移植後の水痘帯状疱疹ウイルスに対する免疫再構築を基盤とした感染予防戦略の確立
概要
研究成果の概要(和文):
造血幹細胞移植後の帯状疱疹発症率は30-50%と高く、重篤化する傾向にあるが定まった有効な予防法はいまだ確立していない。水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)感染症制御には、細胞性免疫が重要であることが知られている。しかし、これまでに造血幹細胞移植後のVZVに対する細胞性免疫の再構築過程を明らかにした報告はほとんどない。本研究では、Enzyme-Linked Immunospot (ELISPOT)法を用いて、移植後のVZVに対する細胞性免疫の再構築過程を明らかにした。また、移植後患者VZVの感染制御において、重要と考えられる抗原が明らかになった。
研究成果の学術的意義や社会的意義
本研究の成果は、臨床的に有効なVZVサブユニットワクチンの開発における、抗原選択の重要性を示した。また、移植後細胞性免疫の再構築の評価は、ウイルス抗体価、リンパ球数、リンパ球機能などの検査値や免疫抑制剤内服の有無、帯状疱疹発症の有無などの臨床経過と併せ、将来的にサブユニットワクチンが導入された際に問題になるであろう、個々の症例における「接種する最適な時期」を決定する重要な要素であることを示した。
研究成果の概要(英文):
Varicella zoster virus(VZV) reactivates in 30~50% of stem cell transplantation(SCT) recipients, causing herpes zoster. To minimize these complications, acyclovir (ACV) prophylaxis has been used. However, prolonged use of ACV may lead to antiviral resistance or may impair the reconstitution of VZV specific immunity. In this study we evaluated VZV specific cell mediated immune responses after SCT, aiming to develop a strategy for prevention of VZV reactivation.
The Enzyme-Linked Immunospot (ELISPOT) assay was optimal for analyze the reconstruction of cell-mediated immunity.
The results of this study show that the assessment of cell-mediated immunity reconstruction will be an important factor in determining the "optimal time of vaccination" in individual cases.
キーワード: 移植後感染症 T細胞性免疫 感染症予防