤,懸濁物質濃度が制御されたモデル濁水に対してカラム通液験を実施し,イオン強度を関数とした微粒子とろ材(豊浦砂)の帯電特性や相互作用ポテンシャルをもとに,物理化学的観点に着目しながら除去特性を検討する.

第6章
本研究を総括する.イオン強度を関数としたモデル濁水を使用し,系統的な実験をおこなうことにより,凝集沈殿や砂ろ過による固液分離操作について得られた物理化学的な知見をまとめる.

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参考文献

第1章

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第2章

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第3章

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第4章

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