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大学・研究所にある論文を検索できる 「脳卒中患者の上肢回復過程における麻痺手の使用頻度と身体特異性注意および脳機能・構造変化の関係:縦断研究」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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書き出し

脳卒中患者の上肢回復過程における麻痺手の使用頻度と身体特異性注意および脳機能・構造変化の関係:縦断研究

大瀧, 亮二 東北大学

2023.03.24

概要

(書式18)




位 論 文 要 約
A b s t r a c t )

博士論文題目 Title of dissertation
脳卒中患者の上肢回復過程における麻痺手の使用頻度と身体特異性注意および脳機能・構造変化の関係
:縦断研究

東北大学大学院医学系研究科
機能医科学講座
氏名 Name

医科学専攻

肢体不自由学分野

大瀧

亮二

【背景】脳卒中後の上肢リハビリテーションにおける臨床上の大きな問題の一つに、学習性不使用がある。学
習性不使用の要因にはさまざまなものがあるが、近年では脳内の身体表象に注目した研究が多く行われている。
筆者の研究室では、脳内の麻痺手の身体表象の指標として身体特異性注意を定量化する方法を開発し、慢性期
脳卒中患者における麻痺手の身体特異性注意が低下していることを横断研究にて明らかにした。しかし、発症
から慢性期までの身体特異性注意と日常生活における麻痺手の使用頻度および脳の機能・構造の縦断的な変化
や、これらの関係はまだ不明である。本研究では、加速度計と心理物理学的手法をそれぞれ用いて、麻痺手の
使用頻度と身体特異性注意の縦断的な変化およびこれらの間の関係を明らかにすることを目的とした。さらに、
脳の機能的磁気共鳴画像(functional magnetic resonance imaging:fMRI)と拡散テンソル画像(diffusion
tensor imaging:DTI)を縦断的に撮像することにより、脳の機能・構造的な可塑性変化と上肢の使用行動お
よび機能との関係を明らかにする。
【方法】研究デザインは、縦断的前向き観察研究とした。対象者は初発の亜急性期脳卒中患者 25 名である。
測定時点は、登録後のベースライン(TBL)
、2 週間後(T2w)
、1 ヵ月後(T1M)
、2 ヵ月後(T2M)
、6 ヵ月後(T6M)
とした。上肢使用頻度は加速度計を両手関節に装着して測定した(対健側比を算出)
。麻痺手の身体特異性注
意は視覚刺激検出課題によって測定した。また、上肢機能は Fugl-Meyer Assessment(FMA)と Action
Research Arm Test(ARAT)によって測定した。脳機能は fMRI を用いて麻痺手と非麻痺手運動時の脳活動
を、脳構造は DTI により白質微細構造の変化を反映する fractional anisotropy (FA) の値を求め、各指標の縦
断的変化とそれらの関係を調べた。
【結果】上肢使用頻度は T6M までの期間で改善し、T1M までの期間に最も改善した。身体特異性注意は、個人
差は大きいものの平均値の推移は T2w で最も低く、T1M で最大であった。上肢機能は T6M まで改善した。身体
特異性注意の TBL から T1M までの変化量は、上肢使用頻度の TBL から T6M までの変化量、T1M から T6M まで
の変化量との間に正の相関があり、1 ヵ月以降の使用頻度の変化とより強い相関を示した。上肢使用頻度の
TBL から T2M までの変化量は、上肢機能の TBL から T2M までの変化量、TBL から T6M までの変化量との間に正
の相関があった。身体特異性注意と上肢機能の間には相関関係はなかった。加えて、上肢使用頻度が最も改善
した TBL から T1M の使用頻度の変化量は両側頭頂葉の楔前部の活性化と、最終的な(T6M)上肢使用頻度は損
傷側上前頭回(一次運動野の一部を含む)の活性化とそれぞれ有意な正の相関関係があった。さらに、これら
の自己身体認知・手の使用選択に関連する高次領域を連絡する白質線維束である上縦束Ⅰの FA 比(非損傷側
に対する損傷側 FA 値の比率)と最終的な上肢使用頻度は正の相関があり、このような関係は上肢機能との間
では認めなかった。最終的な上肢機能は損傷側一次運動野の活動と皮質脊髄路の FA 比と正の相関があった。
1

(書式18)
【結語】脳卒中片麻痺患者の回復過程において、身体特異性注意の増加は日常生活内の上肢使用頻度の増加と
関連し、上肢使用頻度の増加は上肢機能回復と関連することが示唆された。さらに、上肢使用頻度に関連する
脳領域として頭頂葉の楔前部と前頭葉の上前頭回、これらを連絡する前頭-頭頂連絡線維である上縦束Ⅰが同
定され、使用行動と機能の回復には異なる脳領域・神経路が関連することが明らかになった。これらの結果は、
日常生活での上肢の使用行動と脳内の身体表象および機能構造との関係について新たな知見をもたらし、脳卒
中後の上肢使用を促進する新たなリハビリテーション戦略の構築に貢献する可能性がある。 ...

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