リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

リケラボ 全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索するならリケラボ論文検索大学・研究所にある論文を検索できる

大学・研究所にある論文を検索できる 「肺移植後閉塞性細気管支炎に対するCTLA4-Igの線維性閉塞抑制効果の検討━マウス肺内気管移植モデルを用いて━」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

コピーが完了しました

URLをコピーしました

論文の公開元へ論文の公開元へ
書き出し

肺移植後閉塞性細気管支炎に対するCTLA4-Igの線維性閉塞抑制効果の検討━マウス肺内気管移植モデルを用いて━

鈴木 大和 東北大学

2020.03.25

概要

【背景】肺移植は終末期呼吸器疾患患者に対する有効な治療法として確立しているが、術後生存率は他の臓器移植に比較していまだ満足できるものではない。その原因の一つである慢性拒絶反応の一つのサブタイプの閉塞性細気管支炎症候群(bronchiolitis obstructive syndrome; BOS)は慢性期死亡原因の第 1 位であり、肺移植の成績向上のためには、効果的で副作用の少ない BOS の治療法や予防法の開発が重要である。Cytotoxic T lymphocyte antigen 4-fusion protein (CTLA4-Ig) は、活性化T 細胞に対する抑制効果を有し、日本では未だ承認されていないが、世界的には近年腎移植の分野で CTLA4-Ig 製剤が承認され、良好な成績が報告されている。ごく最近、関節リウマチ患者において、CTLA4-Ig 製剤の投与は、制御性 T 細胞の一つのサブタイプで、T 細胞をアナジーに誘導する転写因子である early growth response gene 2 (EGR2) を高発現し抗炎症作用をもつ IL-10 を産生する LAG-3⁺ Treg を誘導し、その治療効果を発揮している可能性があると報告された。Lymphoid neogenesis は、慢性的な炎症の過程でリンパ節などの二次リンパ器官 (secondary lymphoid organs, SLOs) と類似した構造をもつ三次リンパ器官 (tertiary lymphoid organs, TLOs) が形成される現象をさし、ヒト肺移植後の BOS の形成に深くかかわっていること、BOS の代表的なモデルの一つであるマウス肺内気管移植(intrapulmonary tracheal transplantation ; IPTT)モデルでは、lymphoid neogenesis の抑制により、移植された気管内腔の線維性閉塞が抑制されることが報告された。筆者は肺移植レシピエントにおいて、CTLA4-Ig 投与がその LAG-3⁺ Treg 誘導効果やT 細胞の抑制効果による lymphoid neogenesis 抑制効果を介して、BOS の予防・治療効果を有すると仮定した。

【方法】慢性拒絶反応のモデルとして、マウス IPTT モデルを用いた。移植直後、術後 7 日、14 日、21 日に CTLA4-Ig 群にはCTLA4-Ig を 500 µg、コントロール群には human IgG を 500 µg を腹腔内投与し、28 日目に犠牲死させた。気管内線維性閉塞の検索のため Masson trichrome (MT)染色、TLO の検索のため hematoxylin eosin (HE)染色、TLO の構成リンパ球を確認するため蛍光免疫染色 (B220/CD3/DAPI) を行った。気管が移植されたレシピエント肺を用いて気管内腔の膠原線維の主要な成分である 1 型コラーゲンの遺伝子である collagen type 1 alpha chain (COL1a1)、線維芽細胞を活性化させる酵素であるmatrix metalloproteinase 2 (MMP2)、 matrix metalloproteinase 14 (MMP14)、CTLA4-Ig が LAG-3⁺ Treg を誘導し得るか検討するため、early growth response gene 2 (EGR2)、lymphocyte activating gene 3 (LAG-3) 、interleukin 10 (IL-10)さらに lymphoid neogenesisに関わるサイトカイン検討のため、炎症性サイトカインである tumor necrosis factor α (TNFα)、Interferon gamma (IFNγ)、リンフォイドネオジェネシスを誘導する C-C Motif Chemokine Ligand 19 (CCL19)、C-C Motif Chemokine Ligand 21 (CCL21)、C-X-C motif chemokine ligand 12 (CXCL12)、C-X-C motif chemokine ligand 13 (CXCL13) の mRNA の発現を定量RT-PCR を用いて比較検討した。また気管が移植された肺、末梢血血漿、縦隔リンパ節における CD4⁺ T 細胞における LAG-3⁺ Treg の割合を flow cytometry (FCM) を用いて比較検討した。また、 CTLA4-Ig が B 細胞の抗体産生に与える影響について検討するため、末梢血血漿中の総IgG を測定した。

【 結果 】移 植気管内腔の線維性閉塞率は CLTA 4 - Ig 群で有意に減少していた 。定 量 RT- P CRでは COL 1 a 1 、MMP14 が CTLA 4 - Ig 群で有意に低値であった。MMP 2 は CTLA 4 - Ig 群で低い傾向があったが、 両群に有意な差を認めなかった。EGR 2 は両群に有意な差を認めなかった。 LAG-3、IL10 は CTLA4-Ig 群で有意に低値であった。FCM による CD4⁺ T 細胞におけるLAG-3⁺ Tregの割合は、 気管が移植されたレシピエント肺、 末梢血中、 縦隔リンパ節のいずれも有意な差を認めなかった。気管周囲の TLO の大部分は B 220 で染色され、B 細胞で占められておりその面積は、CTLA 4 - Ig 群で有意に減少していた。線形回帰分析では TLO の総面積と閉塞率には有意な正の相関が認められた。 定量 RT- P CR では、 TNFα、CCL21、CXCL12、CXCL13が CTLA4-Ig 群で有意に低値であった。IFNγ、CCL19 は CTLA4-Ig 群で低い傾向があったが両群で有意な差を認めなかった。末梢血血漿中の IgG はCTLA4-Ig 群で有意に低値であった。

【結論】CTLA4-Ig 投与がマウスIPTT モデルにおいて気管内の線維性閉塞を抑制すること、CTLA4-Ig 投与による lymphoid neogenesis の抑制がその効果に関与していることが示唆され、CTLA4-Ig はヒト肺移植後のBOSの抑制に有効である可能性が示唆された。

全国の大学の
卒論・修論・学位論文

一発検索!

この論文の関連論文を見る