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大学・研究所にある論文を検索できる 「Studies on the development of analytical methods for quantification of mycotoxins in feed and pet foods」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Studies on the development of analytical methods for quantification of mycotoxins in feed and pet foods

Nomura, Masayo 京都大学 DOI:10.14989/doctor.r13508

2022.09.26

概要

かび毒は、かびによって産生される有害な化合物群であり、人間のみならず動物の肝臓、腎臓やその他の臓器を傷つけて発癌性や催奇形性を有し、死に至らせる場合もある。日本では、飼料及びペットフードの原料の大部分を輸入に依存しており、飼料及びペットフードの安全性を確保するには、かび毒に汚染された原料や飼料、ペットフード製品を排除する必要があり、原料中や製品中のかび毒を迅速かつ正確に検出するための定量分析法の開発が必須である。また、分析法が開発された後、ある試験室内で検証された結果が他の試験室の結果と異なる場合があり、分析法の再現性を確認するために、試験室間共同試験を実施することも要求される。特に、ペットフードは脂質やタンパク質の含有量が高いため、とうもろこしや穀物の分析法は適用できない可能性がある。本論文では、これまで公定法がなく、汚染状況を把握することができないために農水省から分析法開発の強い要望があったペットフード中のフモニシンB1、B2及びB3(FBs)やゼアラレノン(ZEA)の分析法の開発を報告している。また、トリコテセン系かび毒については、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)がデオキシニバレノール(DON)、3-アセチルデオキシニバレノール(3-AcDON)、15-アセチルデオキシニバレノール(15-AcDON)を同一グループとし、デオキシニバレノール-3-グルコシド(D3G)を含めることを検討し、暫定最大耐容一日摂取量のT-2トキシン(T-2)及びHT-2トキシン(HT-2)にジアセトキシスシルペノール(DAS)を追加している。そのため、飼料の公定法がなかったT-2、HT-2、DAS、DON、3-AcDON、15-AcDON、D3Gの同時定量のための分析法を開発したことをとりまとめている。

第一章では、試験室間共同試験の妥当性の確認まで実施しているペットフード中のFBsを定量する有効な方法がなかったため、その定量法を開発したことを報告している。ペットフードは脂質やタンパク質含量が高いので、飼料中のFBsを定量する公定法で使用されている陰イオン交換カートリッジを用いた精製法は、添加回収試験におけるFBsの回収率が低かったために適用できなかった。抽出液、抽出回数及び精製カラム等の条件検討を詳細に行った結果、ペットフード用飼料中のFBsを含水アセトニトリルで抽出し、MultiSep211Fum(RomerLabs製)で精製後、液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)を用いて定量する方法を開発した。添加回収試験でのFB1の平均回収率は93.3~107%の範囲であり、その繰返し精度(RSDr)は相対標準偏差として7.9%以下であった。FB2とFB3の平均回収率はそれぞれ87.3~102%と90.8~102%、また、RSDは8.6%以下と8.6%以下であった。試験室間共同試験ではFB1の平均回収率、RSDr、室間再現精度(相対標準偏差)(RSDR)及びRSDRと計算式から求めた予想室間再現精度(相対標準偏差)の予測値の比であるHorRatは、それぞれ92.9~98.9%、2.6~4.6%、6.8~10%及び0.41~0.54であり、ペットフード中のFBsを定量できる信頼性の高い分析法であると考えられた。

第二章では、ドライ製品のペットフードにおいてZEAが高頻度に検出されたとの報告があるが、試験室間共同試験の検証まで至っている有効な測定法はなかったため、その手法の開発を報告している。添加回収試験において試料中の含水量が回収率に影響することが示唆されたことから、試料量、抽出溶媒量及び抽出回数に着目した。一方、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)でアイソクラティック溶出を用いた場合、ZEAを測定する際にイオン化抑制の影響を受けやすいことから、内部標準物質として類似化合物のゼアララノンを用いるのが一般的であった。しかし、ゼアララノンの自然汚染の可能性があるため、本分析法は絶対検量線により定量する必要がある。開発した分析法では、グラジェント溶出することによって感度及びSN比が改善され、結果として、絶対検量線法での定量を可能とした。さらに、分析法の妥当性を確認する一環として、22種類のペットフードにおけるZEAの定量を妨害する物質の有無の検討を行い、ZEAの定量を妨げるピークの有無を分析したところ、猫用ウェット製品において妨害ピークが認められたが、HPLC用カラムをL-column2ODS(化学物質評価研究機構製)に指定することにより定量が可能となった。本法でZEAの添加回収試験を実施したところ、平均回収率は約90.8~108%であり、RSDrは8.0%以下であった。試験室間共同試験では、ZEAの平均回収率、RSDr、RSDR及びHorRatは、それぞれ99.0~102%、2.2~3.0%、5.6~6.6%及び0.33~0.36であった。最終的に、ペットフードに含まれるZEAの迅速かつ簡便な定量法が開発された。

第三章では、トリコテセン系かび毒の中でも毒性の強いA型及びD3Gを含めたB型トリコテセン系かび毒の飼料中の汚染状況を把握するための同時定量法を開発したことを報告している。近年、従来の分析法では検出されない新たな毒性物質として、既知のかび毒の配糖体が注視されており、JECFAによるかび毒評価の結果、modified mycotoxinと呼ばれるD3Gをはじめ、DON、3‐AcDON、15‐AcDON、HT-2、T-2及びDASの同時定量法が必要となった。LC-MS/MSのイオン化法としてエレクトロスプレーイオン化法(ESI)を使用した分析法では、特に油かす類での回収率が正確には求められなかった。そのため、本分析法では、大気圧化学イオン化法(APCI)を用いてイオン化阻害等の影響を低減し、また、リン脂質除去ミニカラムHybrid SPEP hospholipid(Sigma-Aldrich製)を用いてイオン化促進の問題点を改善している。飼料に各かび毒の混合標準液を添加し、本法により得られた選択反応検出クロマトグラムでは、10種類のトリコテセン系かび毒のピークは各々分離した。添加回収試験の平均回収率は70.6~119%、そのRSDrは17%以下であり、油かす類の分析でも回収率が十分であることが示された。また、試験室間共同試験では、DONの平均回収率、RSDr、RSDR及びHorRatは、それぞれ97.2~103%、3.4~6.5%、8.5~13%及び0.42~0.70であった。D3Gの各値は、78.2~96.7%、3.5~6.4%、13~22%及び0.59~1.0であり、NIVにおいては89.9~99.9%、3.9~5.6%、5.6~9.4%及び0.25~0.43、その他のかび毒においては93.8~116%、3.1~9.8%、4.3~14%及び0.19~0.65となり、より精度の高い定量法を確立した。

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