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大学・研究所にある論文を検索できる 「魚の食習慣と月経障害に関する疫学的検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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魚の食習慣と月経障害に関する疫学的検討

横山 絵美 東北大学

2022.03.25

概要

【背景】
月経障害の代表的な疾患として月経困難症と月経前症候群(PMS)/月経前不快気分障害(PMDD)があげられる。これらの疾患は青年期(12~22 歳)において最も有病率が高いが、生殖世代(18~45 歳)においても一般的な疾患であり、生活の質(QOL)に悪影響をもたらすことが多い。これまで月経障害の疫学研究は青年期(12~22歳)に限定されていることが多かったが、月経障害は青年期に限らず幅広い生殖世代に認められる。生殖世代は多くの社会活動を行うため、月経障害による社会的損失は大きく、青年期に限らずより幅広い生殖世代における月経困難症および PMS/PMDD の研究が必要であると考えられる。

近年、魚摂取による抗炎症作用や精神疾患の改善効果が示唆されているが、魚の食習慣と月経障害(月経困難症および PMS/PMDD)との関連はいまだ不明な点が多い。

【目的】
生殖世代の女性において魚の食習慣が月経障害に関与するかを明らかにする。

【方法】
本研究は、子どもの健康と環境に関する全国調査(通称エコチル調査)の追加調査として宮城ユニットセンターで実施した。最終出産から 1.5 年後及び 3.5 年後に自己記入式質問票を用いて評価した。魚の摂取頻度・嗜好と月経痛及び PMS/PMDD の有病率との関連性をロジスティック回帰分析により評価した。曝露因子とアウトカムにより、以下の通りに解析した。

第Ⅰ章;産後 1.5 年時における魚の食習慣と月経障害との関連(横断研究)
産後 1.5 年時における魚の嗜好および摂取頻度と月経痛との関連(横断研究)
産後 1.5 年時における魚の嗜好および摂取頻度と PMS/PMDD との関連(横断研究)

第Ⅱ章;産後 1.5 年時における魚の摂取頻度と産後 3.5 年時の月経障害との関連(縦断研究)
産後 1.5 年時における魚の摂取頻度と産後 3.5 年時の月経痛との関連(縦断研究)
産後 1.5 年時における魚の摂取頻度と産後 3.5 年時の PMS/PMDD との関連(縦断研究)

(追加解析)
産後 3.5 年時における魚の摂取頻度と月経痛との関連(横断研究)
産後 3.5 年時における魚の摂取頻度と PMS/PMDD との関連(横断研究)

【結果】
第Ⅰ章において、産後 1.5 年時における魚の嗜好と月経痛有病率および PMS/PMDD 有病率に有意な関連は認めなかった。魚の摂取頻度と中等度以上の月経痛有病率および PMS/PMDD 有病率は有意な関連を認めた。

第Ⅱ章において、産後 1.5 年時の魚の摂取頻度と産後 3.5 年時の中等度以上の月経痛新規発症および PMS/PMDD 新規発症いずれとも有意な関連を認めなかった。追加解析では、産後 3.5 年時の月経痛の横断研究にて産後 1.5 年時の月経痛の横断研究とオッズ比が近いものの、産後 3.5 年時の月経痛の横断研究・産後 3.5年時の PMS/PMDD の横断研究共に有意な関連は認めなかった。

【考察】
第Ⅰ章では、産後 1.5 年時において魚の摂取頻度低下と月経痛および PMS/PMDD の有病率に関連が認められ、魚に含まれる栄養素が月経痛の予防に寄与する可能性が考えられた。ただし、横断研究のため因果関係は不明であるため、縦断研究などのさらなる解析が必要であると考えられた。

第Ⅱ章では産後 1.5 年時の魚の摂取頻度と産後 3.5 年時の月経痛および PMS/PMDD 新規発症のいずれとも有意な関連を認めなかった。第Ⅰ章の横断研究と第Ⅱ章の縦断研究の結果が乖離した理由の一つとして、因果の逆転が考えられる。横断研究で見られた有意な関連は、月経痛あるいは PMS/PMDD を有するために魚の摂取頻度が低くなった関連性を見ていた可能性がある。また、横断研究と縦断研究の結果が乖離した理由の一つとして、食生活の変化が挙げられる。追加解析において、産後 3.5 年時の月経痛の横断研究にて産後 1.5 年時の月経痛の横断研究に似たオッズ比が見られたことから、2 年前の魚の摂取の影響よりも直近の魚の摂取が月経痛に影響を与える可能性が考えられる。ただし、いずれにしろ因果関係は明らかではなく、産後 1.5 年時の横断研究で認めた有意な関連はより慎重に解釈する必要がある。

【結論】
生殖世代において、横断研究では魚の摂取頻度と月経障害(月経痛、PMS/PMDD)の有病率との関連が示された。一方で、縦断研究において、魚の摂取頻度と新規の月経障害(月経痛、PMS/PMDD)発症率に有意な関連がなかったことから、魚の摂取による月経障害の予防効果は本研究では明らかとならなかった。習慣的な魚摂取が月経障害を予防するかについて引き続き検討する必要がある。

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