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大学・研究所にある論文を検索できる 「Hierarchical equations of motion for open quantum systems consisting of many energy states」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Hierarchical equations of motion for open quantum systems consisting of many energy states

Nakamura, Kiyoto 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k23731

2022.03.23

概要

化学は実際的な学問であり、分子の性質を調べるにあたっても、溶液や分子性結晶などの環境の中での効果を調べることが重要である。特に量子ダイナミックスの解析は、量子生物学や量子情報学などとも結びついた重要な分野である。全自由度を興味ある制御可能な「系」と,興味がなく制御不可能な「熱浴」とに分け,熱浴の自由度を縮約し系の揺動・散逸的ダイナミクスを解析する分野は、開放系の量子力学、あるいは、量子散逸系の統計力学と呼ばれる。

 量子散逸系のダイナミクスを記述する方程式は密度行列と呼ばれる量を用いるという特徴がある.密度行列の大きさはN準位量子系に対してN×Nであり,N準位に対してサイズNのべクトルで記述可能な波動関数に比較して数値計算上不利な点を持っている.このため,準位数Nが膨大となるような系を量子散逸系の枠組みで解析することはほぼ不可能であり,殆ど行われてきていない.階層型運動方程式では,取り扱う密度演算子の個数がLindblad方程式やRedfield方程式に比べて多いため,この準位数の問題は特に深刻である.この問題を解決すべく,申請者は階層型運動方程式の計算コストを減らす手法を2つ開発した.これらの手法を以下に述べる.

1. 一般化Blochベクトルによる基底変換
 階層型運動方程式で記述される密度演算子や交換子,反交換子のエルミート性に着目し,複素数で記述される階層型運動方程式を実数のみで記述する方法を開発した.これにより,計算に必要となるメモリ容量が半減することを示した.また,この手法を用いてホルスタインーハバード模型の光学応答を解析した.

2. 階層型シュレディンガー方程式
 階層型運動方程式を時間積分する際,複素時間平面上に与えられる経路に沿った線積分を考えることにより,密度行列の列を独立に評価する方法(階層型シュレディンガー方程式,HSEOM)を開発した.これにより,一度の数値計算に必要な行列サイズをN×NからNに減らすことに成功した.

 初期のHSEOMは,それぞれの時間tに対し0→t→0の線積分を独立に行う必要があり,計算時間が掛かるものであった.この問題を解決し,計算時間がtに線形となるような新しいHSEOMの導出を示した.

 この手法を用いて,量子アニーリング系,スピン鎖副環境の解析を行った.

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