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大学・研究所にある論文を検索できる 「ベキサロテンによる腫瘍随伴性マクロファージのCCL22産生抑制を介した皮膚T細胞リンパ腫抑制メカニズムの検討」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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ベキサロテンによる腫瘍随伴性マクロファージのCCL22産生抑制を介した皮膚T細胞リンパ腫抑制メカニズムの検討

谷田 佳世 東北大学

2020.03.25

概要

皮膚T 細胞リンパ腫 ( cutaneous T cell lymphoma;CTCL )は、表皮を原発とした成熟 T 細胞リンパ腫の総称を指す。菌状息肉症 ( mycosis fungoides;MF ) / セザリー症候群 ( sezary syndrome;SS ) は、その CTCL の約 55%を占める最多病型である。病変が限局している症例では、ステロイド外用、紫外線療法などの局所療法が行われるが、全身性の紅斑を来したり、腫瘤を形成したりするような症例にはエトレチナートなどの免疫機能補助療法、エトポシド、ベキサロテンなどの全身療法が用いられる。また、CTCL 腫瘍細胞の免疫学的特徴として、リンパ腫細胞に CCR4 が多く発現することが知られている。CCR4 は Th2 細胞や制御性 T 細胞 ( regulatory T cells;Tregs ) に発現されているケモカイン受容体である。CCR4 のリガンドにはTARC ( thymus and activation regulated chemokine ) / CCL17 とMDC ( macrophage-derived chemokine ) / CCL22 がある。

今回、ベキサロテンの抗腫瘍効果について注目した。ベキサロテンは第 3 世代のレチノイド X 受容体 ( retinoid X receptor;RXR ) 選択的レチノイドであり、早期および進行期の CTCL の治療に用いられる。ベキサロテンは、アメリカではFDA ( Food and Drug Administration ) で承認された 1999 年から、日本では 2016 年からCTCL の治療として用いられてきた。CTCL 患者におけるその抗腫瘍効果のメカニズムについていくつか示唆されているが、in vivo での腫瘍免疫における抗腫瘍効果のメカニズムはまだほとんど研究されていない。

本研究では EL-4 皮膚T 細胞リンパ腫マウスモデルと健常末梢血を用いて、リンパ腫に対するベキサロテンの治療効果やメカニズムについて検討した。その結果、EL-4 皮膚 T 細胞リンパ腫マウスモデルにベキサロテンを腹腔内注射することで、CCL22 の mRNA 発現が減少することが分かった。このことから、ベキサロテンの抗腫瘍効果はCCL22 によるものではないかと考え、EL-4 皮膚T 細胞リンパ腫マウスモデルに抗 CCL22抗体を投与したところ、ベキサロテンを投与したときと同様に腫瘍サイズが減少した。ベキサロテンと抗 CCL22 抗体は同様の抗腫瘍効果があることが分かった。次に、皮膚 T 細胞リンパ腫患者の血清を用いて CCL22 血清レベルを調べたところ、早期症例に比べて進行期症例では CCL22 血清レベルが高かった。そして、ベキサロテン治療反応群では治療前後で CCL22 血清レベルが減少することが分かった。さらに、皮膚 T細胞リンパ腫患者の皮膚病変についても検討した。早期に比べて、進行期の症例では CCL22 が有意に多いことが分かり、M2 マクロファージが CCL22 を産生する細胞のひとつであるという可能性が考えられた。そこで、分化誘導されたヒトの M2 マクロファージにベキサロテンを刺激したところ、CCL22 産生が抑制されることが確認できた。

本研究は、ベキサロテンによる腫瘍随伴性マクロファージ( tumor-associated macrophage;TAM )のCCL22産生抑制を介した皮膚T 細胞リンパ腫抑制のメカニズムについて検討した。また、治療前後での CCL22 血清レベルの減少はベキサロテン有効例のバイオマーカーになり得ることが示唆された。

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