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大学・研究所にある論文を検索できる 「食餌中バリン除去後の再補充はストレプトゾトシン誘導性糖尿病モデルマウスにおける血糖上昇を抑制する」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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食餌中バリン除去後の再補充はストレプトゾトシン誘導性糖尿病モデルマウスにおける血糖上昇を抑制する

清家 準朗 東北大学

2021.03.25

概要

糖尿病は進行性に膵β細胞減少を呈する疾患であり、膵β細胞を再生する治療法の開発が望まれている。当研究室はストレプトゾトシン(streptozotocin:STZ)誘導性糖尿病モデルマウスに骨髄移植を行うと糖尿病の発症が抑制されることを報告した。その機序として、移植骨髄細胞より分泌される特定のマイクロRNA(miR-222-3p/miR-106b-5p)が重要であることを明らかにした。また最近、マウスにおいて必須アミノ酸の一つであるバリンを欠損した食餌を給餌すると、造血幹細胞が著明に減少し、バリン補充後に速やかに骨髄組織が復元されることが報告された。これらの背景から、バリン欠損食を用いた血球数の変動が骨髄移植と類似の効果を有する可能性を想起した。そこで、食餌中のバリン含有量の操作がSTZ誘導性糖尿病モデルマウスにおける血糖上昇の抑制に有効かを検証する実験を行うこととした。

 はじめに、野生型マウスにバリン欠損食を給餌すると末梢血白血球数は経時的に減少し、その後食餌中のバリンを補充すると白血球数は速やかに増加した。この結果より、骨髄移植時と類似する白血球数の推移を食餌性に誘導できることを確認した。次に、STZ誘導性糖尿病モデルマウスを用いて、食餌中のバリン含量の変化が、血糖値や膵β細胞量に与える影響を検討した。バリン欠損食を給餌し、その後バリン含有食に切り替えた群(valine-intervention群:VI群)では、STZ誘導性糖尿病モデルマウスにおける血糖上昇が抑制された。さらにVI群では、STZ投与後に一旦低下した膵β細胞量が回復することがわかった。VI群において膵島内のKi-67陽性細胞数が有意に上昇しており、膵β細胞が増殖した可能性が考えられた。当研究室は骨髄移植後の膵β細胞増殖にmiR-222-3p/miR-106b-5pが重要であることを報告しており、VI群におけるこれらのマイクロRNAの関与を検証した。食餌中のバリン除去後に再補充を行うと、VI群では骨髄細胞におけるmiR-222-3p/miR-106b-5pの産生が亢進し、血清エクソソーム中のmiR-222-3p/miR-106b-5pの発現も増加していた。miR-222-3p/miR-106b-5pは細胞周期抑制因子を阻害することで膵β細胞増殖を促進することが知られており、これらのマイクロRNAがVI群における膵β細胞増殖に寄与した可能性が考えられた。

 本研究では、食餌中のバリン含有量の変化により、膵β細胞増殖を促進するmiR-222-3p/miR-106b-5pが骨髄細胞から産生され、STZ傷害後の膵β細胞増殖が誘導されたと考えられた。このことは、栄養学的介入がエクソソーム中のマイクロRNAの発現量を変化させる可能性を持つことを示唆している。今後、マイクロRNAの発現を食餌により制御し、膵β細胞再生を促すような、新しい栄養学的治療の開発が望まれる。

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