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大学・研究所にある論文を検索できる 「圧迫性頚髄症患者における脳機能的結合の術後変化と神経障害性疼痛との関連:安静時機能的MRIを用いた解析」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

圧迫性頚髄症患者における脳機能的結合の術後変化と神経障害性疼痛との関連:安静時機能的MRIを用いた解析

江藤, 文彦 筑波大学

2023.09.04

概要



文 概



論 文 題 目:圧迫性頚髄症患者における脳機能的結
合の術後変化と神経障害性疼痛との関連:安静時機能
的 MRI を用いた解析

指導教員:
人間総合科学研究科

疾患制御医学専攻

山崎 正志 教授



属:筑波大学大学院人間総合科学研究科
疾患制御医学専攻



名:江藤 文彦



的:

本研究は安静時機能的 MRI (rs-fMRI)を用いて、圧迫性頚髄症患者における手術前
後で変化する脳機能的結合と臨床スコアの相関、および神経障害性疼痛の有無によ
る患者間での機能的結合の差異を解析することにより、従来の形態的な画像検査で
は評価が困難であった脊髄機能の変化と脳内ネットワークの関連性を視覚的に捉える
ことを目的とした。
対象と方法:
前向き観察研究を実施した。研究対象は筑波大学附属病院で手術を行う 80 歳以下
の圧迫性頚髄症患者を対象とした。また、四肢神経症状を有さない健常成人をコント
ロール群とした。対象患者の背景として年齢、性別、診断、罹病期間、内服薬を調査
し、臨床スコアとして JOA スコア、JOACMEQ、NRS、pain DETECT を調査した。術前の
頚髄症患者と健常成人に対して rs-fMRI 検査を実施した。手術後 6 ヶ月において、頚
髄症患者に同様のプロトコルで rs-fMRI 検査と臨床スコアを調査した。画像解析手法
は CONN toolbox を用いて ROI to ROI analysis を実施した。関心領域 (ROI)におけ
る BOLD 信号の時系列データを抽出し、解剖学的に離れた ROI との時間的な同期に
ついて相関分析を行い、得られた相関係数から機能的結合の定量値を算出した。
研究 1: 圧迫性頚髄症患者と健常成人における脳機能的結合の差異
圧迫性頚髄症の術前患者 26 名と健常成人 20 名において、ROI to ROI analysis によ
る機能的結合の群間比較を行い、先行研究結果の再現性について検討した。
研究 2: 圧迫性頚髄症患者における脳機能的結合と臨床スコアの術後変化
圧迫性頚髄症に対して手術治療を実施して 6 ヶ月以上が経過した 15 名を対象として、
手術前後で有意に増強および減弱する機能的結合を同定した。また、術後に有意に
変化した機能的結合と臨床スコアの手術前後の差をそれぞれ算出して相関分析を行
った。統計学的解析は Pearson の相関係数を算出して有意水準は P<0.05 とした。
研究 3: 圧迫性頚髄症における神経障害性疼痛の有無による脳機能的結合の差異
圧迫性頚髄症術前患者 27 名について、pain DETECT を用いて神経障害性疼痛の診
断となる 19 点以上を NP あり群、侵害受容性疼痛の診断となる 11 点以下を NP なし群
に群分けした。2 群における患者背景と臨床スコア、機能的結合を比較した。
機能的結合の統計学的解析は t 検定を行い、有意水準は P<0.001 (uncorrected)およ
び多重比較補正で P<0.05 (FDR corrected)とした。


果:

研究 1: 圧迫性頚髄症患者において健常成人よりも有意に増強した機能的結合は 5
つ、減弱した機能的結合は 50 個以上が同定された。
研究 2: 圧迫性頚髄症患者の手術後に増強した機能的結合は 5 つ同定され、そのう
ち 4 つは Sensorimotor network (SMN)外側部との機能的結合であった。一方、手術後
に減弱した機能的結合は 1 つのみであった。また、機能的結合と臨床スコアの変化に

ついて相関分析を行ったところ、右 SMN 外側部と左中心前回の機能的結合が JOA ス
コア、右 SMN 外側部と左 SMN 外側部の機能的結合が JOACMEQ 上肢機能、右
SMN 外側部と左中心後回の機能的結合が NRS と有意な相関を認めた。
研究 3: NP あり群は 9 名、NP なし群は 10 名であった。NP あり群は有意に高齢で疼痛
が強かった。NP あり群は小脳扁桃と左鳥距溝の機能的結合が有意に増強し、一方で
左中側頭回と左右の鳥距溝、左吻側前頭前皮質と左視床、右下側頭回と左楔部、左
補足運動野の機能的結合が有意に減弱していた。


察:

研究 1: 圧迫性頚髄症患者は健常者よりも減弱している機能的結合が多いことが判明
し、先行研究における結果の再現性が得られたと考えた。
研究 2: 圧迫性頚髄症患者は術後に SMN 外側部と対側の感覚運動野の機能的結合
が有意に増強しており、術前に機能低下していた感覚運動野における脳内ネットワー
クの再構成を示していると考えられた。
研究 3: 神経障害性疼痛を有する圧迫性頚髄症患者における前頭前皮質と視床の機
能的結合の減弱は痛みの情動成分の情報伝達障害を示唆していると推察した。また、
神経障害性疼痛により小脳、中側頭回、視覚野などの機能的結合にも差が生じてい
たことから、これまで慢性疼痛で着目されてきた疼痛関連領域だけに ROI を限定しな
い網羅的な機能的結合解析を実施することが望ましいと考えた。


論:

rs-fMRI を用いた脳画像解析により圧迫性頚髄症患者における手術前後の臨床スコ
アや神経障害性疼痛を機能的結合の変化として捉えることができ、形態的な画像評
価が困難である脊髄機能の変化と脳内ネットワークの関連が解明されることに繋がっ
た。 ...

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