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大学・研究所にある論文を検索できる 「気分障害におけるうつの自覚症状と他覚症状の乖離の心理社会的要因および脳機能的接続性に関する検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

気分障害におけるうつの自覚症状と他覚症状の乖離の心理社会的要因および脳機能的接続性に関する検討

川上, 慎太郎 東京大学 DOI:10.15083/0002006962

2023.03.24

概要

[課程-2]
審査の結果の要旨
氏名 川上 慎太郎
本研究は、心理社会的要因研究として、うつの自覚症状と他覚症状の乖離と関連する因子
の同定および乖離を予測する因子を同定するためのロジスティック回帰分析を行った上で、
安静時機能 MRI 研究として、乖離に特徴的な脳機能変化を明らかにするために前頭葉と全
脳の機能接続性の解析を試みたものであり、下記の結果を得ている。
1.

うつの自覚症状と他覚症状の乖離に関連する人口統計学的指標として、若年の女性で
自覚的重症度評価から他覚的重症度評価を引いた差分(自覚優位ディスクレパンシー)
が有意に高値を示す傾向を認めた。また、自覚優位ディスクレパンシーが大きい群は小
さい群と比較して、全ての QOL 下位領域で低下を認め、特に、身体的領域、心理的領
域、社会的領域、環境的領域、全体平均で有意な QOL 低下を認めた。

2.

うつの自覚症状と他覚症状の乖離の予測因子を同定するためのロジスティック回帰分
析の結果、AQ(自閉症スペクトラム指数)、GAF(機能の全体的評定尺度)、ASRS(成
人期の ADHD 自己記入式症状チェックリスト)
、MPI(モーズレイ性格検査)の神経
症的傾向が抽出された。特に MPI 神経症的傾向と AQ は著明な有意性を示し、自覚優
位ディスクレパンシーとの強い関連が示唆された。

3.

安静時機能 MRI 研究の結果として、うつ患者と健常者の比較において、右眼窩前頭皮
質と両側下側頭回との間に有意な機能接続性(Functional Connectivity:FC)の上昇、
前帯状皮質、右上前頭回、両側島皮質との間に有意な FC 低下を認め、左眼窩前頭皮質
と両側下側頭回との間に有意な FC 上昇を認めた。内側前頭皮質は視床および左小脳と
の間に有意な FC 上昇を認め、両側側頭極、両側眼窩前頭皮質、左前頭極との間に有意
な FC 低下を認めた。また、うつの自覚優位ディスクレパンシーが大きい群は小さい群
と比較して前頭極-楔前部の間の FC 上昇を認め、その機能接続性は左右独立の相関を
示し、健常群は乖離が大きい群と小さい群の中間の分布を示した。
以上、本論文はうつの自覚症状と他覚症状の乖離の予測因子解析から神経症傾向と自閉

スペクトラム症傾向を抽出し、乖離と関連する脳機能的接続を安静時機能 MRI で解析する
ことにより両側前頭極-楔前部間の機能的接続の増加を明らかにした。本研究はこれまで未
知に等しかった、うつの自覚症状と他覚症状の乖離及び神経症傾向の脳神経基盤の解明に
重要な貢献をなすと考えられる。
よって本論文は博士( 医学 )の学位請求論文として合格と認められる。

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