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大学・研究所にある論文を検索できる 「ポリープ状脈絡膜血管症に対するaflibercept併用光線力学的療法とARMS2多型の関連性」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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ポリープ状脈絡膜血管症に対するaflibercept併用光線力学的療法とARMS2多型の関連性

Nakai, Shunichiro 神戸大学

2020.03.25

概要

【背景と目的】
加齢黄斑変性は日本を含む先進国における代表的な中途視覚障害原因である。そ の 一 病 型 で あ る ポ リ ー プ 状 脈 絡 膜 血 管 症 (polypoidal choroidal vasculopathy: PCV)は網膜色素上皮下の異常血管網とその先端の拡張したポリ ープ状病巣を特徴とする疾患であり、日本人をはじめとするアジア人に多い。現 在 PCV には光線力学的療法(photodynamic therapy: PDT)、抗血管内皮増殖因 子(vascular endothelial growth factor:VEGF)薬硝子体注射、及びそれらの 併用治療といった複数の治療法が存在するが、いずれの治療法も反応性は個人 差が大きい。各々の治療代が高価で再治療を要する可能性も高く、最初の治療が行われている間に視力が低下してしまうと本来期待できた最良の視力予後は望 めなくなってしまう可能性があるため、診断バイアスがなく、初めから各患者に とって最適な治療方針を選択できる個別化医療の開発が望まれる。

現在、加齢黄斑変性の発症・進展に関連するいくつかの遺伝子領域が報告されているが、特に Age-related maculopathy susceptibility 2 (ARMS2) 遺伝子の A69S 遺伝子型がPDT 後の視力予後と関連することについて複数報告されている。

遺伝子診断を応用した個別化医療へ繋げるため、本研究では aflibercept 硝子体注射(IVA)と PDT の併用治療 (IVA+PDT)を行った PCV 症例における、1 年経過と ARMS2 A69S 遺伝子多型の関連につき検討した。

【対象と方法】
過去に治療歴がなく、IVA+PDT を行い 1 年経過観察した PCV 症例 48 例 48 眼 (男性 35 例、女性 13 例、平均年齢 73.5 ± 9.9 歳)を対象に後ろ向き研究を行った。初期治療として単回の IVA と 1 週間後の PDT を行い、1-2 ヶ月毎の定期的な経過観察を行った。眼底検査あるいは網膜光干渉断層計 (Optical coherence tomography: OCT)にて滲出病変の遷延または再発を認めた際には、蛍光眼底造影検査を施行の上、ポリープ状病巣があれば IVA+PDT、なければ IVAを追加した。ゲノム DNA は末梢血から抽出し、TaqMan SNP Genotyping Assays及び Real-Time PCR System を利用して Genotyping を施行した。

初診時からの最高矯正視力(best-corrected visual acuity : BCVA)の変化、中心網膜厚(central retinal thickness: CRT) の変化、中心窩下脈絡膜厚 (subfoveal choroidal thickness: SFCT)の変化、病変再発の有無及び治療回数を ARMS2 A69S 多型の遺伝子型毎に検討した。

【結果】
治療前の症例の特徴は性別(P=0.044)を除き、ARMS2 A69S 多型の GG 群(n=9)、GT 群(n=23)、TT 群(n=16)の 3 群間で有意差を認めなかった。

初回治療の 1 年後における BCVA 変化量は、GG 群、GT 群、TT 群でそれぞれ−0.18 ± 0.11、−0.11 ± 0.12、−0.13 ± 0.19(logMAR)であり、いずれの群も有意な改善を認めた(P = 0.0011、0.00016、0.016)。また、1 年後の CRT 変化量は GG群、GT 群、TT 群でそれぞれ−118.9 ± 141.4, −165.0 ± 149.2, −245.3 ± 294.8 (μm)であり、いずれの群も有意な減少を認めた(P = 0.036, 0.000039, 0.0046)。1 年後の SFCT 変化量についても GG 群、GT 群、TT 群でそれぞれ−43.2 ± 25.7, −44.2 ± 82.2, −35.2 ± 45.7 (μm) であり、いずれの群も有意な減少を認めた(P = 0.00053、0.0027、0.0076)。これらの項目につき 3 群間での有意差は認めなかった。

一方、1 年間の平均治療回数は GG 群 IVA 1.3±1.0 回、PDT 1.1±0.3 回、GT群 IVA 2.0±1.3 回、PDT 1.2±0.4 回、TT 群 IVA 2.9±2.4 回、PDT 1.4±0.6 回であり、T アレルの数が IVA 治療回数と有意に関連していた(P=0.034)。また、多変量解析の結果においても、T アレルの数が治療回数と有意に関連していた (P=0.0176)。初回治療後 1 年での再発率は GG 群 11.1%、GT 群 56.5%、TT 群 68.8%であり、T アレルを持つ群では GG 群に比べて有意に再発率が高かった (p=0.009)。

【結論】
本研究の結果より PCV に対する IVA+PDT1 年経過において、ARMS2 A69S 多型の遺伝子型と治療回数は有意に関連していた。一方、ARMS2 A69S 多型の遺伝子型と視力予後との間に有意な関連は認めなかった。

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