園芸を学ぶ社会人学習者の園芸活動の経験年数と生活満足度および社会活動との関係
概要
本研究は,園芸に関する講習会で学ぶ社会人学習者を対象に,園芸活動の経験年数と生活満足度および社会活動との関連性を明らかにすることを目的に行った。生活満足度の測定に9つの質問項目からなる「生活満足度尺度K」を用い,社会活動の測定に6つの質問項目からなる「社会活動尺度」を用いた。それぞれの回答において,積極的な回答順に4~1点を付与して得点化し,それぞれ「生活満足度得点」「社会活動得点」とした。その結果,園芸経験年数と生活満足度とには関連性が認められなかった。また,園芸経験年数と社会活動得点の間で関連性がみられ,園芸経験年数6年以上の対象者の方は,6年未満の対象者と比較し,社会活動得点が有意に高かった。社会活動尺度の項目別にみると,「人の集まる場への参加」に関係する2項目で有意差がみられ,園芸活動に長く携わっている人ほど,人の集まる場に積極的に参加する可能性が認められた。これらの結果は,園芸の活動年数が長くなることで「人とつながる力」が高まることにより,「地域力」「ソーシャル・キャピタル」の向上に寄与する可能性を示唆している。