Graft-versus-host disease develops in mice transplanted with lymphocyte-depleted bone marrow cells from signal-transducing adaptor protein-2 transgenic mice
概要
〔目的(Purpose)〕
移植片対宿主病(GVHD)は開種造血幹細胞移植において重要な合併症である。免疫抑制剤の開発によりGVHDを発症する者は減少したが、それでも非再発死亡における主要な原因となっている。CVIDの発症を抑えるためにT細胞B組胞除去骨髄移植も行われているが、少なくはない患者がGVHDを発症しており、移植片に含まれるリンパ球だけでなく、生着した造血幹細胞・前駆細胞由来のリンパ球がGVIDの発症に関わっていると考えられている。これまで我々はリンパ球の分化や機能におけるsignal-transducing adaptor protein (STAP)-2の役割を報告しており、今回我々はGVHDの発症にSTAP-2が与える影響を明らかにすることを目的とした。
[方法ならびに成績(Methods/Results)]
一般に野生型C57/BL6(B6)からリンパ球除去骨髄をBALB/Cに投与した場合、GVIDは起こらないとされている。野生型B6、STAP-2欠損B6またはSTAP-2過剰発現(Tg)B6からリンパ球除去骨髄をBALB/cに移植した。しかし、野生型移植マウスと比べ、STAP-2TB移植マウスでは重度のGVHDを発症し生存期間の短縮を認めた。一方、STAP-2欠損移植マウスではGVIDは発症しなかった。STAP-2 TE移植マウスにおいて大腸でGVIDと考えられる炎症所見を認め、胸腺の装縮を認めた。さらにSTAP-21g移植マウスで制徴性T細胞の減少を認め、CVHDの発症に関与しているものと考えられた。
日常臨床における自家移植においてもGVHD様の症状を呈すことが知られており、STAP-2が関与している可能性を考え、syngeneicにおける移植を行った。STAP-21g B6のリンパ球除去骨髄を野生型B6に移植したところ軽度のGVHDを認め、大腸の炎症・胸腺の萎縮を認め、制御性T細胞の減少を認めた。
〔総括(Conclusion)〕
STAP-2の過剰発現が生着した造血前駆細胞に由来するCWIDの発症に関与することを明らかにした。STAP-2による制御性T細胞の減少が発症に関与している可能性が考えられる。