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大学・研究所にある論文を検索できる 「Tectonic setting and heat source of an ultrahigh-temperature metamorphic terrane constrained from prograde pressure-temperature-time-melting evolution: an example from Rundvågshetta, Lützow-Holm Complex, East Antarctica」の論文概要。リケラボ論文検索は、全国の大学リポジトリにある学位論文・教授論文を一括検索できる論文検索サービスです。

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Tectonic setting and heat source of an ultrahigh-temperature metamorphic terrane constrained from prograde pressure-temperature-time-melting evolution: an example from Rundvågshetta, Lützow-Holm Complex, East Antarctica

Suzuki, Kouta 京都大学 DOI:10.14989/doctor.k24430

2023.03.23

概要

昇温期変成温度-圧力-時間-溶融履歴の構築による超高温変成岩体の形成テクトニクスおよび
熱源の制約:東南極リュツォ・ホルム岩体ルンドボークスヘッタにおける例
岩石学講座 鈴木康太
幅広い温度-圧力条件下で発現する広域変成作用の中でも、大陸地殻下部相当の圧力(5-18 kbar)で
変成温度が 900 oC を超えるものは超高温変成作用と定義されている。超高温変成作用は世界約 70 地域
で報告されており、活動的大陸地殻下部における普遍的な地質現象として認識されつつある。しかし、
岩石が超高温条件を獲得するまでの昇温期の履歴は、変成ピーク時に進行する化学的再平衡の影響が
強いため、これまでほとんど解析されていない。昇温期の圧力変化やタイムスケールが分かれば、超
高温変成岩体の形成テクトニクスや熱源をめぐる議論に新たな制約条件を提示できる。そこで本研究
では、東南極リュツォ・ホルム岩体ルンドボークスヘッタに産する超高温変成岩を例に、ザクロ石と
ジルコン中に取り込まれた鉱物やメルト包有物(ナノ花崗岩およびガラス)に着目することで、昇温
期の変成温度-圧力-時間-溶融履歴を構築し、形成テクトニクスと熱源の制約に取り組んだ。
ザクロ石は、P のX線元素マップにより、P に乏しいコア、P に富むマントル、P に乏しいリムの 3
領域に区分できる。ザクロ石中のルチルに Zr-in-rutile 地質温度計を適用し、各領域成長時の温度条件
を制約した。また、ザクロ石中の Al2SiO5 鉱物をラマン分光計で相同定し、圧力条件を制約した。その
結果、ナノ花崗岩包有物とガラス包有物を含むザクロ石コアは昇温期(840-920 ℃/7.7-12.5 kbar)に、
マントルは変成ピーク時(~1000 ℃/14 kbar)に、リムは降温期(~1000 oC/8 kbar と~800 oC/5 kbar)
に成長したこと、およびコアからマントルにかけて温度-圧力が上昇していたことが分かった。また、
ザクロ石コアの中でも内側から外側に向かって包有されるルチルのジルコニウム濃度が増加しており、
ザクロ石コアの外側ほど高温下で成長したことも分かった。
基質のジルコンは、カソードルミネッセンス像観察により、インヘリテッドコア、内側マントル、
外側マントル、内側リム、外側リムの 5 領域に区分できる。ザクロ石コア中には外側マントルまで成長
したジルコンが包有されているため、ジルコン内側マントルはザクロ石コアよりも前に成長したこと
が分かった。ジルコン内側マントルは白雲母、石英、ナノ花崗岩包有物を含み、U-Pb 年代は~564 Ma
(加重平均年代・以下同様)を示す。一方、ザクロ石マントル中には内側リムまで成長したジルコン
が包有されている。ジルコン内側リムは高い Ti 濃度(~15 ppm)と Th/U 比(~0.83)を示す内側
リム 1 と、低い Ti 濃度(~11 ppm)と Th/U 比(~0.23)を示す内側リム 2 に分けられる。内側リム 1
と 2 はそれぞれ~533 Ma と~528 Ma の U-Pb 年代を示す。ザクロ石マントルとジルコン内側リム 1 は
950-1100 oC 程度で平衡な重希土類元素の分配パターンを示すため、~533 Ma が変成ピーク時の年代で
あると制約された。したがって、白雲母と石英が共存し得る~700-800 oC の温度条件(ジルコン内側
マントル成長ステージ)から、3000 万年かけて、~1000 oC/14 kbar の超高温条件(ザクロ石マントルと
ジルコン内側リム 1 成長ステージ)に到達したことが分かった。また、本研究地域では~520 Ma の
リューコゾーム固結年代が報告されているため、メルトが存在する高温状態が少なくとも 4000 万年間
は継続していたことも分かった。
次に、ピストンシリンダーを用いた高温高圧実験によってジルコン中のナノ花崗岩包有物をガラス
化し(GIZrn)
、ザクロ石中のガラス包有物(GIGrt)とともに EDS を用いて化学組成を分析した。GIZrn と
i

GIGrt はジルコンとザクロ石の成長時に周囲に存在していたメルトが取りこまれたものなので、GIZrn と
GIGrt の化学組成は各変成ステージで岩石内部に存在していたメルトの化学組成を記録している。GIGrt
は GIZrn よりも Na2O に乏しく K2O に富むため、Qz-Ab-Or ノルム図上で Qz-Or 軸により近い位置に
プロットされる。先行研究によって報告された本研究地域の超高温変成岩の全岩化学組成は Or 端成分
付近にプロットされる。GIZrn は 5 kbar のコテクティック線上にプロットされる一方で、GIGrt は 10 kbar
のコテクティック線上から全岩化学組成方向に伸びた組成トレンドを示す。したがって、ジルコン
内側マントル成長ステージ(~700-800 oC)からザクロ石コア成長ステージ(840-920 ℃/7.7-12.5 kbar)
に向かって、温度-圧力の上昇とともにメルトの組成も高温高圧方向に整合的に変化していたと解釈
できた。また、ザクロ石コアの中でも外側に包有される GIGrt のほうが全岩化学組成により近い位置に
プロットされるため、ザクロ石コア成長時に岩石内部に存在していたメルトの組成は、ザクロ石コア
が成長するにつれて、リキダス面上を高温方向に変化していたと解釈できる。これは、ザクロ石コア
の外側ほど高温下で成長したことと整合的である。これらのジルコン内側マントル成長ステージから
ザクロ石コア成長ステージにおけるメルト組成の変化、およびザクロ石コア成長時のメルト組成の
変化は、昇温期の各変成ステージにおいてメルトと固相間の相平衡関係が常に保たれた状態で徐々に
温度が上昇していたことを示唆する。
以上、本研究地域では、超高温条件が達成されるまでに 3000 万年の長い時間をかけて徐々に温度が
上昇していたこと、昇温期に圧力が増加していたこと、メルトが存在する高温状態が少なくとも 4000
万年間は継続していたことが分かった。これらの特徴は、本研究地域の超高温変成作用が、大陸衝突
に伴う地殻の厚化と放射性元素の崩壊熱を熱源とするプロセスで説明できることを示す。本研究では、
ジルコンの包有物に着目することで、ザクロ石には記録されていない、超高温変成岩の初期昇温期の
情報を読み取れることを明らかにした。本研究試料は典型的な造岩鉱物から成る超高温変成岩である。
したがって、ジルコンの包有物に着目して昇温履歴を解析する手法は他地域にも適用可能であり、超
高温変成岩体の形成テクトニクスや熱源の解明に貢献すると期待される。 ...

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